
「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でツアー初優勝を飾った菅楓華(撮影/岡沢裕行)
同期たちの祝福に涙

同学年の入谷響(中央)、プロテスト合格同期の政田夢乃(左)から祝福を受ける菅(撮影/岡沢裕行)
初優勝が決まったとき、菅はプレーオフに備えた練習グリーンの上にいた。最終組の神谷が18番で第3打をカップインさせられなかった瞬間にV決定。同学年の入谷響、プロテスト合格同期の政田夢乃、天本ハルカから次々と祝福のハグを受けると、こらえ切れずに両手で顔を覆って泣きじゃくった。
優勝インタビューでは自分の言葉で喜びを表現した。
「開幕戦から優勝争いの経験をたくさんして勝ちたい気持ちが強かったんですけど、自分を信じて戦うことができた今日はできたかなと思います。今週もたくさん(宮城県名物)牛タンを食べられたので、それが力になって頑張れることができました」
この日は首位との2打差を追ってスタートし、10メートルを沈めた1番から3連続バーディでいい流れに乗った。5、8番でもスコアを伸ばして前半アウトは31。後半は15番パー3でティーショットをグリーン奥に外したが、アプローチを1.5メートルに寄せて「ナイスパー」。17番で2メートルのバーディパットを決めて単独首位に立つと、攻め手を緩めず、最終18番パー5も第3打のアプローチを奥1メートルにつけてバーディフィニッシュ。クラブハウスリーダーとして後続の展開を待った。
「優勝はあまり考えずビッグスコアを出すことだけを意識してスタートしました。風が全然なかったので取るだけ取るという感じでした。17番がすごく大事になるなと思っていて、チャンスについてラインがすごくいいところについていたので、あのバーディパットがすごく大きかったなと思います」
クラブハウスリーダーでホールアウトしてから、優勝が決まるまでの時間は長く感じたという。
「すごく長くて、本当に18番は(後続が)イーグルもある可能性があったので、すごくドキドキしながらプレーオフのことを考えて待っていました」
優勝が決まった瞬間に祝福してくれた入谷や政田、天本には感謝の言葉を送った。
「同級生や同期が優勝してすごく焦る時期もあったんですけど、試合が続く中でもみんなで切磋琢磨できている。その環境があるから自分も頑張れると思うので、すごいメンバーに巡り合えたかなと思います」
ゴルフを始めた7歳から「ずっとダンロップ」

「自信を持ってプレーすることだけを最近は考えている」という菅(撮影/岡沢裕行)
2005年5月17日、宮崎市出身。7歳でゴルフを始め、2023年11月のプロテストに合格。ルーキーイヤーの昨季からレギュラーツアーを主戦場とし、22試合に出場してトップ10入り4回。初シードには届かなかったが、QTランク20位で今季の出場権を得た。今季は初戦のダイキンオーキッドレディスから優勝争いを演じ、第1回リランキングは1位でクリア。最も初優勝に近い選手として注目を集めていた。
「開幕戦からスタートダッシュがよくて、自分に期待しすぎて、中盤戦はなかなか優勝争いができなくて、気持ちが下りになっていたので、それをやめて自信を持ってプレーすることだけを最近は考えているので、そこが今日はよくなってきたところです」
ダンロップ契約プロで今週はホステスプロとしての役目も果たした。
「ゴルフを始めたのが小学1年、7歳だったんです。(クリスマスプレゼントで)お願いしたのがゼクシオだったので、そこからずっとダンロップです。ゼクシオとかスリクソンとはお願いしていなかったけど、たまたまゼクシオでそこからずっと」
趣味はカラオケとダンスとバラード系が好きだという。
「カラオケはバラード系。速い歌は得意じゃない。踊るっていうか見て気分を盛り上げる感じです」
これで地元宮崎で開催される最終戦のメジャー「JLPGAツアー選手権リコーカップ」への参戦が決定した。
「リコーカップに出場することを目標にしていたので、2勝目、3勝目を目指して頑張りたいと思います。30歳以内には賞金女王になるっていうのを小さいころから持っていて、それは今でも忘れることはできないので、そこがまずは目標かなと思います」
身長168センチのスラリとした体形に愛くるしい小顔も人気の菅が実力を証明し、女子ゴルフ界の「センター」を目指して足音高く前進を開始した。