▶前編「アマチュアの強い味方になる! ミニドライバー、何がいいの? どれがいいの?」を読む

解説/堀越良和プロ
試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属
今回試打したミニドライバーは6モデル。“とにかく曲がらない”というのが堀越プロの率直な意見だった。
「6本すべてに共通しているのが曲がらないということ。もちろん大型ヘッドよりも飛距離が抑えられるぶん、曲がり幅も抑えられるということもありますが、常にイメージした打ち出し方向へ球が飛んでいく印象です。これには少し驚きましたね」
直進性であれば、深重心の大型ヘッドのほうが有利だが、曲がらない、ということにおいて堀越プロに分析してもらった。
「確かにヘッドが直線的な動きをする深重心ヘッドのほうが直進性は高い。でもそのぶん“いうことを聞かない”ということが言えます。例えば、ダウンスウィングでフェースが開いた状態でインパクトを迎えたら、もう自分では制御できない。大型ヘッドでアマチュアが右プッシュするのはその影響です。反対に無理にフェースを返そうとすると、今度は極端な引っかけが出てしまう。そのように大型ヘッドをうまく使いこなせないゴルファーは意外と多いんです。
でもミニドライバーはとにかく操作性が高い。なので、自分の理想のスウィング軌道、インパクト、弾道のイメージができれば、スウィング中でも修正できる。つまり、自分の理想のスウィングがしやすいというわけです。結果的に私が打って曲がらなかったのは、自分の理想のスウィング、インパクトにアジャストできたということが言えます」
各メーカーから出ているミニドライバーを打ってみた
[テスト方法]
使用した計測器はトラックマン4。ボールはタイトリスト プロv1。数値はベスト5球の平均値。ヘッドスピード42m/sで打ってもらった。

トラックマンを使用
◆タイトリストGT280
ヘッド体積が最小の280cc。「クラブを置いた時に“小ささ”を感じることはなく、構えやすい」と堀越プロ。「ボール初速は60.9m/sも出るし、十分な数値。240ヤードの飛距離も満足です」方向性の安定感もあり、堀越プロの評価はかなり高かった。

「構えやすくて、飛距離も満足!」(堀越プロ・以下同)
クラブの長さ | ヘッド体積 | ロフト角 |
---|---|---|
43.5インチ | 280cc | 13.0度 |
キャリー | 総飛距離 | ボール 初速 | 打ち 出し角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
216.0Y | 240.0Y | 60.9m/s | 12.0度 | 2850rpm |
球の上がりやすさ ★★★★☆
操作性 ★★★★☆
ミスへの許容度 ★★★☆☆
つかまり ★★★★☆
◆キャロウェイ ELYTE MINI
何度かテストしてもすべて左右10ヤード以内に収まっていた。「これ本当に曲がらないね」と堀越プロも太鼓判。飛距離性能もあり、弾道の高さは今回の試打では一番高く、幅広いゴルファーのニーズに合致するモデルと言える。

「ミニドライバーなのに安心感があり、打ち出しが高いです」
クラブの長さ | ヘッド体積 | ロフト角 |
---|---|---|
43.5インチ | 340cc | 11.5度 |
キャリー | 総飛距離 | ボール 初速 | 打ち 出し角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
215.8Y | 236.8Y | 60.4m/s | 12.8度 | 3170rpm |
球の上がりやすさ ★★★★★
操作性 ★★★☆☆
ミスへの許容度 ★★★★★
つかまり ★★★★☆
◆テーラーメイド BRNR Mini ドライバー カッパー
“つかまり顔”をしているが他モデルと違う部分が。「6本の中で最も弾きの強い打感。楽につかまった球が打てるので、フェースが開いてインパクトしてしまう癖があり、ドライバーでスライスに悩んでいる人におすすめですね」

「弾きの強い打感でしっかりつかまる!」
クラブの長さ | ヘッド体積 | ロフト角 |
---|---|---|
43.5インチ | 304cc | 11.5度 |
キャリー | 総飛距離 | ボール 初速 | 打ち 出し角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
206.8Y | 236.0Y | 60.4m/s | 11.5度 | 2710rpm |
球の上がりやすさ ★★★☆☆
操作性 ★★★★☆
ミスへの許容度 ★★★★☆
つかまり ★★★★★
◆PXG シークレットウェポン
13度でロフトは寝ているもののボール初速が61m/sを上回り、飛距離も241.1Yで今回の試打では一番飛んだ。「飛ぶだけでなく、PXGは振りやすいですね。ロフトが寝ているぶん、高さが出るので、ヘッドスピードに自信がなくても◎」

「強いボールで風に負けない! 飛距離性能も高いです」
クラブの長さ | ヘッド体積 | ロフト角 |
---|---|---|
43.75インチ | 300cc | 13.0度 |
キャリー | 総飛距離 | ボール 初速 | 打ち 出し角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
216.8Y | 241.0Y | 61.1mm/s | 12.2度 | 2850rpm |
球の上がりやすさ ★★★★☆
操作性 ★★★★☆
ミスへの許容度 ★★★★☆
つかまり ★★★★☆
◆リンクス パララックス 305MD
「ミスがミスにならないクラブですね」と堀越プロも舌を巻いた。また、今回試打したクラブのなかで一番リーズナブルな販売価格4万1800円。数字を見ても他のクラブと比較して、機能的に全く遜色ない。コストパフォーマンスの面も魅力だ。

「直進性が高く、ミスヒットにも強いです」
クラブの長さ | ヘッド体積 | ロフト角 |
---|---|---|
43.75インチ | 305cc | 11.5度 |
キャリー | 総飛距離 | ボール 初速 | 打ち 出し角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
216.8Y | 235.1Y | 60.6mm/s | 10.8度 | 2530rpm |
球の上がりやすさ ★★★☆☆
操作性 ★★★★☆
ミスへの許容度 ★★★★★
つかまり ★★★★☆
◆キャスコ UFO AIR DD
「ヘッド後方の3本ラインで方向性を合わせやすく、構えやすいです。クラブを置いた時に据わりがいいです」と堀越プロ。一番ロフトが立っているが、スピン量も打ち出し角も適正数値。ヘッドスピードが遅くても十分に武器になる一本だ。

「ロフトは立っていますが、簡単にボールが上がります」
クラブの長さ | ヘッド体積 | ロフト角 |
---|---|---|
43.75インチ | 330cc | 10.5度 |
キャリー | 総飛距離 | ボール 初速 | 打ち 出し角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
213.2Y | 232.7Y | 60.1mm/s | 13.1度 | 3130rpm |
球の上がりやすさ ★★★★★
操作性 ★★★☆☆
ミスへの許容度 ★★★★☆
つかまり ★★★★☆
ミニドライバーの素朴なギモンを検証
Q、ヘッドスピードが遅いと使えない?
→「HS40m/s出ない人でも、飛ばせます」
堀越プロにヘッドスピード39m/sで打ってもらったが、満足のいく飛距離が出た。「ロフトが寝ていることが大きいですね。初速が落ちても高く打ち出せるぶん、十分なキャリーが出せます。ロフトが寝たモデルがおすすめです」

ヘッドスピードが遅くても飛ばせます
Q、芯にミートしなくても飛距離は出せる?
→「芯を外して打っても、ミスの寛容性は高いです」
トウ・ヒール寄りに外しても曲がり幅は少なかった。「ここがFWと違う部分です。MOIが10Kを超えるヘッドに比べれば曲がりますが、十分許容範囲です。まさにカーボンやチタンを駆使して最適重心に仕上げた結果です」

狙った場所へ運べる!コースマネジメントしやすいのが魅力です
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/クレアゴルフフィールド
※週刊ゴルフダイジェスト5月6日号「いま巷で話題になってる”ミニドライバー”」より一部抜粋