3番ウッドが消え、そこにミニドライバーが入る?
GD これまでミニドライバーを使っている人を見たのは練習場で1回だけなんですよ。メディアとかで「ミニドライバーが人気だ! ブームだ!!」っていっている割にはあまり遭遇しないんですけど、売れ行きみたいな情報は何かあるんですか?
長谷部 中古市場を見てもらえればわかるので、玉数が少ないから中古でも出回ってないんですよ。手放す人が少ないという考え方もひとつあるんですけど、限定的で数量が少ない。その辺はメーカーも分かっているので、大量生産してないと思うんですよね。だから練習場で見かけるほど広まってないという見た方がいいのかなと思うんですよ。
GD 市場という見方からすると、「テーラーメイド」、「キャロウェイ」、「タイトリスト」。主要となる3メーカーがミニドライバーを展開しているということは、見えないところでそれなりに市場が形成されているということなんですか?

左からテーラーメイド『r7クワッドミニ』、キャロウェイ『エリートミニ』、タイトリスト『GT280ミニ』
長谷部 プロに出してみたらウケが良かった。「コブラ」も試作品を出したり、その前に「PXG」が出したりしたりしていますけど、コブラが未だに出し切れていないのは市場のすみ分けを検討しているのかもしれないですね。あとは先行しているテーラーメイドの強さかもしれないですけど、前作と新作の比較をすると中心の位置が少しずつ変化しているのが気になります。
それってユーザーが定まっていない証拠であって、ユーザーが定まっていれば進化の傾向って一直線になるはずなので、その辺は冷静に見たほうがいいかもしれません。市場性があるかどうかまだ見切れてなくて、手探りという状況なのか、多様なゴルファーのニーズをモデルごとに対応しているんだと思うんで、今後消えていく可能性も十分あり得ます。
GD テーラーメイドのミニドライバーひとつとっても、毎回大きさが違っているのもそういったことが考えられますね。
長谷部 これまでドライバーの開発って一直線に慣性モーメントを大きくする方向と低重心化と、程よい重心位置の探り合いがずっと進んできて、どのメーカーもだいたい一定方向の流れを作ってきたことと比べると、ミニドライバーはやれることはたくさんあるけど、どうしようっていうように見えますよね。
GD それって「プロトタイプ」では済まなかったんですか?
長谷部 プロでも数名の評価だとある一定のゴルファーしかつかめてないんで、それを市場に落とすとなると、いわゆるテストマーケティングという考え方で出してみてフィードバックをいただく。売れなければそれもフィードバックのひとつになります。
GD まだミニドライバーは初めの一歩を踏み出したばかりで、一時的なブームなのか、定着するのか、どういうふうに見えますか?
長谷部 テーラーメイドが諦めずに出し続けているというのは、一定のお客さんを確実に掴んでいるということですし、買い替えもその際に起きているのかもしれません。もっと進化するかもしれないという期待感がアマチュアの中にあると思うので、小さいかもしれないけどひとつのカテゴリーを形成する可能性はある。やはり注意しなきゃいけないのは「スプーンが消える」こと。3番ウッドが消える代わりにミニドライバーが入ってくる可能性は十分にあって、昔ブラッシー(2W)が消えてしまったのと同じように、3番ウッドが消えるとしたら、5番ウッドとドライバーの間を埋める、ティーショットにも使えるミニドライバーの市場性が強くなる可能性はあります。
GD でもその時はドライバーが2本ですよね。ドライバー2本の次が5番ウッド、7番ウッド、ユーティリティという流れになっていく?
長谷部 そういうことです。サンドウェッジ、ロブウェッジ、さらにはギャップウェッジ。ウェッジが昔は2本だったのが、3本、4本になったのと同じようにティーショットギアのジャンルが変わる可能性はゼロじゃないと思うんですよね、10年後とか。
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