
解説/里 祐太郎プロ
1987年、オーストラリア生まれのバイリンガルプロ。300ヤードのビッグドライブとオーストラリア仕込みのクレバーなコース戦略が魅力。東名CCでジュニア育成とラウンドレッスンを行っている
まずは狙い方
GD 180ヤード以上あるような長いパー3は、なんとか無事に通過したい鬼門のホールですよね。
里 そうですね。長いパー3で、まず最初に考えてほしいのが、OBや池、谷、グリーンまで距離のあるバンカーなど、打ち込んでしまうとダボ以上が確定するエリアを避けることです。
GD なるほど。まずは、ダボになる場所を確認するんですね。
里 そのうえで、僕がおすすめしているのは、ボギーを確保しながらパーを狙う作戦です。
GD ダボを避けて、パーかボギーで上がるわけですね。
里 そのためには、2打目を上りのライから打てる場所にティーショットを運ぶことがポイントです。

花道は安全地帯です
ポイント ティーショットの狙いどころは上りのライから打てるエリア
「ティーショットの狙いどころは、2打目が上りのライから打てるエリアです。下りのパットよりも上りのアプローチのほうがやさしいので、2打目がやさしく打てるのはどこかを考えて狙いどころを決めます。グリーンを外すならどこが寄せやすいかを想定してティーショットをするわけです」(里・以下同)
GD 上りのライ?
里 たとえばピンより奥に乗せて、下りのパットを残すくらいなら、上りのアプローチのほうが、ピンに寄せられる可能性は高くなるわけですから。
GD 必ずしもワンオンを狙わない?
里 そうです。ピン位置によっては、ワンオンさせないほうが、2打目がやさしくなるケースも多いんです。2打目が上手くいくかどうかで、どんなパーパットが残るか決まるわけですから。ピンに向かって、素直に上っているライが絶対に有利なんです。
ピン位置によって狙いどころが変わってくる【ケースバイケース】
長いパー3は、距離そのものがハードルになるため花道が開けていることが多い。タテ長の緩やかな受けグリーンが一般的で、ゴルファーがミスしやすい右手前と左奥にバンカーがあるケースが多く見られる。

まずはピンの位置を確認しよう
【ケース1】右バンカーを避けて左の花道を狙う
たとえ乗せても奥からは下りのパットなので、右のバンカーを避けて、左の花道を狙う。転がっていればOKのつもりで、エッジまでの距離を打つ。ナイスショットでピンオーバーというのが一番もったいないミスだ。

グリーン奥は絶対ダメ!
【ケース2】ピン手前を狙って外すなら左サイドが安全
緩やかな受けグリーンの場合は、ピンまで届かない距離を打つのが正解。もしグリーンを外すなら、左手前が比較的寄せやすい。グリーンの上り傾斜がきつくなるほど、奥に外したときの難度が上がってしまう。

ピン手前左サイドがベスト
【ケース3】狙いはセンター外すとしたら左サイ
グリーンセンターが狙い目。グリーンを外すとしたら、左サイドが上りのアプローチを残せてセーフティ。右手前のバンカーはピンまで距離があり、左奥のバンカーは下り傾斜で寄りにくいので絶対に避けたい。

グリーン真ん中か左手前を狙う
狙う打ち方は?
GD 長いパー3のティーショットを打つとき、気を付けるポイントはありますか?
里 UTや5Wで打つゴルファーが多いと思いますが、このとき、ついついやってしまうミスがあるんですよ。
GD それは、どんなミス?
里 ただでさえプレッシャーがかかる難しいショットですから、つい球の行方が気になって、顔が早く上がってしまうヘッドアップ。もうひとつは、飛ばそうとして伸び上がって、手元が浮いてインパクトするミスです。
GD やってしまいそうですね、そのミスショット!
里 この2つのミスを防ぐには、腕とシャフトの角度をキープするように振るといいですよ。タテのコックをキープできると、当たりがよくなって、出球の方向も安定するので、ヘッドアップも手元の浮きも解消できます。
ミスが出る原因
長いパー3のティーショットはなぜ難しいのか?
クラブは5WやUT
アマチュアにとって飛ばせるクラブだが、ミスショットになる危険性もある。

クラブ選択も大事
風の影響を受けやすい
アイアンよりも高弾道で飛距離も出せるぶん、曲がりやすく、風の影響も受けやすい。

風を読むのも大切
そのためこんなミスパターンが起こりがち!
・ヘッドアップ どこに飛んだか球の行方が気になって、ついヘッドアップ。
・手元の浮き 飛ばそうと力んで、腰が伸びて手元が浮き上がる。

ヘッドアップと手元の浮きは禁物
→ 結果! フェースが開いて球が曲がってしまう
手首の角度をキープして打とう
腕とシャフトの角度を保ったまま打つ
「長いパー3のティーショットで気を付けるポイントは、インパクトで手元を浮かせないということ。アドレスでできた左腕とシャフトの角度(タテのコック)を変えないように、手元を浮かせないように振ることで、いつものようにショットすることができます」

ここの角度をキープします
ポイント 胸を下に向けたままインパクトする
「体が起き上がると手元も浮いてしまうので、下向きの力を使ってスウィングすることが大切です。具体的には、胸を下に向けたままインパクトする感覚です。これで、腰が伸び上がらなくなるため、手元も浮き上がりにくくなります」

腰が伸びあがらなくなるので手元が浮かない
PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/東名CC
※週刊ゴルフダイジェスト6月3日号「180ヤード以上の長いパー3」より一部抜粋