
杉澤キャディがオススメする15番ホール。写真左奥にティーイングエリアがある(PHOTO/Getty Images)
今週はコネチカット州のTPCリバーハイランズを舞台に「トラベラーズ選手権」が開催される。
「トラベラーズ選手権は、かつてはチャレンジャーが出場できる大会で、多くの選手にチャンスがありました。舞台となるコースが比較的短いこともあり、飛びにくい人や幅広い年齢層で色んな人が参加できていた大会でした。しかし、シグネチャーイベントに昇格したことで出場枠が絞られ、トッププレーヤーたちが集う舞台へと変貌を遂げました。かつてはそんな大会だった会場でモンスター級の選手たちが戦うのは面白いと思います」(以下、杉澤)
タフなコースセッティングで忍耐力を試された全米オープンとは対照的に、TPCリバーハイランズはバーディ合戦が繰り広げられることで知られる。
そしてTPCリバーハイランズには杉澤キャディも過去に訪れたことがあり、こう語る。
「今回の舞台である“TPCリバーハイランズ”はキャディとして何度も行ったことがあります。そんなこのコースは全長6844ヤード、パー70という短いコースは、全米オープンを経験した選手たちにとっては“やさしく”感じられるかもしれませんね。フェアウェイが狭く、グリーンも小さいうえ、風も強いので一見難しそうに見えるコースです。ただ、実際は距離が短いので基本的にはアグレッシブに攻めるべきコースです。スコアが出て良いコースなので、全米オープンとは変わって、真逆のゴルフを見ることになると思います」
本コースはアップダウンのあるコースとしても知られる。
「このコースはアップダウンのあるコースでもあります。なので、アイアンショットでの縦の距離感が重要になってきます。ピンを積極的に狙っていくアグレッシブなプレーが求められる一方、少しの計算ミスが大きなミスに繋がる可能性があります。そんなことを踏まえると、ショートアイアンが得意な選手が上位に来るのではないでしょうか」
杉澤キャディからトラベラーズ選手権を見るうえで注目のホールを2つ教えてもらった。まず、観戦ライト層に向けたスリリングな一推しホール、15番ホール。
「このホールは296ヤードのパー4で、誰もがワンオンを狙えるチャレンジングなホールです。しかし、左には池、右にはバンカーが待ち構えていて、グリーンに乗せても傾斜が強いです。成功すれば大きなアドバンテージを得られますが、失敗すれば大きなリスクを背負うことになる、そんなスリリングなホールになっています」
観戦上級者に一推しは、17番ホール。
「このホールはグリーン手前に池が待ち構えていて、ティーショットにも右の池が絡んできます。ドライバーで攻めるか、安全に刻むか、ティーショットの戦略が分かれるのが面白いと思います。ピンの位置によっても攻め方が変わる、戦略性の高いホールになっています」
全米オープンは「大人」への試練
トラベラーズは「少年」への回帰
「先週行われた全米オープンは、忍耐と自制心を試される“大人”の戦いだったと思います。一方で、トラベラーズ選手権は、失敗を恐れずアグレッシブに攻める、“少年”のような気持ちを思い出させてくれる大会といえます。だからこそ攻めの気持ちがより大事になってきます。先週との違いも感じながら、選手も観客の皆さんも楽しんでいただきたいです」
日本勢からは松山英樹プロが出場する。

杉澤が「全米オープンで良い流れを掴んだと思う」と話す松山英樹(写真は全米オープン練習日、撮影/岩本芳弘)
「松山選手は全米オープンで良い流れを掴んだと思います。特に全米オープンの最終日のティーショットも安定していました。また、アイアンショットの距離感が優れている松山選手にとって、TPCリバーハイランズは相性の良いコースといえます」
海外からも多くのトップ選手が出場するが、注目選手は?

左からサム・バーンズ、コリン・モリカワ、ジャスティン・トーマス(撮影/岩本芳弘)
「今年最後のシグネチャーイベントということもあり、多くのトップ選手が出場します。中でも、コリン・モリカワやジャスティン・トーマスのようなショートアイアンの精度が高い選手にはぜひ注目です。また、サム・バーンズにもぜひ注目して頂きたいです。カナディアンオープンでプレーオフに敗れ、全米オープン最終日も首位から崩れて7位という結果でした。ここまで2週連続で優勝争いをしてきているので、今大会ではどんなゴルフを見せてくれるのかが楽しみです。この悔しさを晴らすことができるか、ぜひ注目してみてください」
全米オープンの記憶を上書きし、新たなヒーローが誕生するのか。今年最後のシグネチャーイベント、トラベラーズ選手権は要チェックです!
U-NEXT 木村真希
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※2025年6月19日12時30分、一部加筆修正しました。