シンプルに振り切れるのがミニドライバーの特徴
GD それを今まではスプーンでやってきたわけじゃないですか。スプーンではいけない理由は何ですか?
長谷部 ティーショットを打つ時にプロといえどスプーンはヘッドが小さいですし、シャローフェースなので強い球が打ちにくい。だからチタン製の低重心のスプーンがもてはやされたんですけど、今度は低重心になりすぎたためにスピンの少ない弾道になって転がりすぎてしまう。ある程度のローンチアングル(打ち出し角)と弾道の高さでそれほど飛びすぎないものが欲しいというところなんですかね。
GD プロにしてみるとスプーンは結構マルチな活躍をするクラブで、ティーショットで使える、下からでも使える。ミニドライバーはスプーンと比べると機能的には偏っているような気がするんですけど。
長谷部 かなり偏っていると思います。1ラウンドでの出番が2回あるのかという選手もいるでしょう。ただ難しいコースコンディション、例えば全米オープンみたいなセッティングが難しいところとか、マスターズのようにトリッキーな落とし所をちゃんと決めて打たなきゃいけないコース戦略には、ドライバーが飛びすぎることの弊害があると思うので、スプーンで打つよりも難しくなく、ドライバーよりは飛びすぎないセッティングだと思うんですよね
GD ティーショットの重要性がゴルフゲームの中で高まっている?
長谷部 それはアマチュアに置き換えてももちろんそうです。左右OBがあるときに自信を持ってドライバーが振れるという人は数が限られていると思うので、そういったときに「200ヤードでもいいから、とにかく真っすぐ飛んでくれるクラブがあったらいいよね」っていうのが心の中にどこかあって、でもそれがスプーンだと正確性が頼りない、ユーティリティだと飛ばない、下手すれば引っ掛けてしまうこともある。「ドライバーを短く持って打てばいいじゃん」ってテクニック的には言われるけど、そんなこと分かりきっていてもできないとなった時に、シンプルに振り切れるティーショットギアがあれば武器になります。打ち下ろしが多いとか、左右が狭い山岳コースでは重宝されると思います。
GD アマチュアの場合、ドライバーが一番苦手という人が多かったのが、今はそれほどいなくなったのはチタンヘッドになってヘッドが大きくなったからだと思うんですよ。ヘッドが大きくなったことでやさしくなった。「G440 MAX」とミニドライバーどっちがやさしいですか? っていったら、大きさの理論で圧倒的に「G440 MAX」のような気がします。

デカヘッドの代名詞ともいえるピン「G440 MAX」
長谷部 そうですね。「ピン」がまさにアメリカでレポートに出していたんですけど、データとしてはどっちがやさしいですか? って言ったら「G440」の大きいヘッドがやさしいというデータを出ているんですよ。だから「ピン」は今のところミニドライバーを出してない。アマチュアにとって必要ないという話なんですけど。短いクラブが欲しければスプーンで打てばいい。ただ、一部のツアープレーヤーのためにテーラーメイドが出したところウケてしまった。
アマチュアのために寛容性の高いドライバーの開発はもちろん主力なんですけど、今の大型ヘッドが使えない、振り切れない、もしくは以前「シニアプロでそういう人がたくさんいますよね」といったのと同じように、大型ヘッドに馴染めない方たちに受けているんじゃないかなと思います。プロみたいにドライバーを2本入れたいという考え方もあっていいと思います。狭いホールでアイアンやユーティリティで打ってたところで、もうちょっと前に飛ばしたい人はミニドライバーを使うチャンスはあると思います。