
手から上げて、足から下ろす「タイミングドリル」を解説
スウィング動作の順番を覚える「タイミングドリル」
原田 前回までバックスウィングとトップの形を覚えてもらう両手逆クラブドリルに取り組んでもらいました。今回は正しいスウィング動作の順番を覚えるための「タイミングドリル」を説明します。
GD 「タイミングドリル」?
原田 まずタイミングという言葉自体は2つ以上の動作の順番です。だから一つの動作だけではタイミングという言葉は使わないんですよ。2つ以上の動作の順番をタイミングというんです。「タイミングドリル」はゴルフのスウィングにおける動作の順番、特にダウンスウィングの動作の順番を覚えるドリルです。
GD スウィング動作の順番を覚えるためのドリルが「タイミングドリル」。
アドレスからトップは、手、腕、肩、腰、足の順番

アドレスからトップまでは、手、腕、肩、腰、足の順番写真に載せた数字は動作の順番のイメージ
原田 ゴルフのスウィングでは、手、腕、肩、腰、足の5つです。正しいスウィングをするためには、これらがどういう順番で動くかが大切になってきます。
GD ゴルフは下半身主導といいますから、やっぱり足から動き出すのかと思いますが。
原田 違います。私たちはこの5つに数字を充てて分かりやすく説明します。まず「手が1」です。そこから「腕が2」、「肩が3」、「腰が4」、「足が5」です。正しい動作の順番はまず右へクラブを上げていくときは手が最初に動いて、腕が動いて、肩が動いて、足が動いて、腰が動いていく。左へ振っていくときはこの反対になります。足、腰、肩、腕、手の順番ですね。先程の数字で説明すると、1の手からいきますから、1、2、3、4、5、4、3、2、1となります。これが正しい動きの順番、タイミングです。
GD 動作の順番のスタートは下半身じゃなくて手なのですね?
トップからは足、腰、肩、腕、手の順番で動かす

トップからは足、腰、肩、腕、手の順番で動かす。写真に載せた数字は動作の順番のイメージ
原田 手からです。手、腕、肩、腰の順に動いていき、左サイドへ振っていくときは足、腰、肩、腕、手の順番になります。ただ、足はクラブと上げていくときと振っていくときの折り返し点になるので、5の足は1つだけになります。
GD この順番がどこかで入れ替わっちゃうとエラーになってしまうんですね?
原田 タイミングが狂う場合に多い例は、数字で言うと1、2、3、4、1、2、3、4。つまり左へ振っていくときも1の手からになっている。これはダメですね。これだと下半身から動かずに手からいっちゃっているのでね。手から始動するけど、左へ振っていくときも手からになるのはNGです。
GD タイミングドリルはこの動作の順番を覚えることができるドリルということですね?
「タイミングドリル」は両足を揃えてスタート

「タイミングドリル」は両足を揃えてスタート
原田 そうです。それではやり方を説明します。まず通常のアドレスを作ってください。クラブヘッドはアドレスの位置に置いておきます。そしてまず左足を右足に寄せてつけます。それから右へクラブを上げます。ここから左足をアドレスの位置に踏み込みます。そして左へ振っていきます。動きの順番は構えを作って左足を右足に寄せてから1手、2腕、3肩、4腰、5足、4腰、3肩、2腕、1手です。そして実際にボールを打っていきます。このドリルに取り組んでいくと、正しい動作の順番を体に覚え込ませることができます。
GD このドリルで使うクラブは何がいいですか?
原田 アイアンがいいですね。8番とか7番。
GD スタンスは通常の肩幅くらいでいいですか? そんなに広くはないですよね。
原田 通常でいいです。肩幅の内側に両足が納まるくらいですね。

手、腕、肩、腰、足の順番をイメージして、体を動かすタイミングを覚える
GD クラブを上げていくときはどのくらい上げればいいですか? フルスウィングのときくらい上げるのですか?
原田 右耳の高さが目安ですね。
GD 最初に左足を右足に寄せてくっつける理由は何ですか?
原田 ゴルフスウィングの体重移動っていうのはなかなか分かりにくいものです。右に軸を作ってから左軸を作るまでの体重移動ですね。左足を右足に寄せてくっつけるのは、この体重移動の感覚を分かりやすくするためです。左足を右足にくっつければ完全に体重が右に乗ります。そこから左足をアドレスの位置まで戻してから振っていくことで、自然に左への体重移動ができるので、左へ体重移動をする感覚が分かってきます。
手から動いたら足から行け

投球モーションのように、ゴルフは手(1)からバックスウィングを始動したらトップにいくかいかないかくらいで足(5)から動かしていく
GD つまり数字で言えば、足の5から4、3、2、1への動作を順番通りスムーズに行うことができるということですね。
原田 そうです。とにかく手から動いたら足から行けってことです。で、これはね、ボール投げと一緒です。ピッチャーが投球モーションを起こしてボールを体の後ろに持っていったら、足から踏み込んでいきますよね。そうしないと速いボールは投げられない。ゴルフも手からバックスウィングを始動したらトップにいくかいかないかくらいで足からいかなきゃいけないんです。
GD 動作の順番を数字で表した場合の5の足の動かし方のイメージががもうひとつ沸きません。
原田 ダウンスウィングの動作の順番ですね。それは次回説明しましょう。
●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)
はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。
撮影協力/梅里カントリークラブ、ENゴルフレンジ