
杉澤さんイチ押しのTPCディアランの14番H(PHOTO/Getty Images)
「ジョンディアクラシック」の歴代優勝者を調べてみると、13年ジョーダン・スピース、14年ブライアン・ハーマン、17年ブライソン・デシャンボーなどがPGAツアー初優勝を飾っている。そして、そこからトッププロへの階段を駆け上がっているので、「若手の登竜門」としても知られる大会だ。
2015年ジョンディアクラシック。21歳のJ・スピースのスーパープレー【PGAツアー公式X】
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x.com「ジョンディアクラシックは、トップ選手が不在となりがちな大会であり、若手の選手や無名な選手にとって大きなチャンスとなります。今年は、世界ランキング50位以内の選手が7名という状況で、多くの選手に優勝の可能性が広がっています」(以下、杉澤)
今大会の舞台はTPCディアランである。
「TPCディアランは、PGAツアー5勝、日本ツアーの『ゴルフダイジェスト トーナメント』でも勝利したD・A・ワイブリングが馬の育成牧場跡地に設計したコースです。コースの周りには、今でも馬の牧場が広がっており、のどかな雰囲気が漂っています。また、多くの選手がバーディを量産する大会としても知られています。ボギーを打たないことが、上位進出への絶対条件となります。昨年優勝者のデービス・トンプソンは、28アンダーという驚異的なスコアで優勝を飾っています」
TPCディアランは、年間を通してやさしいコースとして知られており、スコアが伸びやすい。
「このコースはトータル7289ヤード、パー71と比較的短く、所々に短いパー4が存在しています。コース全体が広々としており、フェアウェイやグリーンには日本のゴルフ場でもお馴染みのベント芝が使用されているため、グリーンも読みやすいです。
比較的やさしいコースということもあり、多くの選手がアグレッシブな姿勢を見せてくると思います。ただ、ティーショットをレイアップせざるを得ないホールがいくつかあり、セカンド地点はどの選手もほぼ同じになります。そのため、その後のアイアンショットでいかにピンを攻められるかが重要なポイントになってきます。チャレンジ精神を持ってリスクを負い、積極的にバーディを狙っていくことが求められます。また、グリーンの周りでボギーを打たない力、すなわちスクランブリングの能力も、上位進出には欠かせない要素です。攻めながらスクランブリングのパーセンテージを上げていくことができるかが勝利を左右します」
杉澤さんイチ押しは14番ホール!

今週出場する久常涼、金谷拓実、星野陸也、大西魁斗
「14番ホール(361ヤード)はワンオンが可能なパー4です。このホールは特に、選手によって様々な攻略法が見られる、見ごたえのあるホールになっているので、ぜひ注目して見てください」
今大会には、久常涼、星野陸也、大西魁斗、金谷拓実と、4人の日本人選手が出場する。
「ベント芝で育った日本人選手にとって、TPCディアランはイメージしやすいコースであり、その景色にも慣れているはずです。そしてこのコースがスコアの伸びやすいコースであることは彼らももちろん知っています。またピンの位置やドッグレッグの特徴なども、他のPGAツアーで経験済みです。ベントグリーンの読みやすさも味方につけ、日本人選手が優勝争いに必ず絡んでくることは間違いありません。
特に久常選手には注目ですね。ここまで好成績を収めており、ランキング50位以内を目指している久常選手にとって、この大会は大きく順位を伸ばす絶好の機会となるはずです」
日本人選手以外で注目は、何と言ってもマイケル・ソービヨンセンと、アルドリック・ポトギーターだ。
「23歳のマイケル・ソービヨンセンは、昨年のこの大会で2位となりましたが、世界ランキングの差で全英オープンへのチケットを惜しくも逃した1人です。先週のロケットクラシックでは4位と好調を維持しており、バーディマシンとして知られています。今シーズンのバーディアベレージ1位は、ジャスティン・トーマスの4.57ですが、マイケル・ソービヨンセンも6位の4.40を記録しており、バーディ量産に期待がかかりますし、いつ勝ってもおかしくない今年も大注目の選手です。
そしてもう1人アルドリック・ポトギーターです。彼は先週のロケットクラシックで優勝したばかりの20歳の選手です。マキロイよりも飛距離が出るとも言われており、見逃し厳禁ですね。
この2人のネクストジェネレーションが、ジョンディアクラシックでどのような戦いを見せてくれるのか、PGAツアーの未来が今ここにあります。バーディ合戦で有名であるこの大会の初日から激突します。彼らは共にバーディを取るのが得意なので、トップギアでくるのは間違いなしです」
ジリジリと照りつける太陽の下、バーディーラッシュが吹き荒れるジョンディアクラシック。暑さを吹き飛ばすような爽快なドラマの結末は? 若き才能たちが火花を散らす、熱い戦いから目が離せない!
U-NEXT 木村真希