
「よく“サムライ”というようなイメージで語られる松山くん。黙々と練習する姿、寡黙で誠実なインタビューなどが、とてもミステリアスに感じられているようです」と佐藤プロ(PHOTO/Blue Sky Photos)
「ヒデキが調子いいときは、見ていてこれ以上楽しいゴルファーはそうはいないだろう」。言うまでもなくヒデキとは、ザ・セントリーでツアー通算11勝目を、それも35アンダーの新記録のおまけまで付けて飾った松山英樹くんです。
幸運にもこの試合の解説を担当していたボクの目に飛び込んできたのが、最終日3番の残り107ヤードからカップインしたイーグルショットの画像付きの、おそらくアメリカのゴルフファンの、X(旧ツイッター)での投稿でした。
ボクたち日本人は、どうしても"同胞としての松山英樹"を見がちだし、応援にもその観点が反映されていることは否めません。松山くんの魅力は十分知っているつもりですが、海外ファンのこういう投稿で改めてその魅力を知らされる感じがします。
松山くんはフィニッシュで手を離しても結果は全然悪くないことが多くて、これを見慣れているはずなのに毎回手が離れると我々はヒヤッとしてしまいます。これもある意味ワクワクする部分かもしれません。
他の選手と比べてアイアンショットやフェアウェイウッドでのスーパーショットの数が並外れて多い気がしますし、ミスやアンラッキーなことが少々あってもずんずん突き進んで行く感じが重戦車やサムライの姿とかぶります。
初優勝の14年のザ・メモリアルは、ケビン・ナとのプレーオフ。最終日の上がり6ホールは「バーディ、ボギー、バーディ、ダボ、ボギー、バーディ」というパーなしのハラハラドキドキの展開。16番では池に入れ、18番ではドライバーを折ってしまいプレーオフでは3Wを使うことに。こうして初優勝をつかみました。
2勝目の16年のフェニックスオープンは、リッキー・ファウラーとの4ホールのプレーオフ。ただでさえ観客が多いうえにスーパーボールの開催日。観客もソワソワしている感じがあり、何より地元のスター、リッキーとの完全アウェイの戦い。リッキーの涙とともに記憶に残る名勝負でした。
3勝目は日本オープンを制した後の16年、上海でのHSBCチャンピオンシップ。こちらは週末のホールを出場選手中、唯一ノーボギーで回り2位に7打差の圧勝で、WGCに初勝利しました。
4勝目はフェニックスオープンの連覇です。ウェブ・シンプソンに相手を変えてのプレーオフ。プレーオフでの過去2勝は相手のミスによるものでしたが、この試合は4ホール目にバーディを決めてのガッツポーズが、さらなるレベルに突き進んだことを印象付けました。
5勝目は17年のWGCブリヂストン招待。最終日の上がり3ホールを連続バーディで締め、2位に4打差の61でフィニッシュ。松山くんは以前、同じ大会の予選でタイガー・ウッズと一緒に回っており、「上がり3ホールをバーディで上がればタイガーのあの61と同じスコアになると思っていた」と語りました。
優勝争いのなかでタイガーの4年前、2日目のスコアを思い出す余裕ある感じや、実際本当に3連続バーディで上がったことがすごい。
松山くんの優勝シーンは印象的で思い出す価値があるものばかり。続きは次号でお話しします。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年2月4日号「うの目 たかの目 さとうの目」より