なぜ「軟鉄鍛造アイアン」が人気なのか?

人間試打マシン
鈴木悠介プロ
ギアに造詣が深くクラブの細かな違いを感じ取る。ドライバーのヘッドスピードは48m/s。
ミスヒットの感触がしっかり残るのが魅力
単一素材の1ピースの軟鉄鍛造アイアンの魅力はどこにあるのか? 鈴木プロに話を聞いた。
「ウェイトが入っていても今どきの軟鉄鍛造は打感がいいので1ピースだから打感がいい、という印象はありませんでした。大きな違いは芯を外したとき。ウェイトの入ったモデルは、ミスヒット時でも芯を食ったときとの打感の違いが少ない。けれど、1ピースはミスの感触がしっかり手に伝わってくるのに、それが弾道にはあまり影響しない。芯を食ったときと、ミスヒットの感触で違いが出るのは大事なんです。それで自分の今日の状態が分かるし、アイアンを意のままに操るうえでは欠かせないこと。それは上級者に限らずアベレージゴルファーも同じです。スキルアップに大事ですよ」
球が潰れるいい打感! これぞ「1ピース」の醍醐味 ※試打クラブは7番アイアン
複雑な設計が難しいとされてきた軟鉄鍛造。だがテクノロジーの進化によって1ピース構造でありながら、低深重心によってやさしく打てるモデルが増えてきた。

※テスト球はプロV1で7Iを使用。弾道計測器はガーミンR10。試打データはベスト5球の平均値
▼ブリヂストン 241CB
球の潰れが手に伝わる軟らかい打感がクセになる

ブリヂストン 241CB
多くのプロが愛用するアスリートキャビティ。ブレード側を厚肉設計にし重心位置を最適化するなど、操作性と打感の良さを追求。
「グシャッとくる打感が気持ちよくて、フェースに球が乗っている時間が長く感じます。プロ仕様でありながら、それほど小顔ではないのでアマチュアも安心して使えます。ライ角はややフラットめなので、左が嫌なゴルファーには最適。やさしいのに操作性も高い。女子プロが好みそうです」(鈴木プロ・以下同)
■スペック
∟ロフト/32度
∟ライ角/62度
∟素材/S20C
∟シャフト/N.S.PRO MODUS³ TOUR120
■弾道データ
∟飛距離:168.8Y
∟キャリー:163.6Y
∟初速:53.2m/s
∟打ち出し角:18.2度
∟スピン量:7511rpm
打ち出しは低めだが、ハイスピンによって球が上がり、ランは5ヤード。ピンポイントに狙える球が打てる。
▼フォーティーン TB-5 FORGED
スピンがしっかり入ってピンデッドに攻めていける

フォーティーン TB-5 FORGED
打点エリアを肉厚化することで、さらなる打感の良さを求めた25年モデルのTB-5。
「7番でロフト30度前後のちょい飛び系モデルでもっとも軟らかい打感です。グースネックなのに左へ引っかけることもなく、ストレート球が打ちやすい。トップブレードは厚みがないのでアスリートも満足できる顔だと思います。芯を外すとしっかりミスの感触が手に伝わるのも安心感がありますね」
■スペック
∟ロフト/30度
∟ライ角/62度
∟素材/S20C
∟シャフト/FS-90i
■弾道データ
∟飛距離:179.6Y
∟キャリー:173.4Y
∟初速:54.8m/s
∟打ち出し角:18.0度
∟スピン量:7045rpm
ロフト30度だけあって飛距離は申し分なし。しっかりスピン量は7000rpmをキープしているのも◎。
▼キャロウェイ Xフォージド
1ピースなのにミスヒットに強い新時代の軟鉄鍛造モデル

キャロウェイ Xフォージド
日本のゴルファーのために開発しつつも、実は欧米でも人気が高まっているXフォージド。打感の良さに加えて、抜けのいいソール形状に仕上げたことで、上級者がしっかり打ち込めるように設計。
「見た目はフラットに感じるのですが打つとつかまりがいい。芯を外して打つと、ミスの感触は残るのに、結果はそれほど曲がってないし飛距離もキープ。それが不思議な感覚です。打感はメチャクチャ軟らかく、球の潰れ具合は手に伝わってきます」
■スペック
∟ロフト/33度
∟ライ角/62度
∟素材/S20C
∟シャフト/N.S.PRO MODUS³ TOUR 105(S)
■弾道データ
∟飛距離:173.4Y
∟キャリー:165.2Y
∟初速:54.4m/s
∟打ち出し角:19.1度
∟スピン量:7167rpm
打ち出しがやや高めで、しっかりスピンも入るので球が止まる。ロフト33度にしては飛距離も十分。
▼キャロウェイ Xフォージド スター
厚みのあるブレードがいい打感と安心感を与えてくれる

Xフォージドよりもロフトを立たせて飛距離性能も追求。低重心設計によりしっかり球も上がるXフォージドスター。
「球離れが遅く、軟らかい打感なのはXフォージドと遜色はありません。ストレートネックなので、方向性を出しやすいし、飛び系なのに操作性も高い。ブレードがやや厚めなので安心感があります。ソールがやや厚い分、上から打ち込まなくてもOK」
■スペック
∟ロフト/29度
∟ライ角/62度
∟素材/S20C
∟シャフト/N.S.PRO MODUS³ TOUR 105(S)
■弾道データ
∟飛距離:183.6Y
∟キャリー:172.0Y
∟初速:55.2m/s
∟打ち出し角:18.4度
∟スピン量:6971rpm
スピン量は7000rpmを切るが、その分、飛距離性能は申し分なし。一体成型モデルで最も飛距離を稼いだ。
▼ミズノ MX-Ⅰ
安心感のある顔とは裏腹に打感はミズノらしいソリッド音

ミズノ独自の鍛造製法グレインフローフォージドHD製法によって長く響く打感を実現。セミラージサイズでアマチュアでもやさしく打てる軟鉄鍛造モデル。
「トウヒールにかけて長いのでヘッドが大きく感じます。だからこそアマチュアが安心して打てると思います。打感は明らかに軟らかく、芯を食った余韻が手に残りますね。見た目と打感のギャップがおもしろい! 」
■スペック
∟ロフト/30度
∟ライ角/62度
∟素材/S25CM
∟シャフト/N.S.PRO 950GH neo(S)
■弾道データ
∟飛距離:180.4Y
∟キャリー:172.4Y
∟初速:55.2m/s
∟打ち出し角:18.7度
∟スピン量:6971rpm
ロフト30度だけあって、170ヤード超のキャリーながら、打ち出しが高い分、ランは抑えられた。
PHOTO/Tomoya Nomura、Kosuke Mori、Hiroaki Arihara
SPECIAL THANKS/GC成田ハイツリー
※週刊ゴルフダイジェスト2月4日号「軟鉄鍛造アイアン打ち比べ」より一部抜粋
===
ここでは「ワンピース構造の軟鉄鍛造アイアン」を紹介した。週刊ゴルフダイジェスト2月4日号、Myゴルフダイジェストではそのほかの最新軟鉄鍛造アイアンを紹介している。下記リンクからチェック!