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竹田の武器は飛距離だ。もちろん、自信もある。だからこそ、ドライビングディスタンス1位にはこだわっており、実際263.19Yで獲得した。計測ホールでは「気合いを入れすぎると本当にその場で曲がったりするので、なるべくいつも通りにするように心がけていました」。飛ばすために必要なことは、振り切ること、芯に当てること。いたってシンプルだ。
今の時点では、スウィング改造も筋トレも、必要性を感じていない。
「調子が悪いときは、動画を撮ったりして、いつもと違うところを見つけたりしてやっています」
自分で見て確認して修正する。もちろん母に助言も求める。自分で気づかないことを指摘してもらえるから。
しかし、ランニングだけは「体力のために」続けている。シーズン中は20分、オフは1時間、近所の公園などを走る。
「4日間戦う体力がつき、集中力を切らさずできるようになりました」
筋トレは「キツいから」やらないが、ストレッチや体幹トレーニングは行う。今年の結果につながったショートゲームの強化も続けていく。
「練習の最低7割の時間は割いていきたい。スタッツが悪かったバンカー練習も強化したいです」
今、自分に必要な課題が見えている。それをいたってシンプルにとらえて、シンプルに取り組む。
竹田は、ゴルフショップを経営する父(道具面)、プロゴルファーの母(技術面)のアドバイスを受けながら、フェードヒッター、ダスティン・ジョンソンのダウンの手首の折り方やローリー・マキロイの振り切るフィニッシュのスウィングを見て、自分でゴルフを作り上げてきた。
「口数が多いタイプではないので、口に出したことはもう、決まっているなあという感じです。好きなことは好きなだけやってほしい。そこに向かって準備していってほしい」(父、宜史さん)
「昔から走ることなども1番になりたがった。あまり外では出さないけど、車に乗ったり家に帰ったときはバーッと泣いたりもしますよ」(母、哲子さん)
竹田は、2025年、アメリカを舞台に戦う。母が帯同し、キャディは米ツアーから紹介してもらうという。周りからアドバイスされた炊飯器を持って行き、出られる試合は全部出る予定だ。小さい頃から試合観戦したりプレースタイルを見てきた同郷の大先輩、上田桃子からは「英語は話せたほうが絶対楽しい」と言われたそうだ。

AIG女子オープン前に撮影。当時は5大メジャー参戦を表していたが、いまでは米LPGAのツアーカードを獲得し、世界をまたにかける(撮影/大澤進二)
学生時代、英語だけは得意だったというが、「今はまったく勉強していません。まあ何とかなるかなと。ふふふ。向こうのコース研究もまだしていないけれど、あんまり考えても仕方がない。でもいろいろなコースでプレーできることは楽しみです。1年間いろんな経験をして、自分のゴルフがレベルアップしたらいい」
「ミスしても死ぬことはないですから」と言う竹田はきっと、マイペースで負けず嫌いで、鈍感力で楽しみながら戦っていくのだろう。
2025年も、運と実力を引っ提げて、どこまでも突っ走れ!
(つづく)