沖尚の優勝から学んだこと
こんにちは、上原彩子です。今週、LET(欧州女子ツアー)はオープンウィーク。来週の試合に備えて、アメリカにやって来ました。久しぶりですけど、米LPGAで10年近く戦っていた場所なので、なんだかホッとします。
まず、夏の甲子園での沖縄尚学高校の優勝に関して。めっちゃ嬉しかったですね。沖縄では、甲子園での地元高校の試合中は、仕事の時間でも皆で応援する職場があったり、街中にも人がいなくなったりします。
今回、現地に応援に行く人も多くいたため、飛行機の臨時便も出てました。私たちゴルファーは、シーズンが始まると毎週のように試合がありますが、高校野球は負けたら終わりなので、1試合1試合、1球1球にかける思いが違う感じ。その思いが応援する皆にも響き、応援したくなる気持ちをより引き起こしていると思います。私も今回の沖尚の優勝から学ぶことがたくさんありました。
また、先週の米LPGAのカナダでの試合(ナショナルオープンでもあるCPKC女子オープン)でも、地元出身のブルック・ヘンダーソンが優勝しました。沖尚と同様に地元の皆の思いが乗っかることで、素晴らしいプレーやミラクルなどは引き出されるなあと改めて感じました!
さて、先週のスウェーデンでの「ヒルズオープン」に関して。最終日は最終ホールの9番をボギーとし、1オーバーになってしまい、結果は35位タイ。けっこう風が強くて、グリーンも大きく傾斜も強いコースだったので、ボールが行く場所によっては何もできなくなるんです。パー5でしっかりスコアを作っていかないといけないんですけど、なかなかチャンスにならなくて。あとは、自分のスウィング的なことが原因のミスが出てしまった。

先週のスウェーデンのプロアマにて。確かに皆“イケメン”だ。「はい(笑)。しかも、ゴルフが盛んな国だけあって、めっちゃゴルフが上手かった。皆70台で回れます」
たとえば59度のウェッジでフェースがボールの下をくぐってしまい、自分の距離まで飛ばなかったり。中間距離の練習も含めて、今週の練習でしっかり修正していきたいと思っています。それに防げるミスもありましたね。あえてバンカーを狙ったショットを選択したとき、レーキがあることに気付かなくて、それに当たって違う方向にはねて難しいシチュエーションになってしまったんです。そうした「1打」で流れは変わってしまいますし、残り少ない試合のなかでその「1打」は大事になってきます。やはり凡ミスはなくさないといけませんね。
先週は以前にもご紹介したインドのルーキー、ヒターシー・バクシ(21歳)とスベロニアのピア・バブニック(21歳)と練習ラウンドしました。ピアはオリンピアンで、リオ五輪も東京五輪も出ているんです。まだ若くて背も高いから飛ぶし、ハイボールも打てるし、これからも有望な選手だと思います。東京五輪はコロナ禍だったので、会場と宿泊先の往復だけで、バスから街を見たくらいでどこにも行けなかったと。また日本に来たいと言っていましたね。

仲の良いルーキー、「ヒタチ(日立)」ことヒターシーとオリンピアンでもあるピアと。「ヒタチはお母さんと一緒にずっと遠征しています。ピアも先週はお母さんがキャディをしていました」
キャディさんはドイツの方で、スイスで仕事をしているそうですが、ご両親がストックホルムに別荘を持っていて、家族のホリデーで来ていた兄弟の弟さん。兄弟で「ゴルフの試合をやっているなら、ボランティアキャディしようか」という話になり応募したそうです。アップダウンがかなりあるコースで4日間バッグを担いで歩いてくれましたけど、やっぱり時々肩や足腰を触っていましたね。最終日に「明日からようやく本当の休みが取れるね」と言ったら、「明日までしか休みがないんだ」と。仕事よりも疲れる休日になったという話をしていたんです(笑)。でも、こういうボランティアキャディのシステムも面白いですよね。

バッグを担ぐにはハードなコースで、ドイツの兄弟がボランティアキャディを。「お兄さんは結局、プロがキャンセルしたので、私たちの組に付いて歩いてくれました」
さて、月曜日に大西洋を渡ってアメリカに移動し、今はフロリダにいます。来週の試合はヒューストンの近くで行われますが、以前、アメリカの試合のときにハウジングさせてもらったフロリダのご家族のところに来たんです。アメリカでずっとプレーしてきたので、いろいろな地域に知り合いがいるんですけど、ヨーロッパからだとフロリダが近いと思いお願いしたら「いいよ」と言ってくれたので、1週間ほど滞在します。メンバーコースも近くにお持ちなので、そこで練習などさせてもらいながら、日曜日にダラスに移動しようと思います。
「ハウジング」というのは、試合コースのメンバーさんの家に泊まらせてもらってそこから試合に通うんですけど、アメリカではよくあるシステムで、米ツアーではアジアでの開催以外はほぼあると思います。そこでお世話になった方々に、今でも連絡して、OKをもらって滞在させてもらっているんですけど、私、図々しいでしょうか(笑)。ハウジングは使わないプロも多くいるとは思うんですけど、私はよく使っていて。なんだか楽しいでしょう。

豪華な家のバルコニーから見える景色。向こうには海が広がる。「フロリダは最高気温28度、最低気温25度くらい。沖縄のようにスコールみたいな雨が降ったりします」
それにしてもアメリカのお金持ちって半端ないんですよ(笑)。ここはビーチの前のとても大きな家ですけど、ゲームルームやジムがあったり、広い部屋がたくさんあります。こちらのご家族の話などはまた次回にしたいと思います。
写真/本人提供