アマチュア時代から金谷は海外志向が強かった。プロになって招待選手として出場したソニー・オープン・イン・ハワイでは「なんならここで優勝してすぐにでもPGAツアーに行っちゃいたいです」とちゃめっ気のある言葉を口にした。
世界ランクトップ50の経験はあるがこれまで出場したPGAツアーでは25試合中7試合しか予選を通っていない。しかし国内ツアーで腕を磨き今季は最後の最後で逆転賞金王にも輝いた。
170人が出場し、わずか5枚のチケットを争った大会は緊張の連続。ツアー優勝経験者もスコアを乱高下させるなか、金谷は持ち前の粘りのプレーを存分に発揮。3位で迎えた最終日「このポジションを守らなければならない」というプレッシャーは大きかった。

金谷拓実(右)は単独3位でフィニッシュし来季PGAツアー出場権を獲得した(写真/Getty Images)
だがその重圧を跳ね除け4バーディ、3ボギーの69にまとめ前日と同じ単独3位でフィニッシュ。上位にいた選手が次々とトップ5圏外に去るなか金谷の安定感は際立った。
いっぽう今季国内ツアー賞金ランク2位の平田はデイズバレーCで6バーディ、ノーボギーの6アンダー64の猛チャージ。順位を39ランク上げたものの通算2アンダーは8位タイ。来季の出場権獲得まであと2打足りなかった。
170人が挑み17人が途中棄権したQスクールファイナルでは4位タイまでの6名がPGAツアーへ、7位から40位までにコーンフェリーツアーの限定的出場権が与えられる。平田がどんな決断をするのかも注目だ。
来季新たに欧州ツアーから星野陸也がPGAツアーに昇格。コーンフェリーツアー上位で昇格を決めている大西魁斗、そして今回出場権を獲得した金谷が新たに大舞台に立つ。もちろんシード選手である松山英樹、久常涼もだ。
松山が日本ゴルフの屋台骨を支えて10年。ようやく次の世代の挑戦が始まった。近い将来金谷のライバル、中島啓太もPGAツアーで戦うことになるだろう。
出場権を獲得したとはいえこれはあくまでも通過点。ここから本格的に金谷の第二章がスタートする。