
「26日から始まるライダーカップ。イタリア開催の前大会では、絶不調のR・マッキンタイアを助けるなど、チーム一の経験者はいい仕事をし続けてきました。今年もその活躍が楽しみです」(佐藤プロ)
ボクが最も尊敬する選手であり、応援しているのがジャスティン・ローズです。プレーオフシリーズ初戦のフェデックスセントジュード選手権で、2年半ぶりに12勝目を挙げました。45歳、今季、PGAツアーで唯一の40代の優勝です。
ローズを語るとき、避けて通れないのが2度にわたるマスターズでのプレーオフによる惜敗。特に17年のセルヒオ・ガルシアとの一戦は、現地で目の前で見たこともあり、そのグッドルーザーぶりは今も脳裏に焼き付いています。そして今年はローリー・マキロイのキャリアグランドスラムを、心から祝福するローズの姿が印象的でした。
その衝撃的なデビューは、98 年、ロイヤルバークデールで開催された全英オープン。最終ホール、可愛い顔をした17歳の少年が、50ヤード超のチップインバーディで4位タイに。ローアマに輝き、神童出現と話題になりました。そしてその翌日にプロ転向するも、21試合連続予選落ち。金曜日になるとテレビカメラが彼を追い、通るか、また予選落ちかと好奇の目にさらされる苦悩の一年を過ごしました。しかし若さでその重圧をはねのけ、02年に欧州ツアーで初優勝。
この年、来日した中日クラウンズも含む3勝を挙げます。実はこの年の三井住友VISA太平洋マスターズで、予選ラウンドで一緒に回りました。ドライバーの飛距離はそれほど変わらず(5〜10Yほど)、アイアンが1〜2番手違う感じ。アイアンが飛ぶなあと思ったことを覚えています。何より翌年、ボクが全英オープンに出場した際、日本から来た名もないプロの顔を覚えていて、「Hey!」と声をかけてくれたナイスガイ。感激してより好きになりました。
07年には欧州ツアーで賞金王、10年にメモリアルでPGAツアー初優勝。13年には全米オープンでメジャー初優勝すると、16年のリオ五輪では金メダル。さらに18年にはPGAツアーの年間王者になるとともに、世界ランク1位にも輝きました。
正直、そのキャリアや年齢を考えれば、LIVゴルフに移籍しても不思議な選手ではありません。実際、最初に話題になった一人でもありました。しかし、それでもPGAツアーにとどまるのはメジャーとライダーカップに出続けたい、という思いからです。その情熱は昨年の行動に表れています。というのもロイヤルトゥルーンで開かれた全英オープンは、予選会からの出場。優勝はザンダー・シャウフェレに譲りましたが2位になると、それによりマスターズの出場権を獲得。あのマキロイのキャリアグランドスラムの栄誉と、ローズのグッドルーザーの物語が生まれました。
そうしたゴルフへの情熱こそが、ボクだけでなく世界のゴルフファンの心を震えさせるのだと思います。情熱に年齢は関係ないということなのでしょうが、とにかく頭が下がるし、リスペクトし続ける気持ちになるのです。
そしてやはり、今後のマスターズと全英オープンでローズが勝つ姿を見てみたいもの。来年の全英開催コースは、17歳でローアマに輝いた大好きなロイヤルバークデール。またドラマが生まれそうです。
撮影/岩本芳弘
※週刊ゴルフダイジェスト2025年9月23日号「さとうの目」より