今週は、アジアで唯一開催されるPGAツアー、「ベイカレント C レクサス」(横浜CC)で盛り上がっていますが、大会に先駆け、その一流のプレーを体験した障害者ゴルファーがいます。東和生選手(左下腿欠損)と吉田隼人選手(右大腿切断)です。今大会のCRSスポンサーとなった麻生グループが、選手たちをプロアマ戦に招待して実現しました。

アメリカ出身、25歳のナイスガイ、ジョー・ハイスミス選手と。終始ニコやかに落ち着いてラウンドする姿が印象的。「ミスが少ないゴルフなんです」(3人)
一緒に回ることになったPGAプレーヤーは、25歳の“レフティー”、ジョー・ハイスミス選手。22年にプロ転向し、今年コグニザントクラシックでPGAツアー初優勝。今シーズンのフェデックスポイントランキングは現在まで59位で世界ランキングは93位。目をつぶってパッティングすることでも知られており“パット巧者”の選手です。
ラウンド後に、感想を聞きました。
東和生選手は、「何より楽しかったです。久しぶりに18ホールすべて歩いて回れてホッとしています。プレーはすごかった。間近でいいプレーを見られることってなかなかないのでよかったです。レフティということを忘れていました。いいイメージを盗むために、鏡を見て打っている感覚になっていたので」。吉田隼人選手は、「PGAツアーの選手って、ドライバーが曲がらない。飛距離はもちろん正確性もすごいんだなと思いました。パー3なんかでのアイアンの距離感も正確。3ヤード以内に付けてくるんですよ」。

前夜祭の様子。机の下に翌日回る選手の名前が貼ってあったそう。「もうひとつ横だったら、松山英樹選手に当たっていたかもしれません」(石塚)
一緒にラウンドした日本障害者ゴルフ協会の専務理事であり、プロゴルファーの石塚義将さんは、「まず、このような機会を皆にもらえて大変光栄です」とお礼を述べつつ、「この日のために、調整してきました。頑張りましたよ(笑)。ハイスミス選手は細身なのに飛ぶ。スウィングがブレないんです。25歳に見えない落ち着きぶりです。世界のトップランカーって皆アプローチが上手いんですけど、特に飛距離が出るのに縦の距離感を合わせられるんですよね。これは練習量もあるでしょうが、天性のものもある。ツアープロとして大成していない自分としては、レベルの差を感じさせられました」とツアープロを目指していたときの感情がふつふつと湧き上がってきたようです。
最後にハイスミス選手に、この日の感想を聞くと、「ここまでゴルフのレベルが高いとは思っていなかったです。(世界障害者ゴルフランキング)トップ40位内のプレーヤーと一緒にゴルフができて、とても光栄でした。僕自身の調子はいいので、この会場とギャラリーを楽しませたいと思います」と爽やかに答えてくれました。

「飛距離が出るのに曲がらないんです」(吉田)「レフティだけど、それを忘れるくらい。リズムがいいのでそう感じるんでしょうね」(東)
ホールアウト後、握手を交わしながら、「明日、がんばってください!」と英語で激励した吉田隼人選手。またひとつ、自身のゴルフの経験の引き出しが増えたようです。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa