今週は、今シーズン最後の男子メジャー大会「全英オープン」がロイヤルポートラッシュゴルフクラブを舞台に開催される。本大会を配信するU-NEXTが丸山茂樹プロとの名コンビでお馴染み・杉ちゃんこと杉澤伸章キャディに見どころを詳しく聞き「みんなのゴルフダイジェスト」に寄稿してくれた。大会の注目ポイントをおさらいしよう!

R&Aが主催する世界最古で今年最後の男子ゴルフのメジャー大会、全英オープンがいよいよ開幕。今年で153回目を迎える歴史と伝統を誇る大会の舞台は、北アイルランドのロイヤルポートラッシュゴルフクラブ。2019年以来3回目の開催となるこのリンクスコースで、世界中のトッププロたちがしのぎを削る。

「全英オープンは“The Open Championship”とも呼ばれています。これは全英オープンがプロアマ問わず出場できるオープン競技であり、1860年の第1回大会当時、他にオープン選手権が存在しなかったことに由来しています。“The”をつけることで、この権威ある全英オープンというのがオープン大会の元祖や唯一のような意味合いを持ちます」(以下、杉澤)

R&Aは、ゴルフ界を牽引する存在だ。

「ちなみにR&Aはゴルフ総本山です。ゴルフ発祥の地にある協会で、世界のゴルフのルールを決めています。言わば世界のゴルフを統一した存在です。現在はR&AとUSGA(全米ゴルフ協会)がゴルフルール改訂を行なっています」

画像: 昨年の優勝者であるザンダー・シャウフェレがキスしているのがクラレット・ジャグ(撮影/姉崎正)

昨年の優勝者であるザンダー・シャウフェレがキスしているのがクラレット・ジャグ(撮影/姉崎正)

全英オープン優勝者に授与されるトロフィー、それが“クラレット・ジャグ”だ。

「クラレットとは、フランス・ボルドー地方で生産される赤ワインのことで、ジャグとは、水差しやジョッキのことです。つまり、クラレット・ジャグとは、ボルドーワインを入れる水差しを意味します。その独特な形をした銀色のカップは、多くのプロゴルファーにとって、まさに夢の象徴と言えるでしょう」

今回の舞台であるロイヤルポートラッシュゴルフクラブは、名設計家ハリー・コルトによって設計された。

「今回の舞台は、あの名設計家ハリー・コルトによって設計されました。また、コルトの設計思想は、ミスショットに対してペナルティを与えるのではなく、それぞれの腕前に応じて難しいバディールート、パーオンを狙うルート、アベレージゴルファーが狙っていく迂回していくルートなど攻略ルートを持つことができるようになっています。戦略性が高く、幅を持たせたレイアウトになっていて楽しむことができるコースになっています。ロイヤルポートラッシュゴルフクラブも、ティーショットの重要性、選択的な戦略、そして自然を生かしたレイアウトなど、コルトの設計思想が随所に現れています。大変魅力的なコースですね」

名匠ハリー・コルトは日本のゴルフ界とも深い繋がりがある。

「実は、日本の名門コースである廣野ゴルフ倶楽部や川奈ホテルゴルフコース富士コースの設計に携わったチャールズ・ヒュー・アリソンは、コルトの弟子なんです。アリソンのゴルフ設計におけるDNAはコルトから来ていると言えるでしょう。そう考えると、ロイヤルポートラッシュゴルフクラブは、日本のゴルフのルーツとも言えるかもしれませんね」

画像: 日本のリンクスの代名詞的存在の川奈ホテルゴルフコース富士コース。設計はハリー・コルトの弟子で日本ゴルフコース設計の父であるチャールズ・ヒュー・アリソン

日本のリンクスの代名詞的存在の川奈ホテルゴルフコース富士コース。設計はハリー・コルトの弟子で日本ゴルフコース設計の父であるチャールズ・ヒュー・アリソン

全英オープンは、開催コースを海岸に位置する“リンクスコース”に限るという不文律がある。

「全英オープンというとフラットなイメージがありますが、ロイヤルポートラッシュゴルフクラブはアップダウンがあり、グリーンもうねっているため、これまでとは一味違った戦いが繰り広げられると思います。リンクスコースでは、ティーショットでフェアウェイを捉えることが何よりも重要になります。スタートはみんな同じだから、平等であるが故に、ティーショットの精度が勝負を分けます。また、ラウンドする時間やタイミングによって難易度が大きく変わってくるのも、リンクスコースの特徴です。18ホール中8ホールがドッグレッグであることも特徴で、風の影響を受けやすいリンクスにおいて、いかにフェアウェイをキープするかが勝負のカギを握ることになりますね」

杉澤さんイチ押しのホールは5番ホール

画像: 杉澤さんが「イチ押し」の5番ホールティーイングエリアから。右手に見えるのが5番グリーン(撮影/姉崎正)

杉澤さんが「イチ押し」の5番ホールティーイングエリアから。右手に見えるのが5番グリーン(撮影/姉崎正)

「私のおすすめは5番ホールです。5番ホールのグリーンからは、まるで絵画のような絶景が広がります。ナルニア国物語の城のモデルにもなったダンルース城を望むことができ、中世のロマンを感じさせてくれるでしょう。また、コースから車で15分ほどの場所には、六角形の玄武岩の石柱群が約4万本も連なる世界遺産“ジャイアンツコーズウェイ”があります。ゴルフだけでなく、観光も楽しめるのがロイヤルポートラッシュの魅力ですね」

今大会、最も注目を集めるのは、やはりローリー・マキロイだろう。地元北アイルランドでの開催とあって、並々ならぬ意気込みで臨むはずだ。

画像: 今年マスターズを制し、キャリアグランドスラムを達成したローリー・マキロイは地元・北アイルランド出身(撮影/岩本芳弘)

今年マスターズを制し、キャリアグランドスラムを達成したローリー・マキロイは地元・北アイルランド出身(撮影/岩本芳弘)

「ローリー・マキロイは1番の優勝候補です。彼は北アイルランド出身であり、16歳の時にこのロイヤルポートラッシュゴルフクラブを61で回ったという伝説を持っています。また、ハリー・コルト設計のロイヤルリバプールで開催された全英オープンで優勝経験もあり、相性の良さも注目ポイントです」

もちろん、注目選手はマキロイだけではない。トミー・フリートウッドとキーガン・ブラッドリー。この2人にも注目が集まっている。

「注目は、トミー・フリートウッドとキーガン・ブラッドリー。実はこの2人、因縁浅からぬライバル同士なんです。先日行われたトラベラーズ選手権では、フリートウッドが優勝目前まで迫りながら、最終ホールでまさかの大逆転を喫し、ブラッドリーが勝利を掴んだというドラマがありました。データ的にも、フリートウッドはティーからグリーンまでのスタッツが非常に良く、リンクスとの相性も抜群。ブラッドリーも、ライダーカップのキャプテンを務める実力者で、データ分析に基づいた戦略を得意としています。全英オープンという舞台で、再び激突する2人の戦いから目が離せません」

日本勢の活躍にも期待したい。ロイヤルポートラッシュのグリーンには、日本の名門コースに通じる雰囲気があるという。

「松山英樹プロは前回このコースで行われた大会で予選落ちをしてしまっていますが、今年は自分へのリベンジでもあります。休暇で心身ともにリフレッシュし、万全の状態でリンクスに挑むはずです。同じ轍は二度と踏まないと信じています。
 
金谷拓実プロはPGAツアー屈指の安定感を誇ります。フェアウェイキープ率(70.62%)、スクランブリング(66.22%)共にPGAツアー選手の中で5位という数字が、その実力を証明しています。パーセーブ能力の高さは、全英オープンでも大きな武器となるでしょう。
 
日本のコースと違和感なく戦うことができる日本人選手たちが、リンクスでどのような活躍を見せてくれるのか期待が高まります」

U-NEXTの公式Xで松山英樹のインタビューをチェック

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全英オープンは、単なるゴルフの大会ではない。153回の歴史と伝統、そして自然が織りなす、他に類を見ない壮大なドラマだ。今年最後の男子メジャー大会。栄光を掴むのは誰か? 全世界のゴルフファンが固唾をのんで見守る中、新たな伝説が刻まれる瞬間が、いよいよ幕を開ける!

U-NEXT 木村真希

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