今シーズンの平均飛距離が287ヤード台と飛ばないほうから数えたほうが早いヘンリーが1イーグル、7バーディの猛攻で単独トップの座を奪った。
18ホールで24パット。パットの名手は207.4フィート、およそ63メートル(30人中1位)を沈めまくり7バーディ、ノーボギーのシェフラーを1ストローク上回った。

ラッセル・ヘンリー。ツアー選手権初日を9アンダーで終え、単独首位に立った(写真/Getty Images)
ちなみにこの日シェフラーが沈めたパットの合計距離は全体の3位で140.11フィート=42メートルだからいかにヘンリーがグリーン上で群を抜いていたかがわかる。
「ドライバーの調子がとにかく良かった。それにこのコースのグリーンは自分に合っている」と会心のラウンドに満足げなヘンリー。
今季アーノルド・パーマー招待で優勝しポイントランク7位、世界ランク4位まで浮上した地味だが堅実なプレーが光るヘンリーについてシェフラーはこう評価している。
昨年のプレジデンツカップでペアを組んだこともあり「彼は本当に努力家。ジムや練習場で熱心に練習に取り組んでいるところを見てきました。さまざまな理由で尊敬する存在です」と、大会前の記者会見で初日の快進撃を予感していたような発言を行なっている。
「人柄も素晴らしくゴルフも素晴らしい。ラッセルのように努力を重ね優れたゴルファーを目指して邁進している選手が成功するのを見るのはとても特別なことです」
前週今季5勝目を挙げ06年&07年のタイガー・ウッズ以来2年連続5勝以上の記録を達成したことで再び2人を比較する声が大きくなったが、その風潮については「馬鹿げている」と一蹴。真意を説明した。
「タイガーは唯一無二の存在、これからもずっとそれは変わらないでしょう。彼は全世代のゴルファーにインスピレーションを与え続けました。彼のプレーを見て育った我々は本当に素晴らしい経験をしてきました」
そういうとシェフラーは生涯唯一タイガーと一緒にラウンドしたときのことを語り始めた。
「彼とプレーしたのはたった1ラウンドですがゴルフに対する考え方が一変しました」

シェフラーとタイガーがトーナメントで一緒にラウンドしたのは“いまのところ”コロナ禍に開催された2020年「マスターズ」だけ(写真/Getty Images)
それは20年変則的に11月に開催されたマスターズの最終ラウンドのこと。
「マスターズの日曜日(最終日)我々は20位くらいで優勝の可能性はまったくありませんでした。でも1番グリーンでふと横を見るとラインを読む彼の表情は言葉ではいい表せないくらい凄みがあった。完全に集中していて“あぁ、彼はまさに優勝を狙っているんだ“と思いました」
「2番のアプローチもそう。まるでこれで優勝が決まるというような気迫を感じました。“信じられない! 人生でこんな場面を見たことがない“と思いました」
タイガーはその日12番のパー3で『10』を叩いたが上がり6ホールで5バーディを奪い返しシェフラーを驚かせた。
「タイガーから学んだのは、自分がやるべきことは毎試合、毎ショット、同じくらいの熱意で打ち込むことだと感じました。彼はゴルフという競技の枠を完全に超越した存在です」
だからたとえ世界ランク1位の座に長く就いても、2年連続年間王者に輝いたとしても、タイガーの偉業と比較されるのは本意ではない。シェフラーはシェフラーの道を行く。
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