女子プロのツアーコーチである森守洋柳橋章徳大西翔太中村修の4人が、2025年シーズンの展望と若い世代の可能性、そしてコーチの役割などを語り合った。
 
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画像: 座談会に参加した左から森守洋コーチ、大西翔太コーチ、柳橋章徳コーチ、中村修コーチ

座談会に参加した左から森守洋コーチ、大西翔太コーチ、柳橋章徳コーチ、中村修コーチ

1998年度生まれの黄金世代以降、ミレニアム、新世紀、ダイヤモンドと毎年のように新たな世代が登場してはツアーで活躍をするという“ツアーの低年齢化”という流れがあるが、25年シーズンはどうなるのか。2024年の女子プロテスト合格者は26人。いわゆる“有名どころ”としては2015年全米女子オープン出場の山口すず夏、22年「日本女子アマ」優勝の寺岡沙弥香、「オーガスタナショナル女子アマ」予選通過者の吉田鈴、23年「日本女子オープン」ローアマの中村心、24年「日本女子学生」優勝の神谷桃歌、4月のステップ・アップ・ツアー「大王海運レディス」優勝の都玲華。3年連続「オーガスタナショナル女子アマ」出場の六車日那乃らがいる。さらに、JLPGAのファイナルQTで、来季レギュラーツアーで前半戦に出場できる目安の37位までに入った今年のプロテストで合格したルーキーは、永田加奈恵、徳永歩、入谷響、吉田鈴、荒木優奈の5人となった。

画像: 25年は吉田鈴(左)、都玲華(右)など有望株が多いとコーチ陣は話す(撮影/大澤進二)

25年は吉田鈴(左)、都玲華(右)など有望株が多いとコーチ陣は話す(撮影/大澤進二)

中村: 今年プロテストに通った選手が、ファイナルQTに18人出て。その中から5人が37位以内で来年の前半に出れそう。一方で、竹田麗央、山下美夢有、岩井姉妹がいなくなる状況で、25年のツアーはどうなりそうですかね?

柳橋: プロテストに今年ようやく受かった選手がかなりいるじゃないですか。山口すず夏選手とか都玲華選手とか、プロテスト制度に阻まれ続けていた大器たちが、やっと表舞台に立てるわけで、彼女たちはアマチュアであれだけツアーで上にいった選手なので、余裕でやれちゃうんじゃないですかね。

中村: そうすうるとその子たちが今年の竹田選手みたいに活躍する可能性はあるかな? 竹田選手は2年目だけどね。ルーキーでの優勝は川﨑春花や尾関彩美悠といった選手ですね。そういう選手が出てくる下地があるということですよね。

森: 若い時から自分のスウィングを見てゴルフを覚えて、トラックマンやGCクッワッドを使っているから、回り道はしなくてすんでいますよね。既に出来上がっている子が多いです。それ(情報や先端機器の使用)が若年化に繋がっているのは間違いないです。だから上手い子は増えた。

大西: 自分で修正ができる子が増えていますよね。

森: そうだね。

中村 大西コーチは25年はどんなシーズンになると思う。

大西: シード選手の平均年齢も若くなってきていて、今年は若い子の活躍が目立ちました。そんな中で30歳以上の優勝者はイ・ミニョン選手だけだったので、来年はやってやる! って言うベテランの選手たちに注目したいですね。

森: 業界的には若い選手がドンドン出てきたほうが盛り上がるんだろうけど、ゴルフは競技特性で道具を使って体力をカバーできるスポーツ。僕もベテランの活躍に期待したいですね。一方で、ゴルフって負けの記憶が蓄積されていくスポーツで、経験がマイナスになっていく部分がある。だからイップスとかになるわけですよね。そんな中で、ベテランが活躍するっていうのはメチャクチャ面白いと思うし、負けの蓄積が増えていく選手が勝ったら、泣けるよねっていう部分を見たいですね。それに、選手には必ず何度かのピークがあるから、その落ちた時にどうするかがコーチの役割かなと思いますね。良い時は放っておいてもいいじゃないですか。

画像: 24年シーズンはJLPGAツアーで30歳以上で優勝したのはNOBUTA GROUP マスターズGCレディースのイ・ミニョンだけだ(撮影/姉崎正)

24年シーズンはJLPGAツアーで30歳以上で優勝したのはNOBUTA GROUP マスターズGCレディースのイ・ミニョンだけだ(撮影/姉崎正)

中村: 柳橋コーチは臼井麗香選手にどういうことを教えるの? スウィングとかは。

柳橋: 教える時もありますけど。それこそ自分は情報の整理が凄く大事だと思っているので。今の時代って情報過多で、選手はどれが良いか悪いかわからないから、とりあえず全部採り入れてみようってやるからおかしくなっちゃうわけじゃいですか。僕らコーチの仕事は、これは大事だよ、これは別にいいんじゃないっていう選別をしてあげる。僕は基本的に稲見萌寧のときも臼井麗香のときも、それをやっているだけです。そして、選別して大事だとしたモノをどうやるかという方法論は僕らにもあるので、それを提供してあげるということですよね。コーチとしてはモチベーション管理が大きなウェイトを占めていて、森さんが言うように、選手が悪くなってきた時にどういう声掛けをしてあげるかというところだけしかないんじゃないかなと正直思っています。

中村: 安心材料になっているということだよね。大西コーチはどういうコーチングをしているわけ。

大西: 自分の色が強すぎると良いことがないので。誰かに助けを求めたりして。柳橋さんとか森さんが瀬令奈さんと話してくれることによって、それだけで気持ちが高まっていくんで、僕はいろんな人に助けてもらいながら今があるので。

画像: コーチ兼キャディとして青木瀬令奈を支える大西翔太コーチは自分の色を出しすぎないことを心がけているという(撮影/大澤進二)

コーチ兼キャディとして青木瀬令奈を支える大西翔太コーチは自分の色を出しすぎないことを心がけているという(撮影/大澤進二)

森: 昔は師匠と弟子みたいな関係があって、選手をイチから作り上げるみたいなスタイルだったのが、今は、さっき言ったように既に在るモノに対して、さっき柳ちゃんが言ったように変な方向に行ったら戻してあげるとか、良い情報を与えながら、キープさせつつ徐々に強くしていくという役割にコーチは変わっているなと思いますよ。

柳橋: そうですね。

森: 変な方向っていうのは、例えば今の子は自分のスウィングは見える、クラブの動きも見える状態でゴルフを始めているので、そのことで逆に弊害をくらうことがあるんですよ。

中村: 形とかね。

森: そう、スウィングの形とかクラブのポジショニングとかにこだわり過ぎるとおかしくなっちゃう。

中村: 例えば昨年、菅沼菜々選手は、ショットを良くしようとスウィング直したっていうんでしょ。

森: そう。レイドオフにしたの。

中村: まったく必要なかったってことじゃない。結果からも。

森: そこなんですよ。何でやったのか聞いたら、「トップでみんなにクロスが凄いって言われるから」って。それで元々捩じっていないタイプなのに捩じりだして。

柳橋: あぁ~。なるほどねぇ。

中村: 彼女はそもそもショットはいいわけだからね。

森: そう、あれだけパター入ってたら。ショットが普通に戻れば。

大西: よくチップインするイメージですもんね。

森: アプローチが上手いよね。ビビった。ツアーで一番うまくないですか。しかも上手さを見せない。一見、上手くなさそうというと語弊があるけど、それでメチャ上手いという。

柳橋: いや、うまいですよ。

中村: そういう意味でも情報を入れるほうも選別しないといけないということだね。その辺が上手く出来た子が結果に結びついているわけだからね。来季は、その辺のことも注目したいですね。

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