PGAツアー使用率1位を走り続けているタイトリスト。今回はツアーモデルの立ち位置である「T100アイアン(25年)」を紹介します。今モデルはロングアイアンの高弾道化。ミドルからショートアイアンはスコアラインを深くし、ラフや濡れたライからでも安定したスピン性能を発揮できるようにセット全体で進化したとのこと。クラブ設計家の松尾好員氏と共に前モデルと比較しながら性能を考察した。
画像: 【試打クラブスペック】7I ●ロフト角/33.0度 ●ライ角/63.0度 ●価格(税込)/17万8200円(#5〜9、PW)※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】7I ●ロフト角/33.0度 ●ライ角/63.0度 ●価格(税込)/17万8200円(#5〜9、PW)※すべてメーカー公表値

ツアーモデルの基本設計が変わらない理由がある

GD 今回はタイトリスト「T100アイアン」(以下、今モデル)を前モデルと比較しながら分析していただきます。タイトリストのTシリーズの中でも、最上位モデルの位置付けとなるのが「T100」ですね。

松尾 そうですね。ラインナップは「T100」を含めた5機種があります。その中でもツアープロが好む小さなヘッドで、操作性を重視しているのがこのモデルになります。

左から前モデル、今モデル。「Tシリーズ」の中でもツアーモデルのポジションで操作性が優れている

GD タイトリストだけでなく、他のメーカーにもツアーモデルが展開されています。この連載でも何度も取り上げていますが、分析した結果「基本設計が完成されている」という結論になります。

松尾 ツアープロの意見を反映しているので、おおまかな性能面は落ち着いてきます。シビアな状況でインテンショナルな打ち分けを駆使して、コース攻略をすることから操作性を持たせるのは基本設計です。そしてミートする技術に長けているので、当然ミスヒットの強さといったお助け機能は控え目になります。

GD たしかにアベレージ向けのようにヘッドの慣性モーメントが、特別大きいわけではないですね。使用しているプロが「ミスにやさしい」と言っても、分析してみるとヘッドの慣性モーメント自体は、標準値よりも小さい数値だったことはこれまでにもありましたね。

松尾 はい。今モデルもツアーモデルらしく大元の基本設計は変わっていません。ヘッドの操作性を判断できる、ネック軸回りの慣性モーメント(標準値:5500〜5999g・㎠)は今モデルが5149g・㎠、前モデルが5148g・㎠と共に小さい値で、変わらず操作性抜群のヘッドです。
 
そしてヘッドの慣性モーメント(標準値:2600〜2799g・㎠)は前モデルが2636g・㎠、今モデルが2444g・㎠と、さらに小さくなりました。ですからお助け機能に期待するモデルではありません。
 
一方でフェースの長さが0.5mm長くなっています。それに伴い重心距離も1mm長くなりました。フェース面上の重心がわずかに中央側にシフトしたのが特徴です。

左の前モデルよりも、フェースがわずかに長くなり、重心距離も1㎜長くなっている

GD 他のメーカーにも見られる点ではありますが、フェース面上の重心位置を中心に持っていく施策をしています。これはどんなメリットがあるのでしょうか?

松尾 今よりも加工技術が無かった昔のアイアンは、現在よりもヒール寄り重心になっていました。数値で言えば“ヒール寄りに4mm”といったところです。今回の「T100」はヒール寄り1.4mmですから、当時はかなりヒールに寄った設計になっていました。
 
この影響で昔のプロはアドレスで、かなりヒール寄りにボールをセットしていました。実際にやってみると分かりますが、シャンクしそうなイメージが湧くかと思います。安定してミートができないアマチュアが使うには難しいものでした。
 
こういった経緯から、より広い打面に当てられるように、各メーカーさんはフェース面上の重心を中央に寄せる努力を行い、当時よりも簡単に扱えるアイアン作りをしているわけです。

右の今モデルはフェース面上の重心がわずかに中央にシフトした

GD なるほど。ツアーモデルとはいいながらも、昔と比べれば幅広い層が使えるように、アイアンも進化してきているわけですね。

松尾 はい。トム・ワトソンにアイアンを見せてもらったことがあるんですが、一円玉より小さい打痕がフェース面のヒール寄りだけに付いていました。それくらい精密なミート力がないと難しかったんです。ドローが持ち球のプロだともう少し中央寄りに打痕がついていましたね。

GD タイトリスト「T100アイアン」はどんなゴルファーにおすすめですか?

松尾 他のデータで言えばロフト角が1度ストロングになりました。ツアープロの要望で従来よりも少しだけキャリーの飛距離を出しやすくしたのだと思います。小ぶりなヘッドを生かして、弾道を操作してピンを狙っていきたいゴルファーは試してみると良いでしょう。

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