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解説:井上透プロ
高校2年生からゴルフを始め、法政大学中退後、渡米。アメリカのゴルフスクールでプロ志願者を指導した。帰国後は中嶋常幸プロ、佐藤信人プロ、米山剛プロなど多くのプロとコーチ契約を結ぶ。2002年からはジュニアスクールも開設し、トップアマの指導にもあたっている。08年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。
清本美波のお父さんに聞いた!
「なるべくコストがかからない練習環境を用意しました」
清本美波(きよもと・みなみ)
5歳からゴルフを始めて、2018年に「全国中学校ゴルフ選手権春季大会」で全国制覇。23年のプロテストでトップ合格。25年シーズンはQTランキング25位の資格で第1回リランキングまでレギュラーツアーに参戦予定。
23年のプロテストをトップ合格し、昨年からプロツアーに参戦した清本美波の父、宗健さんに話を聞いた。
「元々はサーフィンをやらせたくて“美波”と名付けました。ただ、海に行ったら終始泣いちゃうので諦め、その後、ダンスをやらせたのですが、うまくフィットせず。5歳のときに私が全くの素人であったゴルフを、当時勤めていた会社関係のコンペに備えて練習場に一緒に行ってやらせたら、娘が楽しそうにのめり込んでしまいまして。そこが始まりです」

宗健さん自身もゴルフをイチから勉強し独学で清本に教えていった
スタートをしたきっかけは少し意外だった。
「そこから半年ほど練習場に通い続け、家族で旅行に行った際に初めてラウンドし、さらにのめり込んでいったので、私も本腰を入れました。6歳のときに初めて試合に出て、少し年上にすごく上手い子がいて、“あの子に勝ちたい”という思いがモチベーションになりました。親御さんたちとの繋がりも増えていき、子ども同士も切磋琢磨していました」

宗健さんのサポートもあり、順調に力を伸ばしていき、中学時代に全国制覇を経験
その後も様々な工夫をして、娘のサポートをしたそうだ。
「うちはいかに安くラウンドできるかというのがとても重要でした。そのためには親同士で情報を交換しながら安くラウンドできる情報のアンテナを鋭く張っていました。また、日頃の練習場でも、事情を話して交渉し、月にジュニアは5000円定額で練習できるところを見つけることができたのは大きかったです」
子どもにゴルフをさせる場合、お金の心配が出てくるが、安く練習やラウンドする工夫でコストを抑えられたようだ。

プロとしての1年目は苦しんだが、昨年終盤のQTで復活の兆しが見えてきた
清元父流! 低コストでゴルフをやらせるコツ2選
●ジュニアを優遇する練習場を見つける
●親同士で安く回れるコースの情報を交換する
松山茉生くんのお父さんに聞いた!
「ゴルフはごまかしがきかない。人間形成を目的にしました」
松山茉生(まつやま・まお)
5歳からゴルフを始めて、昨年の日本アマでは史上最年少優勝。ダンロップフェニックスでは松山英樹、石川遼と同組でラウンド。また先日の「ソニーオープン・イン・ハワイ」の出場はPGAツアーの日本人歴代最年少記録となった。
昨年の日本アマを史上最年少で優勝した松山茉生くんの父で、自身もトップアマとして活躍している阜司さんに話を聞いた。
「ボク自身がゴルフをやっていたので、休みの日に一緒に行くことでゴルフの環境に慣れさせようとしていました。その後、茉生の兄が先にやっていたので自然な流れで始めました。そもそもゴルフは“人間形成”が一番の目的でした。ゴルフは常に細かなジャッジをしなければならないなかで、すべて自分が責任を持たなければならないですし、“嘘をつかない”“誠実であること”はゴルフを通じて培うことができるので、人間形成には最適だと思います」

小4ながら出場の全国大会で無念の最下位。そこから茉生くんのゴルフ人生が一変
自身もゴルファーの阜司さんはその後も自身の時間を割きながら茉生くんを指導をした。
「小学校の高学年の全国大会に4年生で出場したのですが、結果はビリでした。その日、帰宅した際に僕のところに泣きながら来たのを覚えています。そのときの悔しさをバネにその後も頑張る糧になりました」

小学生時代のラウンド回数は月に1回程度。練習をメインに上達した
小学4年生で出場した全国大会の悔しさが、大きく茉生くんのゴルフ人生に影響を与えたようだ。
「基本的な決めごとを作ってあげて、それ以外は細かい指導はしていません。しかし、約束事を破ったりした場合は強く言うこともありました。加えて、あまり深く干渉はしていません。私自身がゴルファーで他人から細かく言われるのが嫌だったので、茉生にも細かく干渉はしなかったです」

非凡な才能と積み重ねてきた努力が実り、日本アマで史上最年少優勝を果たした
決めごとを作りながら、必要以上に干渉しないことも子どもの上達の大事な要素なのだろう。
松山父流!子どもがゴルフを上達する方法2選
●深く干渉しすぎない
●決めごとを作ってあげる
PHOTO / Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara
※週刊ゴルフダイジェスト1月21日号「子どもや孫にゴルフをやらせたいときの第一歩」より一部抜粋