
全米プロのホールアウト後に喜びをあらわにするスコッティ・シェフラー。写真をクリックするとシェフラーの後方連続写真に飛びます(撮影/Blue Sky Photos)
www.golfdigest-minna.jp【動画】全米プロのスコッティ・シェフラーの全ショット(273ストローク)を公式YouTubeでチェック
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は海外メジャー第2戦「全米プロ」で5打差をつける圧勝で、メジャー3勝目を挙げたスコッティ・シェフラーの後方からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。シェフラーはドライバーではフェードを打つことが多いですが、シェフラーのフェードのポイントは下記の3点です。
➀常にフェースをややオープンに向けている
②ダウンスウィングでクラブヘッドが手よりも背中側(インサイド)から下りる
③スウィング軌道がインサイドでも、クラブパスはわずかにアウトサイドイン
また、後半ではフェードとスライスを分けるポイントについても解説しています。それでは早速チェックしてみましょう!
常にフェースをややオープンに向けている
まずはテークバック(P2・シャフトが地面と平行の位置)とトップでの「フェースの向き」に注目しましょう。フェース面を見ると、テークバック・トップともに右に向いているのがわかります。通常フェースの向きは、テークバックでフェースは背骨のラインと平行の向きで右下を向き、トップでは右上45度の向きだとスクエアと言われています。

画像①テークバックとトップの比較/フェース面はいずれもスクエアより右のオープンに向いている
しかしシェフラーの場合はテークバック・トップともにフェース面をスクエアよりオープンに向けることで、フェースが閉じないようにしています。フェードを打つにはクラブパスよりもフェースはオープンに向いておく必要がありますので、シェフラーの場合は常にフェースをオープンに向けることでフェードを打ちやすい状態をあらかじめ作っていると言えますね。
ダウンスウィングでクラブヘッドが手よりも背中側(インサイド)から下りる
2つ目の特徴は、「ダウンスウィングでクラブヘッドが手よりも背中側から下りる」点です。「CLUB - HAND GAP」は、「クラブヘッドと手の前後差の距離」を表し、例えばクラブヘッドが手に対して後方の背中側にある場合は数値はマイナス、逆にクラブヘッドが手に対して前方のボール側にある場合は数値はプラスになります。シェフラーの場合はP6(ダウンスウィングでシャフトが地面と平行)の位置で、マイナス15cm(クラブヘッドが手に対して背中側)ですので、インサイドからクラブが下りてきています。

画像②P6でのデータ/クラブヘッドが手に対してインサイドの背中側から下りているので、数値はマイナス
ここでアマチュアのスライサーと、シェフラーのフェードでは何が異なるか? について解説します。スライスの原因の1つにスウィング軌道が「アウトサイドイン」に下りる点があります。下の画像で左側のアマチュアのアバターは、バックスウィングよりもダウンスウィングのハンドパス(手の軌道)が前に出ていて、それに伴ってクラブヘッドが手に対してプラス17cmボール側に出ています。

画像③P6での3Dアバター比較 /左のスライサーは手とクラブどちらも前に出ているのに対して、右のシェフラーは手が前に出ずにクラブがインサイドから下りる
対してシェフラーはバックスウィングとダウンスウィングでハンドパスの前後差が少なく、クラブヘッドは手よりもマイナス15cm背中側から下りています。このシャフトが地面と平行のポジション(P6)で、「クラブヘッドが手に対してどのポジションにあるか?」はスウィング軌道をチェックする際の良い指標になりますので、是非チェックをお勧めします。
スウィング軌道がインサイドでも、クラブパスはわずかにアウトサイドイン
最後は「スウィング軌道はインサイドでも、クラブパスはわずかにアウトサイドイン」の点ですが、ここで重要なのは「スウィング軌道とクラブパスはイコールとは限らない」点です。例えばドライバーショットのようにアタックアングル(縦の入射角)がアッパーブローにインパクトした場合、クラブヘッドの最下点を過ぎてからインパクトしているので、クラブパスはスウィング軌道に対してアウトサイドインになります。

画像④インパクト付近の比較/インパクト直前からインパクトにかけて、クラブヘッドがわずかにインサイドに抜けている
「CLUB THRUST」は、アドレスの位置(0)からクラブヘッドがどれだけ前後に移動したか? を表します。(マイナスは背中側、プラスはボールの前方側)シェフラーのインパクト付近のデータを見ると、インパクト直前はプラス1.1cm、インパクトではプラス0.8cmと、クラブヘッドがインサイドに抜けていますので、クラブパスはわずかにアウトサイドインです。昔から「フェードを打つ時はインサイドインに振る」とレッスンで表現されてきましたが、シェフラーの「ダウンスウィングでクラブヘッドが手よりも背中側」=インサイド、「クラブパスはわずかにアウトサイドイン」=インに振る、すなわち「インサイドインに振っている」と解釈することができます。先程ご説明しましたスライサーの「アウトサイドインのスウィング軌道」との違いはここにあります。
ですので、もし「スライスではないフェード」を打ちたい場合は、ドローボールを打つ時と同じように「クラブヘッドはインサイドから下りてくる」ことでスライスではなくフェードを打てる可能性が高まるでしょう。
今回はスコッティ・シェフラーの後方からのドライバースウィングを解説させて頂きました。予選ラウンドでは泥がついたボールの処置に意見をしたシーンもありましたが、終わってみれば5打差の圧勝を成し遂げたシェフラー。この勢いが6月の全米オープンでも続くのか注目です!
【動画】全米プロのスコッティ・シェフラーの全ショット(273ストローク)を公式YouTubeでチェック