
賞金王レースは、平田憲聖と仲のいい金谷拓実を含む6人の争いに!
終盤を迎えた日本ツアー。金谷拓実選手と激しい賞金王争いをしているのが、今季4勝の平田憲聖くんです。
中島啓太くん、蟬川泰果くんらスター選手の多い2000年(生まれ)組。大阪学院大3年の21年に日本学生に勝ち、サードQTからの出場権をつかみ、ファイナルQTも2位となり、大学生でのツアー参戦となりました。
プロ1年目の22年、賞金ランク58位でシード権を獲得。1年目からサッとシードを取ったのはさすがだなと思いましたが、優勝争いに加わることがなかったので、そこまで注目してプレーを見ることがなかったのが正直なところです。
しかし、その印象を大きく覆したのが2年目の昨年です。ミズノオープンで啓太くんをプレーオフで破り初勝利、日本プロでメジャー初優勝、さらにZOZOチャンピオンシップでは日本人最高の単独6位でフィニッシュしました。
このタイミングで殻を破った感がありますが、そのきっかけになったのがミズノ優勝による全英オープン、ZOZOのベスト10フィニッシュによるPGAフォールシリーズのメキシコでのワールドワイドテクノロジーへの出場だった気がします。
この経験で世界に対して意識が芽生えたのではないでしょうか。そして今シーズン。太平洋マスターズ終了時点までに4勝し、予選落ちが1回もないという活躍です。結果はともかくとして金谷くんとの賞金王争いはさらに世界を近づけたのではないでしょうか。
憲聖くんについてボクが魅力的に感じるのが、いろいろなところでプロらしい部分。最近の選手には珍しくコーチを付けず、自分で考えるスタイルを取っています。
「人に言われた通りにやるタイプではない」と言っていますが、これは逆の見方をすれ情報を自分で取捨選択する能力に優れているから。今はコーチを付けていますが、この辺は松山英樹くんに通じるものを感じます。
さて、優勝スピーチはJGTOがひな形を用意しますが彼は初優勝からずっとカンペに視線を落とすことなく、自分の言葉で語っています。あれを読むのがカッコ悪いと思っているかどうかはわかりませんが、そこにプロの美学を感じるのです。
プレースタイルについても、「自分はバーディを量産するタイプではなくパーを重ねていくタイプ」と、自分を客観的に見られる能力もプロっぽい。おとなしめな印象を受けますが、メディアに露出することや注目されることが嫌そうではないところもいいですよね。
今年はスウィングスピードが速くなったと会場で見ていても感じます。プロ入りから飛距離が毎年伸びているのに、フェアウェイキープ率は下がらないどころかむしろ上がっている。データを見るとフェアウェイキープ率は1%くらいずつですが、パーオン率は4.5%近くアップ。飛距離と正確性という相反するデータを両方とも上げているところがすごい。
「金谷さんとも話すんですが、同級生で憲聖が一番強い」とは、啓太くんの言葉。2人はとても仲が良く、そのゴルフの安定感やメンタルの強さへのリスペクトを感じます。
憲聖くんの初優勝のミズノは2人がプレーオフを争いましたが、この名勝負は2人のライバル物語の序章であった気がします。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年12月3日号「さとうの目」より