
タイトリストの最新ボール「プロV1&プロV1x」
・「もっと遠くへ、もっと思い通りに」がコンセプト
25年モデルの特徴は、まさに「飛んで止まるボール」。
「MORE SPEED・MORE CONTOROL」(初速とコントロール性能のアップ)を追求し、23年モデルよりドライバーのスピン量と飛距離はそのままにアイアンとウェッジのスピン量を増やすことをテーマとして開発された。
すぐに最新ボールの恩恵を受けたのが、昨年日本で行われたPGAツアー・ZOZOチャンピオンシップで優勝したニコラス・エチャバリアだ。
「ニュープロV1xは初速性能が高まり、グリーン周りで少しスピンが増えたように感じました。私たちゴルファーがコントロールできる唯一のものはゴルフボールです。私は自分がイメージする弾道を実現できる最適なゴルフボールに巡り合うことができました」と最新ボールを絶賛。
3週間後のVISA太平洋マスターズでは日本の男子プロのがテストを開始し、ダンロップフェニックスでは16人、カシオワールドでは20人と使用者が増え続け、その大会では岩田寛がプロV1xで優勝を飾っている。
ツアープロの結果や多くのプロが使用する人気ぶりを見ても、最新ボールの性能が気になるところだ。
・最新ボールのポイントは「コア」

カバーとコアがポイント
では、プロたちを魅了するボールはどのように生まれたのか? そのポイントは、外側が硬く内側が柔らかいという外剛内柔の度合いを高めた「ハイスピードハイグラディエントコア」にある。
ボール開発者のマイケル・マドソン氏によると、
「プロV1もプロV1xもコアの外側を従来よりも硬度を高くすることで、ソフトな中心部との硬度差を大きくしています。これによってドライバーやロングゲームではボール初速を高め、バックスピンを抑えることに成功しました。一方、ショートゲームではソフトなカバーと硬さを増したコアの外柔内硬効果によって、バックスピンが増え、コントロール性能がアップしています」という。
エチャバリアや岩田らプロの多くはプロV1xを使っているが、プロV1シリーズを長年愛用しているゴルファーや初めて手にしてみたいというゴルファーは、プロV1とプロV1xのどちらを選んだらいいだろう。
25年モデルのV1とV1xの違い
25年モデルのプロV1とプロV1xは、23年モデルと大きく変わっていないが、ロングゲームでの低スピンとショートゲームのスピン性能を踏襲しながら進化を遂げたという。
その特徴を比較すると、ドライバーショットやロングゲームでは、プロV1はプロV1xより弾道がやや低め。どちらのボールも低スピンを実現しているが、プロV1は直進性が強い中弾道で、プロV1xのほうがやや高さが出る中高弾道だ。
アイアンやショートゲームでは、プロV1xがプロV1よりややスピン量があり、高さでボールを止められる傾向にあるという。
また、打感についてはプロV1のほうがプロV1xよりややソフトで、柔らかいタッチを好むならプロV1、しっかりした打感で打ちたいならプロV1xを選ぶのがおススメだという。
・米澤蓮が25年モデルを打ち比べ

25年モデルの「プロV1」と「プロV1x」を手にする米澤蓮
シーズンを終えて本格的に25年モデルのテストを始めた米澤蓮が2つのボールを打ち比べた。ゴルフを始めたときからプロV1シリーズの愛用者で、昨年もプロV1xでシーズンを戦った。
「もともと球が低く、高い球を打つのがあまり得意でなかったので、ボールで高さを補ってもらうためにプロV1xを使い始めました」という米澤。25年モデルでもスピン量と高さを実感した。

トラックマンで最新ボールのテストを行った米澤(※クラブは、7I:タイトリストT100、1W:タイトリストTSR2を使用)
アイアンショットでテストした数字を見ると、プロV1xの最高到達点がプロV1より3ヤード高く、ドライバーショット(使用)では、プロV1(2070rpm)がプロV1x(2150rpm)よりおよそ100回転ほど少なく、プロV1のほうが低スピンという結果。
「プロV1xはスピンも入るしやや球が高いです。プロV1に関してはより直進性が高いので、風が強いコンディションでは風に強いボールが打てる印象ですね」(米澤)
大きな数字の差ではないが、最新ボールのスピン性能の差が表れた。
ボール選びのポイント

50Yの距離で打ち比べ
ショートゲームでは58度のウェッジで50ヤードの距離を打ち比べ。そこでトッププロならではのコメントが聞かれた。
「プロV1xはスピン量が増えているぶん、ボールの飛び自体が”ゆっくり”に感じます」
スピン量の違いを飛んでいる時間の長さで感じさせたという25年モデル。2つのボールのスピン量に差があることを、数字(プロV1が8180rpm、プロV1xが8380回転)以上に米澤の言葉が表していた。
プロV1はロングゲームで低スピン傾向にあり、プロV1xはアイアンやウェッジでスピン性能が高いことを示した。
「ボール選びに慎重」という米澤も25年シーズンは「開幕まで時間があるので、慣れれば使います」とニュープロV1かニュープロV1xのどちらかを使うという。
最後にボール選びのポイントについても教えてくれた。
「まずはクラブとの相性というか、クラブとボールの関係があると思います。自分が選んだクラブでもっとこうしたい、こんなボールが打ちたいっていうのがあると思うので、それをボールに補ってもらえばいいと思います」
たとえば、自分が使っているアイアンでもっと高さを出したいと思っている人は「プロV1x」、ドライバーで高さを抑えたい人は「プロV1」、ショートゲームでもっとボールを止めたいというなら「プロV1x」を選ぶなど、使っているクラブの性能はボールに引き出してもらえばいいということだろう。
・2025年2月5日発売

ボール価格は編集部調べで7370円(6700円+税)
1600以上のボール特許を持つタイトリストが生んだ「プロV1シリーズ」。2000年に初代モデルがデビューして以来、カバーやコアなど素材にこだわり続け、ディンプルなど多くの技術&開発力で進化とリニューアルを重ねた13代モデルは、究極のボールに近づきつつある。
シリーズ25年目を迎えた25年モデルは、2025年2月5日に発売される。
撮影/姉崎正