「大東建託・いい部屋ネットレディス」で3年ぶりの通算6勝目を飾った渡邉彩香。曲げても根性でボギーを打たないスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

前週の「明治安田レディス」に引き続き、最終ホールまで目が離せない展開になりました。特に最終日は気温37.5度という猛暑のせいで速くできないグリーンコンディション。ステップ・アップ・ツアーで活躍する浜崎未来、一ノ瀬優希選手らが上位に名を連ねました。

画像: 「大東建託・いい部屋ネットレディス」で3年ぶり通算6勝目を飾った渡邉彩香

「大東建託・いい部屋ネットレディス」で3年ぶり通算6勝目を飾った渡邉彩香

最終日もスコアを伸ばさなければ上位進出もままならない展開になり、65でプレーした鈴木愛、64で追い上げた鶴岡果恋が大きく順位を上げると、渡邉選手も終盤に厳しいパーパットを何度も沈めながら首位を譲りません。大会を主催する大東建託の所属プロとしてなんとしても最高のカタチで恩返ししたいという気持ちがプレーに表れていました。

一時はツアー撤退も考えたこともある渡邉選手ですが、「自分がもっとやれると思えるうちは強くなれるよ」と上田桃子選手からの言葉を胸に優勝を目指して日々練習を積み重ねていました。渡邉選手をサポートする坂詰和久コーチにとって、同じくサポートする稲垣那奈子、神谷そら両選手の優勝もあり、今季3人目の優勝者となりました。今大会優勝のコメントをもらうと「パッティングはとにかくリズムだけ。メトロノームを使って85BPMのテンポで長い距離も短い距離も2カ月くらい前から取り組んでいました」と勝負所のパッティングを決めた秘訣を教えてくれました。

それではスウィングを見てみましょう。ストロンググリップにワイドスタンス、手元を高くアップライトに上げるのが彩香流。クラブを立てて使い、フェードボールを持ち球にしています。失礼かもしれませんが、ボールが曲がるのでドライビングディスタンスでは上位にランクされませんが、穴井詩、神谷そら、入谷響選手にも劣らないスウィングスピードを持っています。

画像: ストロンググリップ、ワイドスタンス、アップライトが渡邉彩香流

ストロンググリップ、ワイドスタンス、アップライトが渡邉彩香流

コーチ仲間でもある坂詰コーチとは試合会場でよく話しをしていますが「今週もハーフスウィングしかやってないんですよ」とプレーを見に行くと、試合中でもハーフスウィングでプレーし、他の選手よりも前に飛ばしていました。その意図を聞くと体の正面から腕を外さずに腕が振り遅れないようにしていると言います。手元の位置はコンパクトになりますが、胸はしっかりと動き、腕が振り遅れないことでボールにエネルギーがしっかりと伝わり、ミスも少ないスウィングになっています。

画像: 胸を大きく動かし腕をコンパクトに使って体の正面から外さないことで振り遅れを防ぎボールにエネルギーを伝える

胸を大きく動かし腕をコンパクトに使って体の正面から外さないことで振り遅れを防ぎボールにエネルギーを伝える

腕をコンパクトに使うようになってからアイアンの飛距離が伸びて来ていたこともあり、6番のパー5ではティーショットを3W、残り210ヤードの2打目を5番アイアンで10メートルに乗せイーグルを奪うプレーにつながったと言います。

首位と2打差で3日目を終えて、最終日にビッグスコアを出すためには「飛距離が出過ぎてラフにまで届くようなホールや短いホールなどドライバーを持つ必要がないホールは3Wを選択する」というゲームプラン。前半の1イーグル3バーディでつなげ一気に首位を捉えると、終盤には狙い通りに17番パー5でバーディ、そして最終ホールも3Wでティーショットを打ちフェアウェイからの2打目をピンそばに寄せてバーディで締めくくりました。

スウィング、マネジメント、体力、坂詰コーチやキャディを務めた森博貴プロを含めたチーム、そして絶対に勝って恩返しするんだという渡邉選手の根性が引き寄せた勝利だったのではないでしょうか。残るシーズンでも活躍することでしょう。

写真/岡沢裕行

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