
日本女子アマを制した中澤瑠来(撮影/姉崎正)
優勝したかどうかわからなかった

ホールアウトしコースに一礼したときは優勝したかどうか半信半疑だった(撮影/姉崎正)
最終18番、40センチの”ウィニングパット”を沈めると、コースに一礼した。「なんとなく優勝したのかなあという雰囲気は感じたんですが……」。コース内にリーダーボードがなく、ほかの選手のスコア状況を把握できなかっため、友達からのウォーターシャワーの祝福で優勝を確信。サングラスを取り、満面の笑みを浮かべた。
大混戦のバックナイン。前半の9ホールを終えて、6アンダーで単独トップに立ったのは櫻井梨央。前半は2バーディ1ボギーの35で回り5アンダーで1打を追いかける展開だった。
12番パー5でバーディを奪いトップに迫ると、15番16番で連続バーディを奪い混戦から抜け出した。だが、7アンダーでホールアウトした2組前の岩永杏奈に1打差まで迫らていた。そんな状況を知らないなかで、17番ではピンチが訪れてしまう。373ヤードパー4で残り120Yを大ダフリ! 50ヤードもきっちり寄せることができず4メートル。"ガッツパー"で大きなピンチを乗り切った。
熱中症気味で棄権のピンチ

初日は3位の妹と首位に立った姉は元気だったが……
優勝を争う前に、最大のピンチがあった。
「4日間あって、オーパーパーは2日目だけ。スコア的には一番悪かったんですけど、自分の中では18ホール完走できたからこの結果につながったんだあと思ってます」
初日4アンダーでトップに立ちながら2日目は前日の猛暑で体調を崩してしまった。
「初日はふつうで、2日目の朝もふつうだったんですけど、朝の練習場で半分ぐらい打ち終わったぐらいで、なんか気持ち悪くなってきちゃって。ぼーっとするし、だるいなって。全部ボールを打ち切らないでクラブハウスに戻って休憩しようと思ってたんですけど、そしたらもう元気なくなっちゃって。スタートの10分前ぐらいまでソファーに座ってやっと移動したほどでした。棄権しようと話も出たんですが、(いい)スコアだったんで、やめたくないという感じでスタートしました」
それで2日目にスコアを3つ落とした。3日目は「だんだん良くなっていったんですけど、前半は歩くのが精一杯で、頭も回らなくて、距離のミスもありました」。日陰を探しながら歩いてスポーツドリンクを飲んで少しずつ回復して、初日の4アンダーまでスコアを戻し、最終日につなげることができた。
プロテストファイナルの出場権を獲得

162センチ61キロの中澤の飛距離は240Y。得意クラブはロングアイアン
埼玉栄高校出身で、竹田麗央や神谷そら、川﨑春花と同じダイヤモンド世代の22歳。東松山CCの研修生としていまでも午前中はポーターなどの仕事をこなしている。そこで練習に励みながらプロを目指している。プロテストは4回挑戦、今年が5回目となる。今大会の優勝で、プロテストの2次を免除され、最終から挑戦できることになった。
「いつもプロテストになると緊張してしまって、思うようにできなかったり、焦りが来てしまったりで、自分のプレーができないっていうのが悩みだったんですけど、今日とか4日間を通して、プレッシャーのかかるような位置にいても自分のプレーができたっていうのは良かったなと思います」
メンタル面での成長が優勝につながり、プロテストへ向けての自信となった。
今大会に出場した妹の沙来(43位タイ)のキャディを務めた父・敬さんも「プロテストが最終から受けられるのは大きいね」と嬉しそうに話した。
日本一の次はプロゴルファーになる夢を叶えること。
埼玉栄の先輩の岩井姉妹や後輩で先日ヨネックスレディスに優勝した髙野愛姫らと同じ舞台に立つために、またホームコースで練習を続ける。