
解説/武田登行プロ
豊富なアマチュアの指導経験を持ち、理論的なレッスンには定評があるスウィング研究家。松原ゴルフアカデミーのヘッドプロ
「クロスハンド」のグリップといえば、50代以上の年輩ゴルファーがまず思い浮かべるのはB・ランガーではないだろうか。イップスをクロスハンドにすることで克服し、1985年のマスターズで優勝した。93年には右手でグリップごと左の前腕をつかむ“ランガースタイル”と呼ばれた独特のグリップで2度目のオーガスタ制覇を果たしている。
そんなイメージがあるからか、クロスハンドはイップスになった人のためのグリップというとらえ方をされていた時期もあったが、最近のツアーを見ると、もはや当たり前で珍しくもないほど採用している選手が多い。でもプロと比較するとアマチュアの採用率はそれほど高くない気がする。自身もパッティングでクロスハンドを採用している武田登行プロは、昨今のツアーでのクロスハンドの採用率の高さについて、こう説明してくれた。
「それは、最近のパターのトレンドとクロスハンドのグリップの相性がいいからなんです」

多くのプロが“クロスハンド”を採用
具体的に説明してもらおう。
「最近のパターのトレンドとしてまず挙げられることに、マレット型のヘッドがあります。アマチュアの方はもちろん、プロの間でも使用者が増えています。さらに2つ目のトレンドとして、『スーパーストローク』に代表されるように太めのグリップを挿す選手が増えています。これも昨今の大きなトレンドですね。3つ目としては、中尺パター。これもけっこう前からのトレンドでしたが、R・ファウラーなどが米ツアーで3週連続優勝を飾り、ちょっとしたブームになりました。最後に最新のトレンドとしてゼロトルクパターがあります。
今年になって各メーカーから相次いで新製品が投入され、プロの使用者が増えていることからも、今年のパターの最大のトレンドといっても過言ではないと思います。これらの4つのトレンドとクロスハンドのグリップの相性がいいんです」
マレット型のヘッド、太めのグリップ、中尺パター、そしてゼロトルク。これらのトレンドに当てはまるパターを使用しているゴルファーはかなり多いだろう。
「これらのトレンドに共通するのは、“真っすぐ引いて、真っすぐ出す”ストロークを目的としているということです。繊細なタッチとフェースの開閉、リストを使ったタップ式ではなく、オートマチックにヘッドを真っすぐ動かすストローク式のパットが最近のトレンドであり、それとクロスハンドグリップの相性がいいんです。ですからクロスハンドを試す価値のあるゴルファーは多いはずです」
最近のパターのトレンドとは?

↓クロスハンドは真っすぐ引いて真っすぐ出すストロークに向いている!

真っすぐ真っすぐ