アイアン市場では鉄のみで形作られた「軟鉄鍛造」が賑わっています。今回紹介するキャロウェイ『Xフォージド MAXアイアン』もその内のひとつ。キャロウェイのツアーモデルシリーズである「Xフォージドシリーズ」は19年の歴史があります。昨年には前モデルから7年ぶりとなる後継が登場し、ソールのリーディングエッジ側、トレーリングエッジ側に面取りをほどこし、抜群の抜けの良さを実現しました。そして今作はキャビティ設計をベースに、バックフェース下部のトウ側とヒール側に小さな穴を開けたことで、「ツアーモデルながらもやさしさが備わった」といいます。クラブ設計家の松尾好員氏と共に性能をひも解きました。
画像: 【試打クラブスペック】7I ●ロフト角/32.0度 ●ライ角/62.0度 ●価格(税込)/15万9000円(#6〜9、PW)※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】7I ●ロフト角/32.0度 ●ライ角/62.0度 ●価格(税込)/15万9000円(#6〜9、PW)※すべてメーカー公表値

“MAX”でもミスヒットの強さは控えめ

GD 今回はキャロウェイ『Xフォージド MAXアイアン』を分析していただきます。昨年、7年ぶりに“Xフォージドシリーズ”が発売されました。はじまりは「契約プロを増やすため」という理由で誕生したツアーモデルアイアンです。

松尾 そうですね。初代は2007年に登場し、今作で9代目となります。元々は「フォージド」と冠したモデルのみでしたが、2019年に「フォージドスター」が新たに追加された形になります。ヘッドが大きく、フェースも長く、そしてロフトが29度と立てられているのが特徴です。

GD 今回は新たに「MAX」と冠されています。この文字から「やさしさ」をイメージするゴルファーも多いと思います。今モデルはどんな性能なんでしょうか?

画像: 左が昨年発売された『Xフォージド(24年)』、右が『Xフォージド MAX』。バックフェースの深さの違いが、写真からも分かる

左が昨年発売された『Xフォージド(24年)』、右が『Xフォージド MAX』。バックフェースの深さの違いが、写真からも分かる

松尾 データを見るとヘッドの基本的なコンセプトは変わらないように見えます。素材も引き続き軟鉄鍛造の一枚ものです。
 
マイナーチェンジではありますが、ロフト角が前モデルは33.0度、今モデルは32.0度と1度ストロングになりました。理論上では1度立てられると、キャリーが2~3ヤード伸びるのでわずかではありますが、飛距離を追い求めた意図を感じます。

GD 上から落とせる、狙う要素を持たせたロフト設計。そして軟鉄鍛造で手に残る軟らかい打感といったツアーモデルらしさは変わらずというわけですね。他に特徴はありますか?

松尾 バックフェースを見ると、独特なキャビティ設計になっています。重心を深くし、打点ズレの強さを狙った設計意図があると推測できます。しかしヘッドの慣性モーメント(標準値:2600〜2799g・㎠)を見ると、2388g・㎠と小さい部類にあたります。
 
一方で操作性を判断できるネック軸回りの慣性モーメント(標準値:5500〜5999g・㎠)が5201g・㎠としっかり抑えられています。インテンショナルにヘッドを操作できるツアーモデルらしい特徴があります。

「MAX」と冠されていることで、“ミスヒットへのやさしさ”をイメージするが、ヘッドの慣性モーメントが小さいという結果になった。打点ミスに強いヘッドではないが、一方で操作性にたけている性能だ

GD “MAX”と冠されてはいるものの、従来の「Xフォージドシリーズ」の色が強く継承されているわけですね。

松尾 はい。スイートスポット(フェース面上の重心)がヒール寄りになっているので、持ち球がフェード系のゴルファーは扱いやすさを感じると思います。さらにバウンス角が5.6度とやや大きめなことから、ダウンブローに上から打ち込めるスウィングと相性が良いアイアンです。

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