LIVゴルフのCEO、グレッグ・ノーマンと今年の3月にJGTOの会長に就任した諸星裕氏は40年近く前からの旧知の仲。今回、ノーマンがLIVゴルフの韓国開催を発表するために訪韓する際、日本に立ち寄り、旧友との対談が実現した! 「みんなのゴルフダイジェスト」では、「週刊ゴルフダイジェスト」12月3日号に掲載されている内容から一部抜粋してお届けする。

「LIVゴルフは最高のエンターテインメントを提供している」(G・ノーマン)
「国や地域の境界が無いのは面白いコンセプト」(諸星裕)

諸星 ビッグアップルから来たんだって?

ノーマン ああ、ニューヨークから飛んできたんだ。でも、ロシアのどこかで火山が噴火して、火山灰のせいで飛行機が遅れて大変だったよ。

諸星  僕は昨日、三井住友VISA太平洋マスターズの表彰式に出てたんだけど、試合が終わった途端、雨が降り出して気温は6度。寒くて震え上がったよ。

ノーマン リョウ(石川遼)が勝ったよね。すぐ彼に祝福のメッセージを送ったんだ。

諸星  本題に入ろうか。LIVゴルフは今年3年目のフルシーズンを終えたけど率直に手応えはどうだった?

ノーマン アメリカも含めかなりの高評価を受けてるね。集客的にもセールス面でも過去最高を記録し、アメリカのゴルフファンの興味、情熱は我々に向けられてると証明できた。競争力のあるリーグであることが認識されたと自負しているよ。

諸星  それは素晴らしい。ファンを熱狂させる要因はなんだと思う?

画像: イベントや、世界最高のプレーヤーがファンを熱狂させられる要因と語ったノーマン氏。(写真/三木崇徳)

イベントや、世界最高のプレーヤーがファンを熱狂させられる要因と語ったノーマン氏。(写真/三木崇徳)

ノーマン 世界最高のプレーヤーを擁していること。イベントの素晴らしさもあるね。1シーズン14試合開催しているけど、どの国に行っても我々は世界のベストプレーヤーの出場を約束できる。当初は批判的だったアメリカでも受け入れられた理由はシンプル。世界最高の選手を揃えているからさ。

諸星  個人戦だけでなくチーム戦を行うフォーマットも面白い。

ノーマン すごく愛されているよ。お昼にショットガン方式(すべてのホールでティーオフ)でスタートすれば夕方までにはすべて完結する。見る側も、これまでよりずっと短い時間で質の高い競技を楽しむことができるから。

諸星 ゴルフはこれまでストイックなスポーツで18ホールを静かにプレーし感情をあらわにしないスタイルが良しとされてきた。でもLIVはまったく違う。エキサイティングだしエンターテインメント性がある。これは一種の革命だよね?

ノーマン ゴルフの観客層を劇的に変化させるためだよ。PGAツアーの観客層は年配者が多い。対してLIVは観客の60%以上が40歳以下、37%がファミリー、32%が女性。スポーツとエンターテインメント、カルチャーを融合して新しい顧客層を開拓してきたんだ。

諸星 LIVのコンセプトが若い人や女性の共感を呼んでいる、と。

ノーマン これまでは朝6時半に1組目がスタートして最終組が出るのは午後3時過ぎ。観客は12時間以上ゴルフ場に縛り付けられていた。それだけ長いと、どうしても退屈な時間もできてしまう。LIVはそれをギュッと凝縮し最高のエンターテインメントを提供しているのさ。

諸星 世界のツアーは国あるいは地域単位だったけどLIVには境界がない。とても面白いコンセプトだけど、現実問題として財政面はどうなっているんだい?

ノーマン LIVリーグは毎試合1500万ドル(約23億円)を投じているんだ。それはリーグにフランチャイズバリュー(価値)があるから。オーストラリアチーム、南アフリカチーム、韓国チームはすでにあるけど、チームのフランチャイズバリューを向上させていくことが目標さ。

諸星 フランチャイズバリューを高めるというのは?

ノーマン LIVに属する13または15のチームは独立した優れたプロダクト(商品)だと考えているんだ。自分の責任は世界各地で、その地域のゴルフを成長させること。地元の組織(ゴルフ関連団体)を大きくしてゴルフを成長させる。それによって選手の要望に応じた道筋、より良いシステム、より大きな舞台に進むチャンスを提供することができるんだ。LIVだけが成長するのではなく、その地域を巻き込んで共に成長していくというのが我々の使命だと思っているよ。

諸星  具体例を教えてくれるかい?

画像: 日本のゴルフ業界を拡大するための有効な方法を聞く諸星氏(写真/三木崇徳)

日本のゴルフ業界を拡大するための有効な方法を聞く諸星氏(写真/三木崇徳)

ノーマン 例えば韓国チーム、アイアンヘッズ(チーム名)だけど、このチームをどうやって韓国内に浸透させ成長路線を築いたのか? まずはメーカーや地元の企業とのコネクションを作る。そして我々がアイアンヘッズのバリューを高めるために1500万ドルを投じゴルフの価値を上げる機会を提供する。ゴルフというゲームに関する教育も行う。それがこのスポーツを拡大するためにもっとも有効な方法だと考えたからさ。

諸星 とても面白い試みだね。我々にも必要かもしれない。ではリーグの層という側面はどうなっているんだい? それぞれのツアーにはPGAツアーならコーンフェリーツアー、日本ならABEMAツアーのように下部組織があって、そこで力をつけ選手が育っていく。LIVはどうなっているの?

ノーマン LIVにも下部ツアー的なものはすでにあるよ。インターナショナルシリーズがそれさ。

諸星 デベロップメントツアーという意味合い?

ノーマン ハーフウェイ・トゥ・メインステージという位置付けだけど、LIVはアジアンツアーと提携していて2300万ドル(約35億円)を投じて賞金総額230万ドル(約3億5000万円)のインターナショナルシリーズを開催している。その大会の優勝者は自動的にミドルリーグに昇格し、優勝者たちがプロモーションシリーズに進出。そこでランク1位になれば自動的にLIVの出場権を獲得できる仕組みになっているんだ。昇格する選手もいれば陥落する選手もいる。一定数が入れ替わり、実力がある者がビッグステージに上がるリサイクルシステムがすでに機能しているんだよ。

記事は後半に続く…。

PHOTO/Takanori Miki
TEXT/Mika Kawano

※週刊ゴルフダイジェスト12月3日号「緊急対談! LIVゴルフCEOのG・ノーマン×JGTO会長の諸星裕」より一部抜粋

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全5ページにわたるJGTO会長の諸星裕、そしてLIVゴルフCEOのG・ノーマンの対談。後半ではLIVゴルフ×PGAツアーの統合に対しても言及しており、今後の運営やLIVゴルフのチームに日本チーム追加を匂わす発言も……。続きは週刊ゴルフダイジェスト12月3日号、またはMyゴルフダイジェストにて掲載中!

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