
ウィリアム・マウはペパーダイン大を経て2023年にプロ転向。今年コーンフェリーツアーからPGAツアーに昇格したばかり
大学時代に傑出した戦績で注目されたウィリアム・マウは、23年ユニバーシティランキング上位でコーンフェリーツアーの出場権をつかみ、わずか1年でPGAツアー昇格を果たした。
ルーキーイヤーの今年は半分が予選落ちとプロの壁に突き当たっていたが18戦目にうれしい初優勝。最終日は7打差の25位タイからスタートし、9バーディ、ノーボギーの61という猛チャージで大逆転勝利をもぎ取った。そこまでは有望なルーキーによくある話。
しかし彼は、父が所有する養鶏農場を「すべての基盤。僕のアイデンティティ」と誇らしく語ったのだから興味が湧く。
「両親は南カリフォルニアで30年間(父の名前を取った)ビリーズ・エッグファームを営んできました。勤勉な両親の背中を見て農場で育ったことで労働倫理を学び、努力なしでは何事も達成できないことを学びました。努力は必ず報われる。けれど、その努力は惜しみなく続けなければならないと悟ったのです」(マウ)
3600坪の敷地で約3万5000羽を飼育し卵を採って販売するのだが、ドライブスルーサービスも展開して300人の来客がある。ウィリアムはゴルフボールをジャグリングしているときに卵でもやってみようとひらめきチャレンジし習得したという逸話も。
予選ラウンドでは首位を快走したチャン・キムが3日目に7つボギーを叩いてスコアを崩して14位タイフィニッシュ。マウは最終日にコースレコードタイの61と爆発。最終組が上がる2時間も前にホールアウトしたため緊張しながらプレーオフに備えたが幸い後続が伸びず勝ち切った。
この一戦でマウの人生は一変したが2カ月後にはさらに激変する予定。現在妊娠中の妻、ハンナさんが9月に女児を出産する予定なのだ。
「お腹の中の赤ちゃんに父親の勝利を見せられたなんて本当に素晴らしい!」
幸せが止まらないマウだった。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年8月5日号「バック9」より