「週刊ゴルフダイジェスト」や「みんなのゴルフダイジェスト」で、障害者ゴルフの取材記事を執筆したベテラン編集者が、日本だけでなく世界にアンテナを巡らせて、障害者ゴルフのさまざまな情報を紹介する連載。今回は柏オープン予選会についてレポートします。

第31回の本連載でご紹介した“アツい地方オープン”、第6回柏オープンの予選会の一環として開催された「第1回柏障がい者ゴルフ選手権」(主催・柏ゴルフフェスタ実行委員会、日本障害者ゴルフ協会)についての報告です。

9月28、29日、紫CCあやめCで行われ、最終的に10人が参加、グロスの部の優勝者は吉田隼人(右大腿切断)、ネットの部の優勝者は山本篤(左大腿切断)でした。本大会は世界障害者ゴルフランキング「WR4GD」の対象試合にもなりました。DGA理事の石塚義将さんは、当日の会場の様子を見て、6回にわたり積み上げてきたものを感じたそうです。

画像: ネットの部で優勝したのは、陸上のパラアスリート(メダリスト)、山本篤。日々上達している姿に「山本さん、本当に上手くなってます。山本さんの上達ぶりに負けないように頑張ります」(吉田)

ネットの部で優勝したのは、陸上のパラアスリート(メダリスト)、山本篤。日々上達している姿に「山本さん、本当に上手くなってます。山本さんの上達ぶりに負けないように頑張ります」(吉田)

「これまで日本障害者ゴルフ協会では、WR4GDの対象試合を、当協会のみの主催で実施してまいりました。今回、薬師寺輝さん(柏ゴルフフェスタ実行委員会ゼネラルマネージャー)とのご縁により、共催という形で世界ランキング対象試合を実現できたことは、大変意義深い出来事であると感じております。ご存知の方も多いかと思いますが、『柏オープン』はローカルオープンでありながら、日本全国から400名以上の出場者が集まるビッグトーナメントです。今回私が強く感銘を受けたのは、その運営のオペレーションでした。受付やスターターの進行、ブランディングの見せ方に至るまで、細部にわたって学ぶことの多い大会でした。このような正式なオープントーナメントに“障害者ゴルファー枠”を設けていただけたことは、非常にありがたい一歩です。従来、障害者ゴルフには福祉やボランティアといったイメージが先行しがちでしたが、柏障がい者オープンゴルフ選手権においては、完全にオフィシャルなトーナメントの一部として障害者ゴルフ部門を位置付けていただきました。心からの感謝を申し上げます」

画像: 優勝した吉田。選手たちの目標の1つに「吉田に勝つこと」もあり。日々研鑽している。「みんなの平均が上がってきているので嬉しいです。まだまだ追いつかれないように頑張りますよ!」

優勝した吉田。選手たちの目標の1つに「吉田に勝つこと」もあり。日々研鑽している。「みんなの平均が上がってきているので嬉しいです。まだまだ追いつかれないように頑張りますよ!」

さて、2位に6打差をつけての勝利となった吉田ですが、初日は71と圧倒的なトップに立ったものの、2日目の終盤に崩れて79としたことに関して「最後は足が痛み、大崩れしましたがなんとか頑張ることができました」と反省の弁を入れつつ、「今年から世界ランキング対象試合として柏障がい者オープンが開催され、映えある第1回目で優勝することができて、とても嬉しいです。また、柏オープンの予選会の一つとして行われた本大会の勝利で本選の出場権をいただけることは、障害を持つ私たちにとって希望の光であり、活動を続ける原動力になります」
と“第一人者”らしい勝者のコメントをくれました。

画像: 最年少出場(中3)の中島早千香は、99・95で回り、ネットの部では4位に。成長著しい。「何とか公式戦でも90台で回れるようになってきました。頑張っています!」(父・佑樹さん)

最年少出場(中3)の中島早千香は、99・95で回り、ネットの部では4位に。成長著しい。「何とか公式戦でも90台で回れるようになってきました。頑張っています!」(父・佑樹さん)

吉田は今年に入り、出場したWR4GDで3勝目。好調の要因について、ドライバーのシャフトを替えたことを挙げます。

「シンカグラファイトさんのLOOP SLASH 6 TYPE-Rに替えて、“振れる”ようになったことで、すべてのクラブが振れるようになったんです。ドライバーの飛距離は平均290ヤードぐらいだったのが、平均300ヤードに伸び、最大で320ヤ―ドぐらい飛ぶようになりました」

実行委員会会長でゴルフキャスターの薬師寺広さんに、「本戦で障害者ゴルフプレーヤーの代表としてみんなをびっくりさせてください」と激励されたそう。

薬師寺広さんに話を聞くと、参加した選手たち全員の“熱”に感心しながら、「みんな情熱がすごくて、体もアスリートで。障害を持っていても皆さん前向きに生きて進んでいる。やっぱり勇気をもらいました。吉田選手を目標に、みんな彼に負けないように頑張っている姿と、人生を楽しんでいる姿が印象的でした」と語ってくれました。

画像: 「集合写真を撮るときも、足を曲げてその上にトロフィーを乗せたりして楽しんでいて。みなさん障害を隠すのではなく、誇りに思っているのですね」(薬師寺)

「集合写真を撮るときも、足を曲げてその上にトロフィーを乗せたりして楽しんでいて。みなさん障害を隠すのではなく、誇りに思っているのですね」(薬師寺)

吉田は10月20日に行われる「柏オープン」に出場します。

「今回は障害者ゴルフの代表として出場するので、最後まで諦めないプレーをして少しでも上位に入れるように頑張ります」

新しいステージで“ぶっ飛ばす”吉田隼人の姿を心待ちにしたいと思います。

写真/日本障害者ゴルフ協会

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