WGNが生まれたきっかけは、2019年にJGAがR&Aの『女性のゴルフ振興憲章』に署名したこと。JGAゴルフ振興推進本部「女性とゴルフ部会」の部会長、吉村佐喜子氏は語る。
「R&Aが女性のゴルフへの参加率を高め、ゴルフ界における女性の地位を向上させようという目的で活動を始めました。女性ゴルファーが増えれば、たとえば夫や子どもと一緒にゴルフに行く機会も増え、ゴルフの普及、ゴルフ界全体の底上げになるという考えです。各国団体の支援を行うようになり、同年4月、JGAもこの憲章に署名しました。JGAもそれまでは競技が中心でしたが、定款を変更し、ゴルフの健全な発展と普及、ゴルフのイメージアップを図る活動が最も大切な事業であることを明確にしました」

今春初めて行われた「日本女子シニアオープンゴルフ選手権 太陽生命 元気・長生きカップ」。優勝は不動裕理。女子ゴルフの層の広がりがわかる大会だ
署名した世界の団体/組織は1300以上に上る。目標数値は団体によって違うが、JGAでは、2026年までに女性のゴルフ人口比率を11%から20%に増やすだけでなく、女性理事の人数比率を14%から40%に引き上げること、重要な意思決定を行う組織を担う女性を増やすこと、各選手権における男女数の均等の改善を継続することなどの目標を明示し取り組んできた。世界的に企業役員や政治家の女性比率が極端に少ないと言われる日本。ゴルフ界においては“女性の地位向上”の意志が見て取れる。
「女性理事の比率はスポーツ庁からも40%という目標が示され、昨年達成しました」(吉村氏・以下同)

吉村佐喜子部会長。日本女子大学ゴルフ部でゴルフを始め、JGAの競技委員としても「女子部」創設から関わる。ゴルフは40代半ばに本格再開。「パーシモンを買い替えるところから再開しました(笑)。やはりいいショットが出れば楽しい。今でも夫や50年来の仲間とラウンドできるのが魅力です」
数は武器にもなり得る。また、日本ジュニアの参加枠における男女比についても是正を図り、22年から高校男女が各120名、中学男女が各60名(霞ヶ関CC、東京GCにてそれぞれ開催)とした。
「日本ジュニアは“JOCジュニアオリンピック”の冠を持っていたので、その理念として男女同数であるべきだと考えました。最近は女子ジュニアも確実に増えています」
ジュニアの動向は、昨今の日本女子ツアーの人気はもちろん、米LPGAでの日本人選手の活躍をも支えているのだ。男女競技を均等にするため、昨年は日本女子グランドシニアゴルフ選手権を創始、今年は初めて「日本女子シニアオープンゴルフ選手権 太陽生命 元気・長生きカップ」も開催した。
「茂木宏美プロが『アマチュアの方と一緒に回れてよかった。一生懸命上達しようとしていらっしゃることに感銘しました。自分が今後、ゴルフ普及のために果たすべき役割も考えさせられました』とおっしゃっていたのが印象的でした」

日本女子オープンゴルフ選手権では歴代優勝者による特別レッスン会を開催。今秋にも同選手権開催に合わせた「秋の女性とゴルフ週間」(9月21日~ 10月5日)」で様々なイベントを行う予定
では実際、肝心の女性のゴルフ人口は増えているのだろうか?
「現在、データを収集しているところですが、ゴルフ場入場者数の約15%ほどとなっていると思われます。コロナ禍で若者を中心に増えた感覚もありますが、まだまだですね」
そもそも、ゴルフ人口自体が減っているのだ。何事も“普及”には継続と根気が必要である。
「年間を通じて8地区ゴルフ連盟、加盟倶楽部およびゴルフ関連団体の皆様と様々な取り組みを行っています。春と秋の『女性とゴルフ週間』の設定、この期間中はゴルフ場や全日本ゴルフ練習場連盟加盟の練習場、日本ゴルフ用品協会、日本パブリックゴルフ協会などの団体と協力して様々なイベントを行います。
トーナメント会場でのPR活動やイベント、BМW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップでは、女性を入場無料にしていただいたり、男性も参加できるイベントなど。実は以前から独自の取り組みをされているゴルフ団体、関連施設や企業なども多い。関西ゴルフ連盟はKGU-Dレディースクラブを組織して様々な活動を行ってきて、すでに会員は2000人を超しているそうです。そういった素晴らしい取り組みは尊重しながら、私たちが旗振り役となり、新しい取り組みに協力していきたいです」

Women’s Golf Nowのロゴマークを掲げる参加者の皆さん。練習場やコースは「入り口」であり、その後女性ゴルファーたちの「舞台」となり「居場所」ともなる。活動の紹介、参加の案内は画像をクリックして「JGAゴルフ応援サイト」へ
www.golfer-support.comムーブメントを起こすためには、仲間づくりが必要になってくる。何より、より多くの女性にゴルフの魅力を知ってもらい、始めてもらい、続けてもらうことが目的である。
もっとゴルフを身近に!
ジャパンゴルフフェアにも出展。ポップの設置やマーカーの配布などを行った。JGA主催アマチュア競技、オープン競技会場、日本パブリックゴルフ協会主催競技会場でもPR活動を行う。今後、 9ホールや6ホールのプレー、スクランブル競技、お散歩ゴルフやゴルフ観戦、「ゴルフ×〇〇(グランピング、温泉、バーベキューなど)」などで楽しんでもらいたい。

PHOTO/ Hiroyuki Okazawa、日本ゴルフ協会
※週刊ゴルフダイジェスト6月24日号「ゴルフの多様性を女性から発信」より一部抜粋