PGAツアー4戦目にしてはじめて予選を通ったと思ったらフィールドの厚いシグネチャーイベントをいきなり制覇したダンラップ。
翌週プロ宣言すると7月のバラクーダ選手権も制覇しツアー史上初、アマとプロ両方の優勝を同一シーズンに達成した選手となった。

母校アラバマ大学の教育奨学金制度に、ニック・ダンラップの名が冠された(写真は2025年のザ・セントリー 撮影/岩本芳弘)
しかし今季はブレーキがかかりフェデックスランキングは現在三桁台に低迷中。浮き沈みのあるゴルフでは決して珍しいことではないが3月はじめのアーノルド・パーマー招待から4月のマスターズまで4連続予選落ちを喫したときにはいったい何があったのか疑問視された。(本人はティーショットの不調が原因と語っている)
マスターズの初日にプロにあるまじき『90』を叩いたときには本人「怒りが込み上げフラストレーションが溜まった」と悔しがったが「絶対に出る。絶対に諦めない」と棄権はせず2日目にアンダーパー(1アンダー71)をマーク。
通算17オーバーはダントツの最下位だったが、キャディから「今日(棄権しないで)出場してくれたことに感動した」といわれた。
今週のジョンディア・クラシック初日はトリプルボギーが1つダブルボギーが1つありながら8バーディを奪って3アンダー68にスコアをまとめ35位タイ(最終順位確認してください)からのスタート。
好不調の波はあっても昨年2勝を挙げたことで27年までのシード権を保持している。さらにこの度母校の奨学金制度が『ニック・ダンラップ・スカラーシップ』と名付けられたのだ。
それは彼が米国軍人と救急隊員の配偶者と子供たちのための教育奨学金制度『フォールズ・オブ・オナー(フィールズ財団)』に所属する選択をしたから。
「フォールズ・オブ・オナーは影響力のある団体です。奨学金を受けながら勉学に勤しむ人たちの物語の一部になれてとても光栄です」とダンラップ。
この団体は07年にF16戦闘機パイロットとしてイラクに赴いたPGAオブ・アメリカのプロライセンスをもつダン・ルーニー中佐によって設立され、以降全米50州でおよそ6万2千件、総額2億9千万ドル(約420億円)の奨学金を授与してきた。
21歳にしてPGAツアーにフル参戦するダンラップはそれが当然ではなく幸運なことだと知っている。
「軍隊と救急隊員の犠牲や支援、そして献身がなければ自分がここまで来られたとは思いません」と謙虚に語った彼の名を冠した奨学金で多くの人々の人生に灯りが灯されるはずだ。