
解説/金子駆大プロ
かねここうた。2002年生まれ。愛知県出身。中学2年の時に中部ジュニアを制するなどジュニア時代から活躍。2020年にツアープレーヤー転向を果たし、今季は関西オープンで初優勝を飾っている。NTPホールディングス所属
金子プロからの提言
プロになって活躍したいなら小学生時代はスコアを気にするな!
●曲がることを気にする小学生は伸び悩みます
プレー後のジュニアたちが続々と練習場へ。そこで待っていたのは金子駆大だ。小学生を中心に特別レッスン会を実施し、ジュニアたちが抱える日頃の悩みを解消してくれた。そこで金子が伝えたことは実にシンプルで大人にも役立つものばかりだった。
「全体的に言えることはジュニア時代、特に小学生の頃はまだ体が小さいのでスウィングの形や細かいことにこだわる必要はありません。ジュニア自身はもっと飛ばしたい、見守る親御さんももっと飛ばすようにさせたいって思いがちですが、そもそも重いクラブを小学生の頃に速く振ること自体できないんです。もちろん飛ぶようになることは悪いことではないですが、無理に飛ばそうとせずに、もっとグリップやアドレス、アライメントに関して正しい癖をつけることが大事なんです」

『ゴルフダイジェスト ジャパンジュニアカップ』は、金子自身も出場していた思い出の大会。親の目が気になりすぎて、スコアを出さないといけないというプレッシャーを抱えてプレーしていたと当時を振り返っていた
金子自身もそうだったと振り返るが、試合に出るとどうしても結果を求められるし、結果を気にしながらのゴルフになってしまう。そうすると「曲げたくない」と思い、スウィングが縮こまってしまう。気持ち良く振れないから、結果ボールは曲がる。金子は曲がってもいいから気持ち良く振って、楽しみながら球を打ってほしいと話す。

小学6年生の2014年大会で優勝したときスピーチをする金子プロ(画像左上)。アライメントとアドレスは大事だよと金子プロ
その1 ショット編”肩のライン右向きは要注意!”
金子は曲がることを気にしないで振ることを大事にしてほしいと伝えていた。ただ、多くのジュニアが気持ち良く振り切れていない。その原因は一体何なのだろうか?
「やっぱり飛ばしたいって思うと体重が右足に残りやすくなります。加えて、クラブが重いからダウンスウィングでヘッドが垂れやすくなる。要はあおり打ちになっているんです。ボールを上げようとすればするほどあおり打ちになりやすくなります。体が成長して大きくなればクラブを速く振れるようになるので、ボールは自然に高く上がるようになります。球が上がらないことは気にしちゃダメ!」

アドレスの向きを細かく指導されて、驚きの連続だったジュニアたち。力がない時期に飛ばそうとするアドレスを作ると悪い癖がつきやすいと金子。ボールは飛ばなくていいし、高く上がらなくてもいいから、まずは正しいセットアップを覚えてほしいと力説した
ジュニアたちへの指導の中で最も多かったアドバイスがアドレスの向きだ。ボールを上げたい、飛ばしたいという気持ちがアドレスに出るため右を向く傾向にある。
「アドレスで右足に体重が乗っていることは悪いことではないですが、右に向き過ぎている傾向があります。肩も腰もスクエアにセットすることを大切にしてください。あおり打ちになってインパクトが詰まり、結果まったく腕が振れていないんです」
「もっと体を使え」、「手打ちをするな」などの言葉がレッスンでは頻繁に出てくるが、そんな言葉に踊らされずに、まずは腕を気持ち良く振ることを重視してほしいと金子。
4つのアドバイス
ドライバーが飛ばない
体の回転より腕を振る意識を持つ
ジュニアは本能的に重いものを体を目いっぱい使って振るすべを知っているが、飛ばそうとしすぎてあおり打ちになりがち。結果、腕が振れていないので、まずは腕をしっかり振ることを重視する。

腕を振る
アイアンが当たらない
胸の位置をボールより左に置く
インパクトのときに胸の中心がボールよりも右にあることでダフリ気味に当たることが多かったが、胸の中心がボールの左になるように意識すると綺麗にコンタクトできるようになった。

胸の中心がボールの左
ドライバーが苦手
右手を少し上めから握る
ボールが上がらないからボールを上げようとして右手のグリップを下から握りすぎる傾向かある。ボールが上がらないことは気にしなくていいので、右手をスクエアに握ることを指導。

右手をスクエアに握る
速く振れない
少し速くテークバックする
飛ばそうとする必要はないが、飛ばすためのアドバイスをするならテークバックを速く上げることで速く下ろせる。結果、ヘッドが走るようになり飛距離が伸びる。ゆっくり上げて速く振るとミスも出るので要注意!

テークバックを速く上げる
▶アプローチは「フェースに乗せる」! 金子駆大が明かす“当て感”の養い方と「楽しむ」メンタルの鍛え方
PHOTO/ARAKISHIN
THANKS/東名カントリークラブ