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【飛ばしの秘訣②】
トップで胸を上空に向けてます
和太鼓の要領でひじを使いヘッドを走らせる感覚をつかみ、一気に飛距離が伸びたと言う長谷川。技術的な飛距離アップについてさらに聞いた。
「まだたくさんありますよ(笑)。でも初めなのでわかりやすく簡単にできるものをお伝えします。“トップで胸を上に向ける”と飛距離が伸びます。これは男子のドラコン選手に教えてもらったんですけど、ビックリするほど飛ぶようになります」

トップで新しい景色を見る
なぜトップで胸を上に向けると飛ぶようになるのか。
「スウィングの円弧が大きくなって遠心力が強くなる。もうひとつは、トップが高くなるので上から振り下ろす落下速度がついて速く振れるからです。できる範囲でいいのでやってみてください」
胸を空に向かって大きく広げてみると、長谷川のように今まで見たことのない景色が見えてくるのかもしれない。
ポイント
遠心力を使うには?
胸を上に向けると(写真左)スウィング円弧がおおきくなり遠心力が強くなる。反対に、胸が下を向くと(写真右)、手元の位置が低くなり振り下ろす速度が上がらない。

テークバックで胸は上を向く
決してスウィングバランスが崩れることがない!
ドラコンというと少し荒っぽいスウィングの選手が多いが、彼女は決してそうではない。グリップもアドレスも美しく、持っている力をMaxに出してもスウィングバランスが崩れることなく振り切れるのが最大の特徴だ。
【飛ばしの秘訣③】
振って振って振りまくると本当に速く振れます
飛距離を伸ばすための技術面について聞いてみると、ある練習について語ってくれた。それは”素振り”だった。
「素振りはやってましたし、いまも必ずやります。いまでも、夜は家の外や練習場などでは必ず振ります。でもちょっと皆さんが思っている素振りとは違うかもしれません」
普通の素振りと違うと言う長谷川だが、何か特殊な道具を使うのだろうか。
「“振って振って振りまくる”これが私がやってる素振りの基本です(笑)。いつでも強振していれば、それが普段のスウィングスピードになります。その積み上げがヘッドスピードのアップにつながってくると思っています。だから毎日必ず目標を設定してやってます。“昨日よりヘッドスピード1m/s上げないと練習から帰らない”とかです」

素振りは欠かさずやっていると言う長谷川。室内で素振りができないときは、夜でも家の外に出て素振りをすると言う
技術面の話をしてくれた長谷川だが、とらえ方によっては精神面の話にも聞こえる。
「いろんな素振り用クラブも使ったりしてますが、大切なのは、脳が速く振れるという錯覚を起こし速く振る感覚を体でつかむことが大切だと思っています。だから今も素振りは欠かさずやっています」
ポイント
逆さ素振り
クラブを逆さに持ち素振りをする。
「軽いものを限界まで速く振ることで、速く振れるという錯覚も起こるので、潜在能力を引き出すにはいい練習だと思います」

素振りをするときは計測器を使ってヘッドスピードを測るという。「その日に達成したいヘッドスピードの数値を決めて、達成するまで帰らないようにしていました」
【今後の展開】
あと20ヤード伸ばして秋田の地から世界イチ目指します!
「高校時代はつらいことが多かったですが、逆にその経験が今のわたしの人生に良い影響を与えてくれていると思っています。先日出場した世界大会では8位でしたが、1位との差は約20ヤードでした。世界イチまであと20ヤードまで来たので頂点に上ります」
彼女のスウィングは、飛ばしに特化した特殊なスウィングではない。現に、ある有名プロコーチが彼女のスウィングを見てツアーを目指したらどうかと言ったそうだが、「全然ですよ(笑)」と謙遜をする。
今回、飛距離を伸ばす方法を紹介したが、ほんの一部しか紹介できていない。彼女の驚異的な飛距離の秘密を今後も引き続き紹介していく。

長谷川の実家の田畑。撮影時は雨にもかかわらず、キャディバッグを担いで軽快な足取りで畝を歩く長谷川。「月イチくらいで帰郷して農作業の手伝いしてますね。夏はスイカも作ってるんですけど、メチャクチャ美味しいですよ(笑)」と、満面の笑みで答える日本イチ飛ばす女子大生だ
PHOTO/Takanori Miki、Tsukasa Kobayashi
THANKS/南秋田カントリークラブ、秋田グリーンヒルゴルフ、秋田ノーザンハピネッツ
※週刊ゴルフダイジェスト5月13・20日号「長谷川円香って知ってるか?」より一部抜粋