全米オープンで劇的な逆転優勝！J・J・スパーンのドライバースウィングをAIで分析!

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は海外メジャーの「全米オープン」で、劇的な逆転優勝を飾ったJ・J・スパーン（以下スパーン）のドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させて頂きます。スパーンのスウィングの主な特徴は、以下の3点です。

①頭を右に動かしてから始動する
②狭めのスタンスで、その場でターン
③フェードヒッターらしいリリースが遅めのフォロー

スパーンは今年優勝こそなかったものの、2位が2回でそのうち1つはザ・プレーヤーズ選手権でローリー・マキロイとプレーオフを演じるなどの実力者で、昨年のZOZOチャンピオンシップでも来日して6位タイの好成績を収めている選手です。それでは早速チェックしてみましょう！※スウィング画像はキャロウェイ契約当時のもの。現在のスパーンはスリクソン契約です。

頭を右に動かしてから始動する

まずはアドレスから始動するまでの動きに注目しましょう。「HEAD SWAY」（以下・頭の左右移動）は頭がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか? の距離を表し、「SWAY GAP」は胸と骨盤の左右差を表します。（それぞれマイナスは右、プラスは左）スパーンのアドレスから始動までをよく見ると、頭の位置が右に動いているのがわかります。アドレスでは5.9cm（左）にあった頭の位置が、始動する時にはすでに頭の位置が右に動いて0cmになってからテークバックを開始します。

この下半身を動かすことなく頭が右に移動することで、胸と骨盤の左右差は胸が骨盤に対してより右に傾きますので、そのため胸と骨盤の左右差はマイナス3.2cmからマイナス5.1cmまで広がっています。この胸と骨盤の左右差が広がることで、ドライバーショットはアタックアングル（入射角）をアッパーブローにインパクトしやすくなります。このアドレスから始動にかけて頭を右に動かすことは、例えば頭を動かさない意識が強すぎて、トップで頭と胸が左に傾くリバースピポットの傾向がある方や、テークバックの始動をスムーズにしたい方にも効果的です。

狭めのスタンスで、その場でターン

続いて2つ目の特徴は「狭めのスタンスで、その場でターン」する点です。「CHEST SWAY」（以下・胸の左右の移動）は胸がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか？の距離を表し、「PELVIS SWAY」（以下・骨盤の左右の移動）は骨盤がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか？の距離を表します。（マイナスは右、プラスは左）スパーンのアドレスからインパクトを比較すると、胸はインパクトでマイナス5.7cm（右）、骨盤はインパクトでプラス5.9cm（左）です。

スポーツボックスAIが独自で調査した、インパクトでの胸と骨盤の左右の移動距離の海外男子ツアーレンジ（範囲）は、胸がマイナス6.9cm～プラス3.3cm、骨盤がプラス7.1cm～15.7cmですので、スパーンは胸と骨盤ともに左にはあまり移動せず、その場でターンするタイプである事がわかります。この左への移動が少ないことで、クラブパスはアウトサイドインにインパクトしやすくなります。フェードヒッターのスパーンらしい特徴の1つです。

フェードヒッターらしいリリースが遅めのフォロー

最後にフォロースルーについて解説します。スパーンはP8（フォローでシャフトが地面と平行の位置）に到達するのがベルトラインよりも上で、シャフトが地面と平行の位置に到達するのが比較的遅いタイプです。以下の写真は、手首を積極的に使うタイプのドローヒッター（左）とスパーン（右）を3Dアバターで比較しましたが、スパーンのほうがより手が遠く高い位置でシャフトが地面と平行になっているのがわかります。

「WRIST GAIN FACTOR」は、シャフトの回転スピード÷左腕の回転スピードの比率で、この数値が高いほど手首を使ってクラブをリリースするのが得意なタイプの指標としてスポーツボックスではデータ分析していますが、左のドローヒッターが2.01なのに対して、右のスパーンは1.72なので、スパーンは手首をあまり使わずフェースを返さないタイプであることがわかります。最終日の17番では見事なフェードボールで1オンに成功してバーディで抜け出したスパーンですが、土壇場で放たれたフェードボールは、スパーンの得意な持ち球であったことを裏付けるデータと言えますね。

今回はJ・J・スパーンを解説させて頂きました。最終日は一時イーブンパーもいなくなり、オーバーパーでの過酷な優勝争いでしたが、最後はスパーンが見事な連続バーディで唯一のアンダーパーフィニッシュでした。実に全米オープンらしい見応えのあるサバイバルでした!

撮影/岩本芳弘

全米オープン最終日をチェック!【USGA公式YouTube】

関連記事はこちら!

全米オープンで「77年連続使用率ナンバー１」を記録。なぜプレーヤーたちは“究極の我慢比べ”でタイトリストのボールを選ぶのか - みんなのゴルフダイジェスト

アンダーパーは一人だけという過酷な試合となった第125回全米オープン。そんな中、タイトリストのボールが、同オープンで77年連続使用率ナンバー1という記録を打ち立てた。その圧倒的な支持こそが、性能の高さの裏付けに他ならない。

www.golfdigest-minna.jp

「エベレスト登頂したあとは次にどの山に登るかが難しい」マキロイが最終日にようやくベストスコア【全米オープン最終日】 - みんなのゴルフダイジェスト

優勝候補に挙げられていたローリー・マキロイの全米オープンの4日間はどう評価すれば良いだろうか？ マスターズを制覇し念願のキャリアグランドスラムを達成したことで、モチベーションを維持するのが難しくなっているようだ。それでも最終日にはフィールド全体のベストスコアとなる3アンダー「67」をマーク、49位タイから19位タイへ大きく順位を上げてフィニッシュした。彼にとって次なるターゲーットが地元・北アイルランドで開催される7月の全英オープンだということは間違いない。

www.golfdigest-minna.jp

雨の中のサバイバルレース、20メートルのバーディパットを捩じ込んだJ・J・スパーンが全米オープンで感涙のメジャー初V - みんなのゴルフダイジェスト

降雨で1時間半以上の中断を挟んだ全米オープン最終日、再開後に最終組の2人（サム・バーンズ＆アダム・スコット）が崩れるなか混戦模様に拍車がかかり一時首位に5人がひしめく展開に。しかし上がり2ホールで鮮やかなバーディを決めたJ・J・スパーンが後続を振り切りただひとりアンダーパー（通算1アンダー）でチャンピオンに輝いた。

www.golfdigest-minna.jp