
3日目2番Hで使ったクラブを妻でキャディのヘレンさんに渡すリー・ウエストウッド(PHOTO/Getty Images)
初日から好調なプレーで楽々(12位タイで)予選をクリアしたウエストウッド。しかし3日目の前半は3番でダブルボギーを叩き4オーバー40で失速。そのままずるずると後退するかに思われた。
ところがバック9では別人のプレー。10番から3連続バーディを奪うと14番、16番、17番でバーディを追加し6アンダー29をマークし40-29の大波賞。順位は2つ落としたが堂々の14位タイで最終日に臨むことになった。
「9番を終えてコースを見回しながら、どこかで2つバーディを獲れば(フロント9の不調を)まずまずのスコアに戻せるのだろうと思いました」
「でも7番あたりからスウィングが良くなって(バック9では)どのホールでもバーディが獲れそうな気がしました。忍耐強く、決して諦めないことがいかに大切かということですね(笑)」と大ベテラン。
欲をいえば最終ホールのチャンスにもう1つバーディを決めたかった。
「4.5メートルくらいだったかな。打った瞬間、あぁ、当たった! 真ん中からカップに入るぞ! と思いました。完璧なパットでカップの左から入るはずだったのに蹴られてしまった。あれはナゾのパットでした」
『29』が全英の9ホール最少ストローク記録だったことは「知らなかったし気にしていなかった」。しかもスコアカードを提出するまで「自分が29で回ったことに気づかなった」という。
最悪だったフロント9を劇的に変えたのはキャディを務める妻ヘレンさんのひと言だった。
「ツナサンドを半分食べませんか?」
ウエストウッドはツナサンドに目がない。それを食べて胃袋が満たされたら気分が上がる。夫の操縦術を心得ている妻ならではの気分を劇的に変える魔法。
「ツナサンドほど僕を興奮させるものはない」と笑うウエストウッドは最終日のスタートホールでティーアップする前に「ツナサンドを食べるつもり」だ。
「52歳になったいま自分のゴルフは熟知している。悪いプレーが続いてもふくれっ面をしたり落ち込んだりしないで、周りの雰囲気を楽しんだりギャラリーの反応や歓声を楽しんだほうがいい。厳しいラウンドの最中も気分転換が必要なんだよ」
三井住友VISA太平洋マスターズで3連覇を達成した20代前半、ベビーフェースだったウェストウッドはヒゲに白いものが目立つ50代になった。それでもなおギャラリーを魅了するプレーは続いている。