そもそもゴルフは不公平なものだ。午前中の組で回るか午後の組かで条件は大きく変わる。オークモントCCでおこなわれた今年の全米オープン最終日は最終組にとって大きな試練だった。大雨に見舞われて1時間半以上の中断を挟み再開したあとコースは時間を追うごとに水嵩が増した。単独トップでスタートしたサム・バーンズの優勝を阻んだアンフェアな裁定が物議をかもしている。

最終ホールでおよそ20メートルのバーディパットを決めたJ・J・スパーンの劇的な勝利は後世に語り継がれることだろう。チャンピオンに相応しい文句のない優勝だった。

しかしもし15番でバーンズの第2打がカジュアルウォーター(テンポラリーウォーター)と認定され救済を受けていたら展開は変わっていたかもしれない。

画像: サム・バーンズが全米オープンで受けた裁定が物議をかもしている(撮影/岩本芳弘)

サム・バーンズが全米オープンで受けた裁定が物議をかもしている(撮影/岩本芳弘)

ティーショットがファーストカットと境目のフェアウェイをとらえたときバーンズは「ツキがある」と感じていた。しかし実際その場に行ってみると激しい雨でできた水溜りにボールが浮かんでいる状態だった。

現行のルールでテンポラリーウォーターとは「ペナルティエリア外にありプレーヤーがスタンスを取る前または後に見える地面の表面に一時的に溜まった水」と定義されている。

1オーバーで首位に並んでいたバーンズは競技委員に裁定を仰いだ。すると「無罰でドロップできるほどの状態ではない」との見解。諦めきれないバーンズはもうひとりの競技委員に再度確認。しかし裁定は覆らず「あるがままにプレーせよ」という指示だった。

素振りでは水飛沫が盛大に飛んだ。実際のショットでも大量の水が跳ねキャディと顔を見合わせたバーンズは「あり得ない」とつぶやいた。5番アイアンの打球は大きく左に外れ厄介なラフにつかまりダブルボギーを叩いて後退した。

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NBCで解説したブラッド・ファクソンは「バーンズは救済を受けるべきだった。まずい判定だった」とあからさまに批判。

「(天候による)遅延の影響をもっとも受けたのはバーンズだ」と同情した。

同伴プレーヤーのアダム・スコットも「私も疑問でした。あれはプレー不可能な状況だったから。11番で自分も経験しましたが地面に浮かぶ水上飛行機(あまり意味がわからないが……)のようでした」とバーンズを擁護した。

本人は「ベストを尽くしました。自分が持てる力をすべて発揮しました」と潔かったが「結局のところ自分の責任ではなく審判の責任」とも語っている。

単独トップからメジャー初制覇、ツアー6勝目を目指したが親友スコッティ・シェフラーと同じ7位タイに終わったバーンズ。過ぎたことは仕方ない。2週連続優勝争いと目下絶好調なだけに近い将来のリベンジに期待したい。

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