
関西オープンゴルフ選手権でツアー初優勝を飾った金子駆大(撮影/有原裕晶)
金子が男泣きした。最終18番でカップの右1メートルのウィニングパットを沈め、両手を突き上げて天を仰いだ。ギャラリーだけでなく、プレーオフに備えていた浅地からも惜しみない拍手が沸き上がる中、仲間や母親と次々と抱擁すると、周囲をはばかることなく大粒の涙を流した。続けて仲間から祝福のウォーターシャワー。もう涙を流しているのか水なのか分からなくなった。
「めっちゃ泣くんですよ。普段から結構泣いちゃうタイプで、みんなが待っていてくれたし(最後に)入った瞬間はうれしかったですね。(ウォーターシャワーは)みんな仲のいい人たちばかりで、正直あんなに待っていてくれるとは思っていなかったので、めちゃめちゃうれしかったです」
この日は1打差首位タイからスタート。10番までに1つスコアを落としたが、13番パー4で第2打を3メートルにつけてバーディを奪い巻き返しに転じた。530ヤードの16番パー5は残り205ヤードの第2打を6番アイアンで2オンに成功。7メートルのイーグルパットを決めてこの時点で首位の浅地を捕らえた。さらに17番パー3も7メートルのバーディパットを沈め、単独首位に浮上した。
最後に生みの苦しみを味わった。

18番はバンカーからナイスパーセーブ(撮影/有原裕晶)
最終18番はティーショットが右フェアウェイバンカーのアゴ近くに入り、第2打は脱出させるしかないピンチだったが、ピンまで残り92ヤードの第3打を56度のウェッジで1メートルにつけた。このスーパーショットで優勝への流れを大きく引き寄せた。
「ティーショットを打った瞬間はOBかと思ったんですが、なんとかコース内にあって。プレーオフに持ち込めればいいなという気持ちだっだんですけど、3打目をあんなにいいショットが打てるとは自分でも思っていなかったので。最後のパットはあそこについて心臓の音が聞こえるくらい緊張したんですけど、何とか気持ちで入れました」
金子は名古屋市出身でルネサンス高3年だった2020年のプロテストに合格した。21年にツアーデビューを果たし、昨季は21試合で予選落ちはわずか1度。今季も前の試合まで予選落ちが一度もなく、すべてがかみ合えば初優勝は十分に手の届くところにあった。
「この1勝は本当に思い出にもなりますけど、ここからまだ2勝目、3勝目と優勝できるように頑張りたいです。賞金ランキング上位でシーズンを終えられたらいいなと思います」
プロ6年目の初優勝で今後の夢も大きく広がる。優勝から一夜明けた19日には全米オープン選手権最終予選(滋賀県・タラオカントリークラブ)に出場する。
「僕も早く海外に行きたいので自分なりに頑張ります」
この優勝で飛躍のきっかけをつかんだ22歳。空高く羽ばたく準備は整った。