
解説/三島泰哉プロ
みしまたいが。1998年生まれ。岐阜県出身。ジュニア時代から多彩な小技の持ち主として有名なプロ。今季はACNツア―で優勝を目標にレギュラーツアー参戦を狙う
小手先で打つからミスになる
GD 春先の薄い芝からのアプローチは、芝の状態からして難しく感じますよね?
三島 芝がまだ生えそろっていないのでボールが少し沈んだ感じになりますよね。芝が元気ならボールが少し浮くのでヘッドを入れやすくなりますが、ヘッドがボールの下に入らない感じがする。それで上からガツンと打ち込みたくなるんです。
GD ダフらないようにボールにクリーンに当てたくなると思います。
三島 それが間違いです。よく、ボールを右に置いてクリーンに打とうとしますよね。間違いではありませんが、右に置き過ぎるとザックリしやすくなります。ヘッドの軌道は鋭角ではなく鈍角に緩やかに入れるのが正解なんです。
GD 逆にダフりそうなイメージがしますが。
三島 鈍角にボールの横からヒットすると、ゾーンでボールをとらえられるのでザックリなどの大ミスにはならないんです。
GD 鈍角にヘッドを入れるにはどうすればいいですか。
三島 手首を使わないことです。アドレスで左ひじをちょっと曲げておくのがポイントです。ひじを伸ばして構えると手首を支点に動かしやすくなり手打ちになるんです。ひじを緩めることで、逆に手打ちを防ぐことができるんです。

両ひじを少し脱力させた状態で構えるのがポイント。特に左ひじは力が入ると体の回転が止まってしまうので、ひじを少し曲げた状態で振るイメージを持つことが重要
春芝アドレスのポイント
ユルひじの利点①
曲げることで力まずゆとりを持って構えられる
ひじを曲げておくことで上半身の力み、特に腕から先の力みが取れる。ライが悪いときほど怖がらずにひじにゆとりを持つことが重要になる。

怖いけれど体を大きく使います!
ユルひじの利点②
手首の動きが抑えられる
ひじをピーンと張って構えると手首の動きが主体になり、ヘッドの入射角が鋭角になる。そのため点でボールをとらえることになりミスしやすくなる。手首の動きを抑える意味でも、ひじをゆるめて体の回転主体で振るのが大ミスをしないコツ。

手先の動きはできるだけ避けて!
ユルひじの利点③
どんな状況でもボール位置は両つま先の間にセットする
芝が薄くてボールが少し沈んだ状態では、ある程度はボールを右に置くが、右に置き過ぎるとヘッドの入射角が鋭角になり過ぎて地面に刺さりやすくなるので要注意。

両足の幅から出ちゃダメです!
横からやさしくそっと打つ
GD ヘッドを緩やかに振り下ろして打つコツを教えてください。
三島 リズム良く振ることが大切になります。特にインパクト直前は慌てずにヘッドをゆっくり動かすように意識します。ヘッドを加速させてしまうと力んで入射角が鋭角になり過ぎたり、上げようとする動きが入りザックリやトップをしやすくなります。
GD ゆっくり動かすって難しいですよね。
三島 だから手先ではなく体を大きく使う必要があるんです。アドレスでひじを緩めると言いましたが、イメージ的には両腕で作った五角形の形を崩さずに振る感じです。ヘッドは、できるかぎり速く動かすのではなくゆっくり動かす。それが春の芝が薄いいまの時期でも、ダフらずボールをきれいに打つコツなんです。
動かし方のポイント
ヘッドの動かし方①
ガツンと打ち込まず鈍角にゆっくりヘッドを入れる
極端に言えばスローモーションのイメージでヘッドを動かす。ライが悪いと心理的に早くボールに当てたくなるが、インパクト付近の動きをできるだけ丁寧にしてゆっくり動かすのがポイント。

“慌てず”“ ゆっくり” 動かすのがポイント!
ヘッドの動かし方②
両腕の五角形をキープしたまま体主体で振る
インパクト付近でヘッドを急加速させることなく左右対称の振り幅のイメージで、一定のリズムでテンポ良く振る。両ひじを緩めて両腕の五角形をキープしたまま振り抜こう。

腕にできた五角形をキープして振る
×腕が伸びるのはダメ

手では振らない
ヘッドの動かし方③
テークバックで左肩の下がりすぎに注意
頭が上下に動いてしまうと打点が安定せずダフリやトップしやすくなるので、テークバックで左肩があまり下がらないように注意する。

左肩は下がらない
▶後編「ダブらないためには始動が大事! 正しいクラブの使い方」はこちら
THANKS/かねひで喜瀬カントリークラブ
PHOTO/ARAKISHIN
※週刊ゴルフダイジェスト4月29日号「春の沈んだ芝からのアプローチ」より一部抜粋