プロが使うフェアウェイウッド(FW)は、小ぶりなツアーモデルが主流だった。だが、近年、ツアーでも“やさしい”FWの人気が高まり、使用者が増えている。なぜツアープロから選ばれているのか。その理由を探るべく2024年12月10日号の「週刊ゴルフダイジェスト」では、使用者の多いFWを打ち比べている。「みんなのゴルフダイジェスト」では、テーラーメイドの「Qi10」シリーズに注目し、それぞれの特徴を解説してもらった。
画像: 勝又崇之プロに試打・解説をしてもらった

勝又崇之プロに試打・解説をしてもらった

【試打・解説】勝又崇之

専修大学卒業後の08年プロテストでトップ合格。ギアへの造詣も深く自らの試打データを弾道計測器並みの正確さで予想できるほど。現在は。東京・練馬区にある「GOLF PLACE」でレッスンも行う。

◆試打方法

勝又プロがドライバーのHS48m/s想定で各番手5球を試打。ベストとワーストを除いた3球の平均値を掲載。

※試打データは小数第2位(スピン量のみ小数第1位)で四捨五入

男子プロはQi10シリーズの「ツアー」ではなくやさしい「スタンダード」を選択

低スピンモデルの「Qi10ツアー」は国内の男女プロにも愛用者が多いが、松山英樹をはじめとするPGAツアーの男子プロはやさしい「スタンダード」モデルを選ぶ選手が多い。試打していくと、その理由がはっきりわかってきた!

松山英樹は「ツアー」から「スタンダード」にスイッチ

画像: スタンダードなモデルの「Qi10」を愛用している松山英樹

スタンダードなモデルの「Qi10」を愛用している松山英樹

今年の初戦となった1月の「ザ・セントリー」で3番ウッドに「Qi10ツアー」を実戦投入したが、2月の「ジェネシス招待」からスタンダードの「Qi10」にスイッチして即優勝。それ以来「Qi10」を愛用している。

飛距離を取るかスピンを取るか

画像: 「Qi10」を使用している選手たち。右上から時計回りにローリー・マキロイ/ウィンダム・クラーク/平田憲聖/スコッティ・シェフラー

「Qi10」を使用している選手たち。右上から時計回りにローリー・マキロイ/ウィンダム・クラーク/平田憲聖/スコッティ・シェフラー

スコッティ・シェフラーやローリー・マキロイをはじめ、松山英樹など、PGAツアーで高い使用率を誇るテーラーメイドの「Qi10」シリーズ。「Qi10」「Qi10MAX」「Qi10ツアー」の3種類がラインナップされているが、多くがスタンダードの「Qi10」を使用。ほかにも平田憲聖や桂川有人、蟬川泰果、中島啓太など国内男子プロにも愛用者が多い。

一方、女子には、難しいイメージのあるロースピンモデル「Qi10ツアー」を愛用する選手が多い。男子のほうがやさしいモデルを選ぶのはどうしてなのか。

画像: 一方でロースピンモデルの「Qi10ツアー」使用選手には久常涼(写真左)、新垣比菜(写真右)など

一方でロースピンモデルの「Qi10ツアー」使用選手には久常涼(写真左)、新垣比菜(写真右)など

「女子の場合、3Wはグリーンに近づけるクラブで、グリーンを狙ったとしても“止める”のではなく、花道から転がして寄せる。つまり飛距離を最優先にしています。一方の男子は3Wでもグリーンを狙って止めたい。ここ10年の傾向なのですが、FWもどんどんロースピン化が進んでいて、スピンを入れたいときに“ふかす”ことがなかなかできない。男子の場合、ドライバーもFWも飛距離というよりは、いかにコントロールできるか。だから自分でいろいろ操りやすい、簡単なモデルを選ぶようになってきました」(勝又)

もうひとつ男女でクラブ選びに差が出る理由があると勝又プロ。

「女子プロは男子と比べて身長が低く、結果的に手を低い位置で構える選手が多くなります。そうなるとライ角を男子と比べてフラットにしないと、なかなか上手く打てません。テーラーメイドの『Qi10』シリーズもそうですが、いわゆる『ツアーモデル』のほうが、ライ角がフラットに設定されていることが多いんです。そのため、大きな体格で力強い男子選手よりも小柄な女子選手のほうが『ツアーモデル』を打ちやすいと言えるのです。決して女子選手が難しいモデルをあえて選んでいるというだけではなく、飛距離を優先しながら自分が打ちやすいやさしいモデルを選んだ結果が、一般的に難しいと言われる『ツアーモデル』だったということです」(勝又)

個人の身長やスウィングによってやさしく感じるクラブは千差万別。クラブに求める機能と男女の違いこそあれ、プロはやさしいクラブを選んで使っているのだ。

This article is a sponsored article by
''.