「風」といえば3月を連想するが、実は低気圧が発達して暴風が発生するのがこの時季。せっかくのラウンドで「風が強いから今日はダメだ……」ではもったいない。そこで週刊ゴルフダイジェスト6月3日号では、ショットメーカーであり、日本のみならず海外の風も経験してきた佐藤信人プロから、強風でも崩れないショットの打ち方を教えてもらっている。「みんゴル」では2回に分けてご紹介。【2回中2回目】
▶「佐藤信人プロが実践している風を読むコツとは?」

解説/佐藤信人プロ
さとうのぶひと。1970年生まれ。千葉県出身。ツアー通算9勝を挙げるショットメーカーであり、日・米ツアーの解説業もこなす。大学時代をアメリカで過ごし、日本ツアー参戦後は欧州に渡るなど世界の風を知り尽くす
強風の日こそハンドファースト
佐藤 打ち方は変えないでよいと伝えましたが、絶対に外せないポイントが1つだけ。それがハンドファーストです。
GD ハンドファーストの形が作れないと、どうなってしまうんでしょうか。
佐藤 ヘッドが手元よりも先行するとロフトが増えてしまい、打ち出し角が高くなります。どんな準備をしても水の泡。ですので、ハーフウェイダウンからインパクトまでは右手首の角度をキープ! という意識を強く持ってほしい。番手を上げたことでスウィングも小さくしてOKですので、最初のうちはショットというよりアプローチの延長線上のようなイメージを持つと、ハンドファーストの形を作りやすくなるでしょう。
GD 他に意識することはありますか。
佐藤 ややハーフトップ気味に当てるようにしてほしいです。僕はスコアラインの下から2番目くらいをイメージしています。そうするだけでこれも自然と打ち出し角を低くすることができます。フェアウェイバンカーや林の中からの脱出など、ほかにも使える状況があるので普段から練習しておきましょう。
ショットのポイント3つ!
ポイント①
スコアラインの下から2番目に当てる
ボールに当てるのはスコアラインの下から2番目。とはいえ、そんな細かいコントロールが必須という話ではなく。いつもより下めに当てるイメージを持つ、ということ。

下から2番目にあてる
ポイント②
手元の高さは肩より上げない
番手を上げて振り幅を小さくするだけで、打ち出しの高さはかなり抑えることができる。トップ、フィニッシュともに手元の高さが肩よりも上がらないように振ろう。

ハーフショットが基本
ポイント③
右手首の角度をキープ
低い球を打つ際の絶対条件が、ハンドファーストの形。ハーフウェイダウンからインパクト後まで右手首の角度が変わらない意識を持つこと。手首がリリースされるとインパクトロフトが増えてボールの打ち出し角が高くなってしまう。

右手首の角度は崩さない
アマチュアにスティンガーは打てない?
ハンドファーストをきつくしてロフトを極端に立てながら厚いインパクトで球をつぶすスティンガー。速いヘッドスピードと高度なスピンコントロールの技術が求められるため難易度は非常に高い。

タイガーのようなスティンガーが打ちたい
普段からアイアンを小さく振る練習を
佐藤 皆さんは普段からハーフショットの練習をしているでしょうか。
GD 練習場でそういったアマチュアの人はほとんど見かけません。
佐藤 普段やっていないことはいきなりコースでは使えません。ですので、ミドルアイアン以上の番手でもハーフトップが打てるように普段の練習に少しだけまぜておいてほしいと思います。最初はアプローチのように、そこから徐々に振り幅を大きくしていってください。その時、番手ごとのだいたいの高さやランの長さを見ておくと、強風の日でも番手選択や縦の距離を合わせるのに役に立つでしょう。

ボールの真ん中狙い打ち
ポイント
左サイドへの振り抜きを意識
振り幅を小さくしようとすると、手元にゆるみが生じてザックリになったり、体の回転が止まって引っかけたりする。体の回転を使い振り抜くことを意識しよう。

左サイドへの振り抜きを意識!
自分の身長より低い球を打つ「ハーフスウィングドリル」
手元が腰から下くらいの高さに収まるようにアイアンでハーフトップを打ってみよう。弾道の高さが自分の身長より高くならないのが目安。まずは7番アイアンからチャレンジ。

ハーフスウィングドリル
TEXT/SHOTANOW PHOTO/姉㟢正 THANKS/かねひで喜瀬カントリークラブ
※週刊ゴルフダイジェスト5月6日号「アゲンストに負けないアイアンショット」より一部抜粋