
桜が美しい津久井湖GC。従業員の駐車場を改修してヘリポートを設置した
神奈川県にある津久井湖GCはクラブ内にある敷地を改修して、広さ30×40メートルのヘリポートを設置した。中型ヘリが2台停められるという。
このヘリポートの設置は、23年春、東京電力グループで送電・配電事業を担う東京電力パワーグリッドからの依頼がきっかけ。
同社は特別高圧線(電力が7000Vを超える大量の電力を送るケーブル)の保守・点検を行うためヘリポートを各所に所有している。その延長で津久井湖GCも敷地提供を呼びかけられたというのだ。その依頼を受け止めた理由を同GC施設次長・整備責任者の大貫利晃氏は──。
「大規模災害が発生した際に拠点として、救助用のヘリコプターや、ドクターヘリなどの発着に活用できれば、これまで以上に地域の皆様の安全・安心に貢献できると考え、協力することにしました」
現在、施工は完了し、航空申請によれば3月下旬の使用開始を目指している。なお当面は東電の巡視作業用のヘリの発着のみの使用となる予定だ。しかし、将来的には行政との災害時の相互協力協定なども視野に入れているという。
ヘリ使用は月に2回ほど。夜間飛行は行う予定がないとはいえ、どのような声が寄せられるか同GCでは不安だったというが、「災害の際には安心が増すから早く整備してほしい」との声が多く、意を強くしたという。
19年の大型台風では崖崩れや断水、停電など特に同GC西側で被害が大きく、今回ヘリポートが設置されることで救助、復旧活動時に期待されよう。またゴルフ場は電気・ガスなど生活に必要なインフラも整備(レストラン、トイレ、浴場など)されていて避難者受け入れ先となることも可能。事実、同GCも相模原市の広域避難場所にもなっている。
同GCではこれまでも、周辺の細い市道で緊急車両がすれ違えないため、コース内の敷地を改修して車両の待機エリアを整備。また隣接する小学校の児童を招いてスナッグゴルフ体験会を催すなど、地域貢献に熱心なゴルフ場としても知られる。
同GCは1965年開場、27ホール。設計は"名匠"和泉一介の手になる丘陵コース。ヘリポート見学を兼ねて、コース挑戦へもいかがだろうか。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年3月18日「バック9」より