「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は2024年に発売されたドライバーからベスト3を選んでもらった。
画像: クラブ設計家が選ぶ、今年良かったドライバーは?

クラブ設計家が選ぶ、今年良かったドライバーは?

24年は話題作が多かった

みんゴル取材班(以下、み):2024年はピンとテーラーメイドの10Kから始まって、キャロウェイのミニドライバーやヤマハのカーボンフェースなど、ドライバーの話題作が多かったように思います。その中で宮城さんが選ぶベスト3とその理由を教えてください。

宮城:3位は「パラダイムAi SMOKE」です。カーボンの鍛造一体成型でボディ剛性を上げて、フェースの肉厚変化で初速を出す作り方なので飛ばないわけがありません。440ccのトリプルダイヤモンドSなどヘッド体積で選べるところもいい。ぼくはこの先、ヘッド体積が小さいドライバーが流行ると予想していますが、「パラダイムAi SMOKE」はそれを先取りしています。

画像: 宮城氏が3位に挙げたのはキャロウェイ「パラダイムAi SMOKE」シリーズ(写真はトリプルダイヤモンド)

宮城氏が3位に挙げたのはキャロウェイ「パラダイムAi SMOKE」シリーズ(写真はトリプルダイヤモンド)

み:今年の初め、宮城さんは「パラダイムAi SMOKE」が1位になると予想していました。その通りにならなかったのはなぜでしょうか。

宮城:「パラダイムAi SMOKE」はミスにも強く、欠点はほぼ見当たりません。しかし、その後から登場したドライバーが「パラダイムAi SMOKE」を超えたということです。また、一発の飛びでは初代の「パラダイム」が上回るため、契約外の選手で「パラダイムAi SMOKE」から戻した人も何人かいます。

み:「ローグ」と「エピック」の関係に似ているということでしょうか。2位はどのモデルですか?

宮城:11月に発売されたばかりでまだ市場の評価は定まっていませんが、いまいちばん気になっている「スリクソンZXi」を2位に推します。松山英樹があれだけ飛ばしているし、山下美夢有や竹田麗央も結果を出しています。

画像: 2位はダンロップ「スリクソンZXi」シリーズ。写真の無印のほか、TR、LS、MAXのモデルも展開されている

2位はダンロップ「スリクソンZXi」シリーズ。写真の無印のほか、TR、LS、MAXのモデルも展開されている

み:「スリクソンZXi」のどこが優れていますか?

宮城:外観を見る限りあまり余計なことをしていないので振りやすいはずです。外ブラよりもライ角はアップライトですが、ヘッドのすわりがよくフェースが真っすぐに見えるところも日本人の好みに合っていると思います。国内メーカーでは一人勝ちする可能性もあると思います。

み:国産ドライバーがランクインするのはこの連載が始まって以来ですね。それでは1位を発表してください。

宮城:プロやトップアマの評価でいちばん飛んでいるタイトリストの「GT」です。今年のシニアツアーで2勝した増田伸洋も、「全米シニアオープン」に行ったとき飛距離では海外勢に負ける気はしなかったと話していました。

画像: 1位はタイトリスト「GT」シリーズ(写真はGT2)

1位はタイトリスト「GT」シリーズ(写真はGT2)

み:「GT」はなぜ飛ぶのでしょう? 新素材ですか?

宮城:新素材が使われているのはフェース面ではないので、それで飛ぶようになることはありません。「GT」も見た感じではスリクソンと同じく一箇所に極端な加重をしていないので振りやすいと思います。顔は相変わらずきれいで、実際に計測してみてライ角が「TSR」よりもフラットになっているので左に行きにくくなっています。スピンも極端に少なくないので大ケガの心配もありません。一発の飛びというより、使っているうちにだんだん振れてきて飛距離が伸びるドライバーだと思います。

み:アマチュアにはどのモデルがおすすめですか?

宮城:「GT」や「スリクソンZXi」はスピン量も極端に少なくないので、アマチュアでも打ちこなせます。フルチタンの「スリクソンZXi」はヘッドスピードが遅くてもクラウンがたわんでロフトアップするのでヘッドスピードが遅くても球が上がります。そして、ミスヒットに強いのは「パラダイムAi SMOKE」。それぞれ恩恵があると思います。

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