
ヨネックスレディスで初優勝を飾った髙野愛姫(撮影/有原裕晶)
「小さいころからの夢が叶った」

ギャラリーの前で両手を挙げて、喜びを表現した(撮影/有原裕晶)
控えめな優勝シーンだった。最終18番、髙野は30センチのパットをカップに沈めると、キャップのつばを右手でつまんで小さく頭を下げた。この時点ではまだ後続が2組プレー中とあっての配慮だったのかもしれない。同組の入谷響とハグをしたときにはほっとしたような笑みを浮かべた。
優勝インタビューではしっかりと自分の言葉で喜びを口にした。
「優勝したっていう実感はなくて、本当になんか大変な一日が終わったなって感じです。小さいころからの夢だったJLPGAツアー優勝が叶ったので、本当に今日夢が叶ったんだという感じでした」
この日は首位に4打差のスタートだったが、あきらめずに前だけを向いた。3番パー3で第1打を5番ユーティリティで1.5メートルにつけてバーディ先行。4番パー4で3メートル、5番パー4でも2メートルを入れて3連続バーディを奪い波に乗った。8番からは怒とうの4連続バーディ。8番パー4と10番パー4では7メートルの長いバーディパットを決めた。さらに13番パー5、15番パー5でもスコアを伸ばし、最終的には2位に4打差をつける圧勝となった。
「ラスト3ホールくらいで初めて自分がトップにいるのを知って、そこからどんどん手が震えてきた。最後のパットもすごく短かったけど、手は震えていて、入って本当にほっとした感じでした」
東京都出身で5歳からゴルフを始めた。岩井姉妹や菅沼菜々と同じ埼玉県の埼玉栄高を経て現在は日大在学中の女子大生プロ。2023年のプロテストに合格し、今季はQTランク23位でツアーに参戦中で、前週までのメルセデス・ランキングは60位だったが、この優勝で一気に26位に浮上した。
「今年の(開幕戦の)ダイキン(オーキッドレディス)で3日目に最終組で回らせてもらって、私なんかが優勝できる人じゃないっていう感じだったんですけど、今日は本当に自分を最後まで信じようと思って、私なら優勝できるって思って頑張りました。(岩井姉妹は)自分にはできないようなことをずっと頑張っているような方で、後輩にもすごく気を遣ってくれるし、尊敬している先輩です」
前週のリゾートトラストレディスで初優勝を果たしたプロテスト同期合格の稲垣那奈子に刺激をもらっての優勝でもあった。
「ものすごく刺激になりました。自分も頑張らなきゃって思いました。今年は試合に出られているので、稲垣さんの優勝を近く感じることができたと思います」
東名CCで練習! 「スタンレーに出られるのはうれしい」

ラインを読む髙野(撮影/有原裕晶)
趣味はカラオケで1人カラオケが多いという。
「1人で3時間とか歌います。3時間だと知らない曲も入れないと。楽しいですね、歌うのは」
プロ2年目の劇的な初勝利で今後の夢も大きく広がった。
「今日1勝を挙げることができたんですけど、多分今のままだと複数回優勝はちょっとどうなんだろうっていう不安があるので、もうちょっと頑張って次は最後まで震えないでちゃんと優勝ができるように頑張りたいです。日大でスタンレーレディス会場の東名カントリークラブを回らせてもらっていたので、スタンレーに出られるのはうれしい。これからはトップ10に入る回数を増やせて、もう1回優勝できたらうれしいです」
彗星のように現れた新ヒロインがこれからもどんなゴルフを見せてくれるのか、目が離せなくなってきた。