全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する企画。今回は2025年2月に発売した軽量ドライバー「タイトリスト GT1」が男子プロに人気の理由とは?

GT1に合うシャフトは軽量シャフトだけではない!?

タイトリスト「GT1」は昨年発売されたGT2、GT3、GT4に続くGTシリーズ第4のプロダクトとして2025年2月に発売されたモデルです。シリーズ中で最も総重量の軽いクラブで、TS1から数えて4代目の軽量モデルとなります。タイトリストドライバーヘッドの中で最も軽い重量のGT1のヘッドは大きなスウィングパワーを必要とせず、アマチュアゴルファー向けのモデルとして日本のゴルファーにも人気のモデルとなっています。

画像: GTシリーズ第4のプロダクトGT1

GTシリーズ第4のプロダクトGT1

その軽量モデルのGT1ですが、日本の男子ツアーで使用プロが増えていることが話題となっています。

ちなみに、当然ですが、ツアープロはGT1の純正シャフトではありません。今回は「最軽量モデルのGT1をシャフト変更したらどうなるのか?」にフォーカスし、タイトリスト純正採用シャフトの40グラム台、50グラム台、60グラム台の3つの重量帯のシャフトを用意して検証。最後に試打検証を通して「ツアープロが使う理由は何故か?」を考えていきたいと思います。

40グラム台シャフト

先ずは今回用意したクラブスペックをチェックしてみましょう。40グラム台シャフトは以下の通りです。

モデル名タイトリスト GT1
ロフト角10度
シャフトフジクラAIR SPEEDER 40(S)
シャフト重量50.5グラム
トルク7
キックポイント先調子
クラブレングス45.5インチ
バランスD3.5
総重量281グラム
ヘッド重量188.5グラム
グリップ重量29グラム
シャフト振動数237cpm

40グラム台のシャフトはGT1の標準装着モデル「フジクラAIR SPEEDER 40(S)」です。このシャフトはアメリカ本社でGT1標準シャフトとして採用を決定して用意されたシャフトで、切り返し時から思っていた以上にしっかりとしたシャフトのフィーリングです。切り返しからレスポンスの良いシャフトでトップからフィニッシュまでスピード感がある振り心地はAIR SPEEDERのネーミングからイメージするフィーリングそのままです。

トルク7.0の先調子ながら潰れ感やねじれ感もなくインパクト時に気になる当たり負けを感じられず、多少のオフセンターヒット時にも嫌な振動が手に伝わることもありません。AIR SPEEDER40シャフトでの弾道は10度のロフトではやや高めです。

画像: AIR SPEEDER40

AIR SPEEDER40

GT1はGTシリーズで最も重心の深い設計で、ヘッド設計通りのイメージの高弾道がスウィングスピードが速くなくても楽に打てる印象です。バックスピン量は2400rpmから3000rpmくらいで、GT1を標準シャフトで使用するターゲットに合ったプレーヤーが安定した弾道を打てる適正なバックスピン量だと思います。

スウィングスピードが速くないプレーヤーにもGT1のパフォーマンスを発揮できるバランスの良いマッチングです。GT1に40グラム台のシャフトを装着する場合はこのままのヘッド重量で良さそうです。

50グラム台シャフト

50グラム台のシャフトは「GT2」「GT3」の標準装着モデルの「三菱ケミカル TENSEI 1k BLUE 55(S)」 です。テストシャフトのグリップは50グラムのものが装着されていますのでバランスはやや軽めですが、そのまま打ってみましょう。

モデル名タイトリスト GT1
ロフト角10度
シャフト三菱ケミカル TENSEI 1k BLUE 55(S)
シャフト重量59グラム
トルク4.7
キックポイント中調子
クラブレングス45.5インチ
バランスD0
総重量306グラム
ヘッド重量188.5グラム
グリップ重量50グラム
シャフト振動数255cpm

ダウンスウィングの切り返しのタイミングが取りやすいシャフトです。シャフト中間部分に少ししなるポイントを感じ、インパクトエリアでのシャフト挙動も安定感があります。クラブバランスが軽めなのでスッキリとしたフィーリングでスピード感があります。弾道はやや高めですが、40グラム台の標準シャフトのAIR SPEEDERに比べると高さが抑えられます。バックスピン量も多少下がる印象です。

画像: 三菱ケミカルTENSEI 1k BLUE 55

三菱ケミカルTENSEI 1k BLUE 55

次にヘッドのウェイトを2グラムアップして打ってみました。クラブ総重量は308グラムになり、バランスは約1ポイントアップします。シャフト振動数は255CPMと変化なし。打ってみるとシャフトのフィーリングは中間部分から先に若干しなりが増える印象で、インパクト時にヘッドが押し込めることでより厚くインパクトしていけるようになりました。

弾道にも変化がありました。ボールに推進力が加わり、ボールスピードもアップします。「TENSEI 1k BLUE 55(S)」をGT1に装着した場合は、バックフェースのウェイト交換によるヘッド重量アップで特にシャフト中間部分から先端部分のフィーリングが変化します。GT1に50グラム台のシャフトで使用する場合は、ヘッド重量をバックフェースウェイト交換で加重すると良いでしょう。

60グラム台シャフト

60グラム台のシャフトはGT3の標準装着モデルの三菱ケミカル TENSEI 1k BLACK 65(S)です。テストシャフトは50グラム台シャフト同様に50グラムのグリップが装着されていますのでそのまま打ってみます。

モデル名タイトリスト GT1
ロフト角10度
シャフト三菱ケミカル TENSEI 1k BLACK 65(S)
シャフト重量67グラム
トルク3.6
キックポイント手元調子
クラブレングス45.5インチ
バランスD1
総重量315グラム
ヘッド重量188.5グラム
グリップ重量50グラム
シャフト振動数270cpm

GT3の標準シャフトということもあり、しっかりとした手応えがあるシャフトです。軽量ヘッドのGT1にそのまま装着するとクラブバランスはやや軽く、スウィング中のヘッドポジションは感じにくい方もいるでしょう。

ウェイトを2グラムアップしてみます。クラブ総重量は317グラム、バランスはD2、シャフト振動数269CPMとなりました。打ってみると、スウィングでの印象が変わります。手元調子らしい切り返しの間の取りやすさや、ヘッドポジションが感じやすいと思います。自身のスウィングでインパクトを作っていける感じです。弾道はシャフトによりやや高さが抑えられてバックスピン量も少なくなりますのでボールに推進力が加わり落下角度が鋭くなることで、ランも出やすくなると思います。

画像: 三菱ケミカル TENSEI 1k BLACK 65

三菱ケミカル TENSEI 1k BLACK 65

続いてウェイトをさらに2グラム重い4グラムのウェイトを装着してみます。クラブ総重量は319グラム、バランスはD3、シャフト振動数267CPMとなりました。

このくらいのクラブバランスのほうがシャフトスペックには合っている感じもありますが、クラブの総重量も319グラムですので軽量モデルのGT1を打っている印象は感じられません。バックフェースウェイトが重くなるとインパクトエネルギーが増大するのでフェース面で厚くボールをとらえてくれ、ボールに推進力を与えてくれます。

しかしながらGT1のヘッドの振り抜きやすさやボールの上がりやすさは感じられます。GT1に60グラム台のシャフトを装着する場合は、2グラムや4グラムのバックフェースのウェイトを交換することでシャフト重量にマッチした扱いやすいヘッド重量になります。

GT1をツアープロが使用する理由は何故か?

軽量モデルのGT1をプロが使用する理由は、ズバリ弾道の高さとバックスピン量です。

現在日本ツアーでプロのタイトリストGTシリーズの使用率はGT2とGT3がほぼ同じ比率でGT1は3番目の使用率となっています。GT1はスウィングスピードが速くないゴルファーでも高弾道が打ちやすいように設計されたGTシリーズで最も重心の深いヘッドです。その重心設計は高い弾道や安定したバックスピン量を望むプロゴルファーにとっても理想的な弾道を生み出してくれるのだと思います。

GT1はGT2やGT3同様ヘッドのクラウン部分に新素材のマトリックスポリマーを採用しているヘッドです。クラウン部分を軽量化した分の余剰重量による低重心化はもちろんですが、ヘッド前方と後方にバランス良く配分されています。男子プロの場合、60グラム台・70グラム台の各メーカーのプロ・アスリートモデルのシャフトが装着される場合が多く、クラブレングスも標準レングスよりもやや短めの場合が多いと思います。

その場合ヘッド重量をアップする必要がありますが、GT1はヘッドのバックフェースに搭載されているウェイトを交換することでヘッド重量を簡単に変更することが可能です。標準のウェイトは9グラムが装着されていますが、11グラム、13グラム、15グラムのウェイトが用意されていますので最大6グラムのヘッド重量アップが可能となりますので、装着シャフトのレングスに合わせてウェイトでバランスを容易に調整することができます。

プロの場合はツアーサービスによるヘッド内部にジェルによる加重も可能ですが、実際はバックフェースのウェイト交換で対応できているようです。

ヘッド後方のウェイトを重くするとヘッドバランスが崩れてスウィングやスウィングスピードに影響がでるのでは?と思う方もいると思いますが、ウェイトの装着されている場所もソール後方ではなく、バックフェース側に装着されていますし、フィッティングメーカーであるタイトリストはその辺りは全て検証済みのようで、最大で6グラムアップする15グラムのウェイトを装着してもスウィングスピードの低下は起きないというデータが出ています。

スウィングやスウィングスピードに影響がなければ打ち出し角度等はタイトリストのスリーブ調整機能「SUREFIT」を利用して最適弾道にセッティングすることができます。GT1を使うプロにとって高い打ち出しと弾道を安定させるバックスピン量を確保してターゲットエリアに打ち出しやすいヘッド設計は魅力的なヘッドなのでしょう。

関連記事はこちら

This article is a sponsored article by
''.