全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する企画。今回は最新モデルではなく、いまもアマチュアに大人気のピン「G430 MAX ドライバー」のパフォーマンスをより向上させるシャフトマッチングについて考えてみた。

2025年2月に発売されたピンの新型モデル「G440」シリーズが発売以来ドライバー部門の販売でトップに立つほどの人気ドライバーとなっていますが、その理由は前作の「G430」シリーズの存在が大きく影響していると思います。前作で培った多くの優れたテクノロジーを継承し、更にブラッシュアップさせたことで、ピンゴルフが現時点で考える最高水準の理想的なドライバーに仕上がっています。

画像: G430シリーズ

G430シリーズ

「G440」の好調なセールスにも大きな影響を与えた「G430」は2022年10月の発売からプロやアマチュアゴルファーに多く使用され、現在も愛用者の多い人気のモデルです。今回は多くのゴルファーに愛用されている人気モデル「G430」シリーズをシャフトチューニングにより更にパフォーマンスアップさせるためにマッチングを考えていきたいと思います。

「G430」シリーズはロースピンモデル「G430 LST」、コアモデル「G430 MAX」、ドローバイアスモデル「G430 SFT」、大慣性モーメントヘッド「G430 MAX 10K」の4モデルあります。今回はその中からアマチュアゴルファーに多く愛用されているコアモデル「G430 MAX」ドライバーをピックアップ。 

「G430 MAX」のドライバーをお使いで一般的なアマチュアゴルファーのアベレージヘッドスピード(37~42m/s)のゴルファーにフォーカスしたシャフトチューニングを考えていきたいと思います。

私が考えるPING「G430 MAX」のシャフトチューニングのポイントは3つです。

1.バックスピン量の低減
2.ボールのつかまり性能の向上
3.スウィングスピードの向上

この3つのポイントに合わせたシャフトを厳選して選ばせて頂きました。

バックスピン量の低減のシャフトチューニング

「G430 MAX ドライバー」の最大の特長は大慣性モーメントによるミスヒットへの寛容性。更にパフォーマンスを向上させるためにはバックスピン量を低減することがチューニングのポイントになります。バックスピン量の低減が期待でき、アマチュアゴルファーに使いやすい「G430 MAX」とマッチングの良いアスリートモデルのシャフトを2つ選びました。それは三菱ケミカル「ディアマナBB」とグラファイトデザイン「TOUR AD GC」。

画像: 吉田が選ぶG430 MAXとマッチする低スピン性能が高いシャフト

吉田が選ぶG430 MAXとマッチする低スピン性能が高いシャフト

三菱ケミカル「ディアマナ BB」

2023年9月に発売された「ディアマナ BB」は通称「青マナ」のポジションにある中元調子のアスリートモデルのシャフト。手元側にしなりを感じられるので切り返しのタイミングが取りやすく、大慣性モーメントに対応した設計のシャフトは自身のスウィングでイメージ通りに動かしやすい印象です。先端部分が動くシャフトではありませんが、「G430 MAX」のヘッドをインパクトエリアまでスムーズに運ぶことができます。

本コラムのテーマでもある一般的なパワーやヘッドスピードのアマチュアゴルファー(HS40~42m/sくらい)にオススメのスペックは「53SR」。アスリートモデルらしく先端部分の剛性が高いディアマナBBの中でもアマチュアゴルファー自身のスウィングでもシャフトコントロールがしやすく、スクエアなインパクト再現しやすいと思います。

厚く当たるインパクトを実現できることでボールスピードも速く、ミート率もアップします。「G430 MAX」でやや多めのバックスピン量を抑えることができるシャフトですので、ボールが吹き上がらず力強い弾道になり、飛距離アップが期待できるシャフトマッチングです。

グラファイトデザイン「TOUR AD GC」

続いて2024年9月に発売されたグラファイトデザイン「TOUR AD GC」。グラファイトデザイン社のTOUR ADはプロ・アスリートゴルファーの使用が多いブランドですので、一般的なアマチュアゴルファーの中には使いきれないのでは? と敬遠される方もいらっしゃるかも知れません。

ですが、スペックをきちんと選べば一般的なパワーやヘッドスピードのアマチュアゴルファーにも非常に使いやすく、「G430 MAX」のヘッドパフォーマンスもアップにも貢献してくれると思います。とくに「G430 MAX」でやや弾道が高く、バックスピン量をもう少し減らし、飛距離を出したいという方にオススメです。

手元側にしっかりとした剛性感があるシャフトですので、一般的なアマチュアゴルファーは「5 R1」を基準に選ぶと良いと思います。「5 R1」はSの下のフレックスになりますが、Sフレックスに比べるとシャフト各部分の剛性感が高すぎず、扱いやすいとスペック。元々、大慣性モーメントドライバーヘッドに対応するために先端部分は硬めに設計されていますので、当たり負けもなく、厚いインパクトを実現することでボールスピードもアップします。「G430 MAX」のバックスピン量が抑えられ、弾道の高さを抑えることが出きるのでボールに推進力が加わり強い弾道になるマッチングです。

ボールのつかまり性能の向上

大慣性モーメントの「G430 MAX」で、ボールのつかまりを良くすることでパフォーマンスアップさせるために選んだシャフトはフジクラ「SPEEDER NX BLACK」とUSTマミヤ「ATTAS RX SUNRISE RED」の2モデルです。

画像: フジクラ「SPEEDER NX BLACK」とUSTマミヤ「ATTAS RX SUNRISE RED」

フジクラ「SPEEDER NX BLACK」とUSTマミヤ「ATTAS RX SUNRISE RED」

フジクラ「SPEEDER NX BLACK」

2023年9月に発売されたフジクラ「SPEEDER NX」シリーズの3代目のモデルが「SPEEDER NX BLACK」です。先端部分に動きのある先中調子のモデルになります。一般的にシャフト先端部分に動きを出すシャフトは手元側を硬くして先端部分に動きを出す設計が多いですが、「SPEEDER NX BLACK」は手元側の剛性感が高すぎずに一般的なパワーのアマチュアゴルファーにもスムーズな切り返しが可能です。

大慣性モーメントの「G430 MAX」のヘッドと「SPEEDER NX BLACK」のマッチングはやや先端部分が動くことでボールのつかまりやすさと上がりやすさを体感しやすいでしょう。ロースピン設計のシャフトではありませんが、ドロー回転がかかりやすいので、バックスピン量も低減できます。オススメスペックは「50 S」このフレックスを基準にして試して頂ければと思います。

アマチュアゴルファーが大慣性モーメントドライバーヘッドで飛距離を出すために、ボールのつかまり性能の良いシャフトを使うメリットは大きいと思います。「SPEEDER NX BLACK」とのマッチングならキャリーとランのバランスが良いので「G430 MAX」の打ち出し角度をキープしつつ、ボールをつかまえて飛ばすパフォーマンスアップを体感できると思います。

UST マミヤ「ATTAS RX SUNRISE RED」

「ATTAS」シリーズのグローバルモデルの第1弾として2024年12月に発売されたシャフトが「ATTAS RX SUNRISE RED」です。メーカーのキャッチコピーは新時代の夜明けをもたらす極限の「つかまり」とあります。アマチュアゴルファーが「G430 MAX」でボールのつかまり性能の向上させるためにはある程度シャフトがオートマチックにボールをつかまえてくれるシャフトが良いです。

手元側に4軸織物を採用して剛性を高めていますが、最新の設計で硬く感じ過ぎることなく、スムーズに振り抜ける印象です。先端部分はしなりが大きめでインパクトでフェースがクローズで当たるようなイメージで確実にボールをとらえてくれます。大慣性モーメントの「G430 MAX」でインパクト時にフェースが右に開いてしまうとインパクトのエネルギーロスが生じボールスピードも低くなり、バックスピン量も増えてしまいますが、「ATTAS RX SUNRISE RED」とのマッチングで効率的にパフォーマンスアップできると思います。

一般的なパワーやヘッドスピードのアマチュアゴルファーにオススメのスペックは「5S」。このフレックスを基準に試して頂ければと思います。「5S」は先調子ながらハードな印象もなく、シャフト先端部分の走り感が絶妙でインパクトも厚く、打点ブレに強い印象です。「G430 MAX」で確実にボールをつかまえるためのシャフトマッチングです。

スウィングスピードの向上によるパフォーマンスアップ

大慣性モーメントの「G430 MAX」に振り抜きのスピード感を演出してくれるスウィングスピードのパフォーマンスアップを考えたコンポジットテクノ「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」を選びました。

コンポジットテクノ「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」

「G430 MAX」のヘッドは大慣性モーメント設計によってミスヒットに強く、直進性能を高くして弾道安定性能を向上させていますが、振り抜ける感じが今一つと感じているユーザーは多くいます。とくにヘッド体積の小さめのドライバーヘッドからゴルフを始めているゴルフ歴の長いゴルファーほどヘッドサイズの大きさを感じ、振り抜けるスピードを感じにくいという方が多いでしょう。

そのようなお悩みを解決してくれるのがコンポジットテクノ「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」。2025年3月に発売された大慣性モーメントドライバー専用に設計されたシャフトです。開発時には多くの大MOIヘッドを用意して開発されていますが、テストヘッドラインナップには「G430 MAX」がラインナップされていて、非常に良いマッチングです。

画像: コンポジットテクノ「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」

コンポジットテクノ「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」

「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」のシャフトの最大の特長である「カウンターバランス設計」が慣性モーメントの大きい「G430 MAX」ドライバーのヘッドを軽々と振り抜くことを可能にしています。手元側に「タングステンプリプレグシート」を採用してシャフトのバランスポイントを手元側に大きく設定したカウンターバランス設計になっていることで爽快な振り抜き感を演出してくれるでしょう。

SRフレックスを実際に打ってみるとスウィング中も大慣性モーメントヘッドを感じさせず、軽く振り抜けるのが印象的です。手元側はしっかりとしていますが、硬すぎることなく、ほどよくしなりも感じられ、切り返しもスムーズ。シャフト中間部分から先にかけて滑らかに動き、メーカーカタログ表記「先調子」のイメージ通りのシャフト挙動です。インパクトエリアでは大慣性モーメントの「G430 MAX」のヘッドがしっかりと戻ってくれ、フェースが開かずにスクエアにインパクトを迎えることができます。

そして、驚いたのがそのシャフトの動きが毎回同じイメージになるという点。

アマチュアゴルファーがスウィングするだけで、ボールを右へ逃がさずしっかりととらえてくれるようにシャフトが自然に動いてくれます。ボールのつかまり感は絶妙で、つかまり過ぎることがありません。「安定してほどよくつかまる」といった感じです。インパクトは想像以上に厚く、ボールをフェースに押し込んでくれ、フェース面でボールが潰れるのを感じられます。ボールスピードも高いですし、バックスピン量も低減できるでしょう。スウィングスピードは体感的にも実測値も確実にアップすると思います。

「ファイアーエキスプレス PROTO TYPE CB」はR ・SR・ S3フレックス用意されていますが、「G430 MAX」に45.5インチで装着した場合のシャフト振動数は以下の通り。ネーミングにある「CB」はカウンターバランスの意味でクラブレングスを同じにしてもバランスは軽く仕上がります。

フレックス振動数シャフト長バランス
R234CPM45.75インチC9.5
SR244CPM45.75インチC9.6
S254CPM45.75インチC9.7
オリジナルシャフト(
SR)
224CPM45.75インチD2

一般的なアマチュアゴルファーにオススメのフレックスは「SR」。どのフレックスも完成されていますが、今回のテーマに沿って選ぶとすると非常に完成度が高く、大慣性モーメントヘッドをオートマチックに操ることが体感しやすい「SR」フレックスを基準に選ぶのが良いと思います。

大慣性モーメントヘッドをベンチマークに開発された「ファイアーエキスプレスPROTO TYPE CB」は「G430 MAX」を使うアマチュアゴルファーの求めるスウィングスピードアップはもちろん、パフォーマンスアップに必要な要素を補ってくれる完成度の高いシャフトです。大慣性モーメントヘッドへのシャフトチューニングの素材として今年話題になるシャフトの一つになると思います。

今回選ばせて頂いたどのシャフトもピン「G430 MAX」のヘッドパフォーマンスをアップしてくれると思います。

「シャフトは百聞は一見に如かず」

是非自分の求めるポイントに合わせて試して頂ければと思います。

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