横田真一（よこたしんいち）
72年生まれ。53歳。専修大学ゴルフ部出身。95年にツアーデビューすると、その年にシード権を獲得し、97年の全日空オープンで初優勝を飾る。その後、アプローチイップスに悩むも、10年のキヤノンオープンで13年ぶり２度目の勝利を挙げた。40歳をすぎてから順天堂大学院・医学研究科に入学し、2年間の修士課程を修了するなど、知見を深める努力も怠らない個性派プロゴルファー。現在は、日本と欧州のシニアツアーに参戦しながら、YouTuberとしても活躍中。
トーナメント中に開催されるプロアマ戦の多くは、ベストボール方式で行われます。これは、4人が同じ場所から打ち、その中からベストなボールを選び、そこからまた4人が（同じ場所から）打っていってホールアウトするという競技方法なのですが、日本と欧州ではちょっとルールが違うんです。
まず、日本では、基本的に4人のなかのベストスコアが採用されます。たとえば、あるホールでひとりがバーディ、他の3人がパーとボギーだったらスコアはバーディ（-1）。ボギーとダブルボギーばかりだったらスコアはボギー（+1）となり、その18ホールの合計がチームのスコアになるわけです。
これに対して、欧州ではパー以上は0ポイント、バーディは1ポイント、イーグルは2ポイント、アルバトロスは3ポイントと計算されます。たとえば、あるホールでバーディが1人なら1ポイント、3人なら3ポイントを獲得でき、その18ホールの合計ポイントで勝敗が争われるのです（ちなみに、日本でも欧州でも、プロはスクラッチ、アマチュアにはハンディがつけられていて、ハンディホールは-1打で換算されます）。
では、この違いがゲームにどのような違いを生むかということなのですが、欧州方式がなかなかいいのです。なぜなら、日本方式だと、全員がボギーを打ったときスコアがボギー（+1）となります。基本的に、プロが入ったチームでベストボールのゲームを行うと、不運が重ならない限り、ボギーは出ません。逆に言うと、ボギーを打った瞬間、優勝争いから大きく後退し、チームが意気消沈してしまうのです。
その点、欧州方式は、みんなが叩いてもポイントがつかないだけ。さらに、1ホールでポイントをたくさん稼げるチャンスがあるので、全員がアグレッシブな気持ちのまま18ホールをプレーできます。たとえば、アイリッシュレジェンズのプロアマのとき、あるパー3でアマチュアの人がベタピンにつけ、全員がバーディを取ることができました。さらに、その中のひとりはハンディホールだったため、その人はイーグル扱いとなり、1ホールで5ポイントを稼ぐことができたのです。
こういうことがあるとチームはめちゃくちゃ盛り上がります。その日初めて会った違う国のプレーヤーなのに、そこに一体感が生まれ、ハイタッチをして喜べる。つまり、とっても楽しいのです。
また、日本方式では、パーパット、もしくは、ボギーパットまで真剣にやらないといけない場面に遭遇しますが、欧州方式では、バーディパットを外した瞬間にポイントが決まるので、全体のプレー時間が早くなるのもメリットと言えるでしょう。
もちろん、日本方式がよくないと言ってるわけじゃありませんよ！ でも、実際に欧州方式のベストボールを体験したら、日本のシニアツアーで試してもいいんじゃないかと思うくらい楽しくプレーができたのは、新しい発見だったのです。
ベストボールは、腕前に差があるプレーヤーが集まる大きなコンペなどで行うと盛り上がる競技方式です。もし、そういうコンペがあったら、みなさんも欧州方式のベストボールを採用してみてはいかがでしょう？
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