
正しいトップを身につけよう
肩はグリップを上げてから回していく

グリップポジションが8時の位置から左肩を回していくイメージ
GD 前回トップの説明を聞いてアイアンもドライバーもトップの大きさは変わらないということに少し驚きました。ドライバースウィングのトップはクラブが長い分、もっと体の後ろ側までくるのかと思っていました。
原田 それは間違った思い込みですから、これからは改めてください。それでね、8時(時計に見立てたスウィングの手のポジション)からトップまでグリップを上げてくると肩がまたグッと入ってくるんです。8時の位置では肩の回転は20度くらいでした。それがトップまで上げてくると45度まで入るんですよ。ほぼ45度ですね。
GD トップまで手が上がっても肩の動きは45度なんですか? なんか、回すというより少し動かすぐらいの感じ。世間一般的なレッスン書などではトップでは肩を90度回すと教えているものが多いので、自分も90度だと思い込んでいたんです。アゴの下まで肩を入れよう入れようとしてました。違うんですね。
8時までは左肩は45度程度回す

8時までは左肩は45度程度回す
原田 違います。感覚は45度でいいんです。でも、実際はもっといきますよ。
GD クラブの重さやテークバックの反動があるから、45度回す感覚で上げていけば結果としては90度近くになるということですか?
原田 そうです。逆に感覚で90度回そうとする人は動きが過剰になるためにひざが伸びてしまったりして、正しい動きができませんよね。
GD バックスウィングが無駄に大きくなったり、トップでオーバースウィングになってしまったり……。その指摘については自分も心当たりがあります。やっぱりドライバーを打つときはしっかり肩を回せ、飛ばしたかったらもっと肩を回せとかいわれるので、少なくとも90度、できればそれ以上回したいと思ってしまうのですが、それは大間違いだということですね。
トップでは結果として90度回れば十分

肩は大きく回そうとしないこと。両ひざを動かさないのもポイント
原田 プロのように強い体、柔軟性があれば、大きく回しても問題ないでしょうが、一般のアマチュアには勧められません。肩を90度以上回そうと思っていると、8時の位置もできないです。手とクラブがインサイドに入り過ぎて、フェースが開いてしまうんです。
GD たしかに、クラブを後方に引きにくくなりそうですね。
原田 8時が正しくできないと正しいトップを作るのは難しくなります。肩は45度回す感覚をしっかりと持つことでちょうどいいくらいに回るんです。
GD それで8時の位置からテコシステムを使ってグリップを耳の高さまで上げていくときは手を使っていると考えていいのですか?
8時の位置から手を使ってクラブを上げていく

8時の位置から手を使ってクラブを上げていく
原田 そうですね。8時から耳の高さまでグリップを上げていくときには手を使います。8時の位置で左手の小指、中指、薬指の3本を握りながらグリップを耳の高さまで持ってくる。それによって左肩が入ってきます。そしてグリップの位置は右足土踏まずとかかとの横あたりになります。
GD ここは大事なところなので確認ですけど、8時で左手3本を握るテコシステム、つまりコックを入れながら手を使って耳の高さまで上げていくということですね。
原田 そうです。左手の前腕に張りを持たせながら耳の高さに持っていきます。
GD 3本の指をギュッと握ると、たしかに前腕に張りができます。この感覚ですね。それから8時から9時を通過して耳の高さ、つまり11時の位置に持ってくるというよりも、8時から11時の動きをひとつとして考えたほうがいいですね。
9時で右わきを締めながら両ひじをたたんでいく

9時で右わきを締めながら両ひじをたたんで11時のトップまでクラブを上げる
原田 そうです。これは8時から11時の動きで、ひとつの動きとして考えてください。シャフトが地面と平行になる9時の位置というのはね、8時から11時に上げていく間に自然にできるポジションなんです。
GD イメージクロック(時計に見立てたスウィングの手のポジション)では、8時まで伸ばした腕を9時で右わきを締めながらたたんでいくということだったと思います。イメージクロックはあくまでもチェック方法、バックスウィングの動きの流れの中では、9時は自分で作ろうとする位置じゃなくて、自然に8時から11時に行く間にできてしまうということですね。
原田 イメージクロックで手とひじのポジションを日ごろから確認する練習をしていると、手とひじのポジションが身について、ボールを打つときには、8時から11時の間の9時のポジションを意識しなくても、11時のトップは安定します。8時までの始動と8時からトップまでの一連の動きのイメージとイメージクロックの手とひじのポジションが一致したら、トップで悩むことはなくなるでしょう。ただ、その8時の重要性についてまだ話しておくことがあります。
●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)
はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。
撮影協力/ 都留グリーンゴルフ、梅里CC、東名CC