2025年シーズンのステップ・アップ・ツアーは、3月20~22日に中国で開催された特別競技「Mitsubishi Electric Automation Women's Open」から開幕。国内では4月3~5日の日程で滋賀県にある琵琶湖カントリー倶楽部 琵琶湖・三上コース(18H・6395Y・P72)で開催の「YANMAR HANASAKA Ladies Golf Tournament」が初戦になる。昨年プロテストを合格したルーキーたちで、レギュラーツアーや中国の特別競技に参戦しなかった9人の意気込みをお届け!

オーガスタ女子アマにも出場した逸材がいよいよツアーデビュー
六車日那乃

昨年11月にツアーからの撤退を表明した上田桃子や米LPGAに挑戦中の吉田優利などを教える辻村明志コーチの“秘蔵っ子”ともいうべき六車日那乃がいよいよツアーデビューする。プロ初戦の今大会について、「やっぱり優勝したいっていう気持ちはあります」というが、それと同時に「結果ばっかりを意識しても、自分の中でうまくいかない気がしています。自分をよく知り、癖などを理解して、それに対して上手く、そして感覚よくできたらいいと思います」と、気負わず自分のゴルフを貫くことが結果に繋がると話す。

その癖などは辻村コーチと二人三脚でこの試合直前まで打ち込んできたのかと思いきや、「2月までは辻村コーチにみっちり見ていただいたんですが、3月からの頻度は多くありません。年間を通して試合に出るなかで、辻村コーチに見てもらえないときは必ずあります。そうなると、自分の感覚がすごく大事だと思っていて、教わったものを自分で理解して実践したり、修正したりしたいと思っているので」とコーチに頼らない、いわゆるプロとしての“自立”を感じさせた。

アマチュア時代に33試合のJLPGAツアーに出場した経験を持つが、技術的にもメンタル的にもプロになった六車のプレーに注目だ!

画像: キャディバッグに付けている2つのキャラクターがお気に入り! 向かって左の熊のぬいぐるみは高校時代の親友と一緒に買った思い出の逸品。「ちょっと汚れてきちゃったけど、一生キャディバッグに付けていたいと思っています」とキュートな笑顔で答えてくれた

キャディバッグに付けている2つのキャラクターがお気に入り! 向かって左の熊のぬいぐるみは高校時代の親友と一緒に買った思い出の逸品。「ちょっと汚れてきちゃったけど、一生キャディバッグに付けていたいと思っています」とキュートな笑顔で答えてくれた

今年になってクラブを一新! 2025年現在の日本人最年少ツアープロ
加藤麗奈

2007年3月5日生まれの加藤麗奈はJLPGAの会員のなかで一番若い日本人プロゴルファーで、先月18歳になったばかり。昨年、プロテストに一発合格したものの、その際、左足を疲労骨折しており、12月のQTファイナルステージでは痛みに耐え切れず、第3日のスタート前に棄権。今季はステップ・アップ・ツアーが主戦場となる。

開口一番に「オフシーズンで、スウィングもクラブも全部変えたんです! もともと、アイアンもユーティリティがブリヂストン、ウッドはテーラーメイド、ドライバーはピンゴルフと全部バラバラだったんですが、いまはパターを除いてブリヂストンになりました。アマチュアのときは、スポンサーさんもいなかったんですが、プロになってウェアもいただけるようになり、クラブはブリヂストンさんから提供いただいて。『契約ではないので使わなくてもいい』と言っていただいたんですが、いろいろフィッティングしてもらったら、全部、自分に合っていると感じたので、パター以外は全部お願いしました」と初々しい答えが。その新しいアイアンもかなり自分に合っているようで、「ギャラリーの皆さんにはアイアンショットを見てほしい」とのこと。

強いジュニアにはメーカーからの「モニター」が当たり前になっている昨今だが、加藤にはそういったことがなく、プロテストでは疲労骨折で球がバラついてもアプローチでしのいだ結果合格するという苦労人。怪我が癒えてショットも安定してきた18歳の加藤を覚えておいて損はなし!

画像: 向かって右のスコアホルダーは母からの、左の恐竜のぬいぐるみは親友からのプレゼント。「ピアノを習っていた最後の演奏がジュラシックパークのテーマだったんです! USJで買えるジュラシックワールドのぬいぐるみには縁を感じています」(加藤)

向かって右のスコアホルダーは母からの、左の恐竜のぬいぐるみは親友からのプレゼント。「ピアノを習っていた最後の演奏がジュラシックパークのテーマだったんです! USJで買えるジュラシックワールドのぬいぐるみには縁を感じています」(加藤)

季節的にも“こはる”日和まであと少し! 山口すず夏に憧れる
山下心暖

「一番最初の試合なので、すごく楽しみにしていましたし、どこまで自分ができるのか、確かめたいという思いです。でも最近調子が落ちてきて……」と話すが、その要因を「試合前に緊張というかナーバスになる癖があって。プロ初戦ということで、ちょっとそれが出ちゃっている感じです」と冷静に分析。「それでも、初戦なので、悪くても予選通過をしたいと思います。自分はショットメーカーなので、フェアウェイからのセカンドやサードでピンを全部狙うみたいな感じの攻めるゴルフをするので、そこをギャラリーの皆さんには見ていただきたいですね」と力強い。ちなみに、尊敬するのはプロ同期の山口すず夏。契約しているヨネックスも山口の紹介だといい、「中学2年のときに知り合いの伝手で地元の鹿児島高牧CCで、すず夏プロとラウンドさせてもらって。そのときにすず夏プロが使用していたクラブを構えたら顔が良くて! それからすず夏プロには仲良くしていただいていて、憧れのプロもすず夏プロなんです」と自身の話をしているときよりも笑顔が多い。

“心”が“暖かい”と書いて、“こはる”と読む。JLPGAの紹介記事で「両親が画数など、さまざまなことを調べ上げ、かなりの時間を費やして、この漢字、この名前になった」とある。たしかに一読しただけではこの名前は読めないが、彼女の穏やかな話し方は接する人の心を温かくする何かがある。この試合では憧れの山口はいないが、彼女に追いつけ追い越せの精神でしっかりプロの階段を上る山下から目が離せない。

画像: 同学年でプロ同期でもある荒木優奈がオーストラリアとオーガスタで買ってきてくれたお土産が山下のお気に入りアイテム。「優奈は小さい頃から知っていて、親友です!」

同学年でプロ同期でもある荒木優奈がオーストラリアとオーガスタで買ってきてくれたお土産が山下のお気に入りアイテム。「優奈は小さい頃から知っていて、親友です!」

171cmの長身を活かしたドライバーの飛距離が魅力
前田羚菜

「この試合での目標は“まずは”予選通過。そして意気込みは、全力でちゃんと諦めずに頑張る! です」という前田。「諦めずに頑張る」とは何かマイナスな印象を受けたので、調子を聞くと「絶好調という感じではないですが、ぜんぜん悪くはないです!」と即答。では、なぜ?「このコースは初めて回らせてもらったんですが、すごく難しくて。グリーンを狙うショットをしっかりフェアウェイから打っても、しっかりと止まってくれない。グリーンはかなり速くて硬いし、グリーン周りも時期からか、結構芝が薄いんでアプローチも難しい……。本当に難しいんです」とコースにてこずった様子。そんななかでも、「ドライバーが飛ぶほうなので、ギャラリーの皆さんには飛距離を観てほしいです」と前を向く。

「今年はステップ・アップ・ツアーで優勝することと、怪我をしないような体づくりが目標です。PM Performanceの川合(智)トレーナーに習っているのですが、プロテスト前もしっかりケアしてもらって調子が良かったので、そういった面でもしっかりやっていきたいです」

ドライバーの飛距離は250ヤード以上で、飛ばしのポテンシャルはJLPGAのレギュラーツアーでもトップクラス。ゴルフは飛距離ではないが、飛距離が魅力なのもまた事実。ぜひこの機会に、前田のドライバーを観にいってはいかがだろうか。

画像: いつもキャディバッグに巻いている「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」のアームバンド。ゴルフ以外で好きなことといてば、この「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」を観ることだという

いつもキャディバッグに巻いている「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」のアームバンド。ゴルフ以外で好きなことといてば、この「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」を観ることだという

難しいコースが大歓迎! 頭を使ったゴルフでトップ10を目指す
大久保柚季

「過去2回、この大会にはアマチュアのときに推薦で出場させていただいて、難しいイメージがあるコースなので、頭を目一杯使い倒して、トップテンには入りたい。最低でも、プロデビュー戦なので予選通過はしたい」と意気込む大久保だが、出場した22年、23年と2年連続で見事、予選を突破している。コースとの相性はいい? と聞くと「相性っていうのはあまり考えていないです。ただ難しいコースは好きで、頭を使うゴルフが大好きなんです(笑)」と満面の笑みで回答。

今年の目標は「ステップ・アップ・ツアーで1勝! 推薦いただけるレギュラーツアーで上位進出です」。「フェアウェイキープとショートアイアンが得意なので、ギャラリーの皆さんはセカンド地点で待ち構えていただけると嬉しいです」とアピール。

プロでも悩むコースマネジメントだが、頭を使ったゴルフが好きと公言する大久保のマネジメントはアマチュアも参考になり得る。まずはアマチュア時代に好成績を残した大会で上位進出して、ステップ・アップ・ツアーを席巻したい。

画像: 実家が京セラドームの近くだったこともあり、オリックス・バファローズのファン。オリックスのユニフォームを着たぬいぐるみと。ちなみに推しは31番の太田椋だ!

実家が京セラドームの近くだったこともあり、オリックス・バファローズのファン。オリックスのユニフォームを着たぬいぐるみと。ちなみに推しは31番の太田椋だ!

(後編につづく)

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