アイアンに何を求めるか? 今どきアイアンを5タイプに分類!

みんなのゴルフダイジェストではカスタムクラブの試打解説を行っている堀越良和プロ
モデルを試した堀越良和プロは分類してこう語る。
「球の高低を打ち分けやすい、スピンが強烈に入る『どマニュアル』。少々芯を外してもミスになりにくいヘッド構造の『マニュアル』。さらにヘッド内部やソールの工夫で、操作性と寛容性のバランスを高めた『セミオートマ』。そこに飛び性能や直進性がプラスされた『飛びオートマ』、『直進オートマ』とタイプが分かれます。どんな球を打ちたいのか、自分の求める“弾道イメージ”を出せるアイアンを選びたいですね」
【A】どマニュアルタイプ
▶ボールを上下左右にコントロールする“超操り”系。スピンがしっかり入る
代表例【ミズノ/ミズノプロS-1】“強烈スピン”でピンそばに止める

ミズノ/ミズノプロ S1:重心距離が非常に短く、ヘッドの操作性が高い
ロフトが寝ていて、キャリーが出やすく、スピンも強烈に入るタイプ。ヘッドが小ぶりで操作しやすく、弾道をイメージ通りに打ち分けやすい。
リアルロフト | ライ角 | FP | バウンス角 | 重心距離 | 重心深度 | SS高さ | ヘッド左右MOI | ネック軸回り左右MOI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
34.5度 | 62.0度 | 5.2㎜ | 7.8度 | 34.0㎜ | 2.1㎜ | 20.4㎜ | 2085g・㎠ | 4600g・㎠ |
大きい | アップライト | ストレート | 大きい | 非常に短い | やや浅い | やや低い | 非常に小さい | 小さい |
【B】マニュアルタイプ
▶オフセンターヒットにもやや強めの“操り”系。スピンが適切に入る
代表例【タイトリスト/T100】“確実スピン”でピンそばを狙う

タイトリスト/T100:重心距離短め。でも左右のミスに寛容性がある
Aタイプに近い性格だが“ハイテク構造”によりAタイプよりもオフセンターヒットに強い。ミスを減らす工夫があるのに、操作性、打感を損なわない。
リアルロフト | ライ角 | FP | バウンス角 | 重心距離 | 重心深度 | SS高さ | ヘッド左右MOI | ネック軸回り左右MOI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
33度 | 62.5度 | 5.1㎜ | 6.5度 | 36.9㎜ | 1.9㎜ | 19.9㎜ | 2444g・㎠ | 5149g・㎠ |
大きい | 非常にアップライト | ストレート | やや大きい | 短い | 浅い | 低い | 小さい | やや小さい |
【C】セミオートマタイプ
▶高さが出て、程よいスピン。ミスへの寛容性が高い“バランス”系
代表例【ダンロップ/スリクソン ZXi5】“適度なスピン”でグリーンに乗せる

ダンロップ/スリクソン ZXi5:SS高さ、重心深度、FPの数値が“標準”
リアルロフト | ライ角 | FP | バウンス角 | 重心距離 | 重心深度 | SS高さ | ヘッド左右MOI | ネック軸回り左右MOI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
30.8度 | 61.9度 | 3.6㎜ | 15.8度 | 37.2㎜ | 3.2㎜ | 21.0㎜ | 2426g・㎠ | 5369g・㎠ |
やや小さい | ややアップライト | 標準 | 非常に大きい | やや短い | 標準 | 標準 | やや小さい | 小さい |
中空などの構造や重心設計で、ロフトが立ち気味でもボールの高さが出せる。つかまりがよく、程よいスピンと適度な操作性を兼ね備える。
【D】飛びオートマタイプ
▶ヘッド大きめで寛容性が高い。打点ミスでも飛距離が落ちづらい
代表例【プロギア/PRGR 03(‘25)】短い番手でグリーン近くへ

プロギア/PRGR 03(‘25):重心距離・深度が長く、深い。リアルロフト小
ヘッドサイズがやや大きめでミスへの寛容性が高い。飛距離重視のストロングロフトでも、低めの重心設計で、ある程度球を上げてくれる。
リアルロフト | ライ角 | FP | バウンス角 | 重心距離 | 重心深度 | SS高さ | ヘッド左右MOI | ネック軸回り左右MOI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
26.2度 | 61.0度 | 4.5㎜ | 2.8度 | 39.2㎜ | 4.0㎜ | 21.1㎜ | 2554g・㎠ | 5628g・㎠ |
非常に小さい | 標準 | ストレート | やや小さい | やや長い | 深い | 標準 | やや小さい | 標準 |
【E】直進オートマタイプ
▶つかまりよく、直進性が高い。オフセンターヒットでもミスになりにくい
代表例【ピンゴルフ/G440】打点がズレてもグリーン近くへ

ピンゴルフ/G440:重心距離・深度が非常に長く、深い。真っすぐ動く
重心角の大きさやオフセット度合いなどによって、つかまりのよさを生む。ミスヒットに強く、トウ寄りヒット気味でも前に飛んでくれる。
リアルロフト | ライ角 | FP | バウンス角 | 重心距離 | 重心深度 | SS高さ | ヘッド左右MOI | ネック軸回り左右MOI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
29.0度 | 62.3度 | 3.0㎜ | 5.0度 | 45.1㎜ | 4.0㎜ | 21.9㎜ | 3111gcm³ | 7226gcm³ |
小さい | アップライト | ややグース | 標準 | 非常に長い | 深い | やや高い | 大きい | 非常に大きい |
“キング・オブ・試打”からアドバイス

自分のプレースタイルに合ったクラブ選びが重要
「どんなスタイルでグリーンを狙いたいか。アイアン選びの肝です。止めたいのか、飛ばしたいのか。『アイアンでどういう弾道を打ちたいのか』を考えて、自分のプレースタイルに合ったモデルを選ぶことが肝心。各モデル、性格が違いますからね」(堀越)
「BタイプのほうがAタイプより芯を外したときの寛容性が高い 」

Bタイプの寛容性はAタイプより高く、Cタイプよりも低い
「BタイプはAタイプに比べて、『ちょい下め、上め』といった少し芯を外したショットでも“ヤバい”ことになりづらい。Cタイプは、その許容範囲がより広くなる感じです」
「ソール幅や形状もチェックしたい部分です」

左から:【タイプD】プロギア03/【タイプA】ミズノプロS1
「ソール幅の狭いAタイプは抜けが良く、広いD、Eタイプは滑ってくれる。B、Cタイプはソール形状に細かな工夫が感じられます」
「重心角は『つかまり』に影響。1度、2度の違いが大きいんです」
写真A/左から:【タイプE】G440/【タイプD】PRGR03(′25)/【タイプC】スリクソンZXi5/【タイプB】T100/【タイプA】ミズノS-1
「写真Aのように、フェース面が上を向く(重心角が大きい)ほど、つかまりがいい。要チェックです。そしてヘッドターン度合いがわかる重心距離。つかまり具合を表すライ角やFP値。これも参考に!」
取材・文/新井田聡
写真/有原裕晶
協力/ユニオンゴルフクラブ/パフォーマンスゴルフスタジオ(PGST)/クレアゴルフフィールド
※月刊ゴルフダイジェスト12月号「アイアン大図鑑」より
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全編では、アイアンが大きく5つのタイプに分類された。しかし、ご自身のヘッドスピードやスウィングの癖によって、どのタイプが本当に「運命の一本」となるかはまだ分かりません。後編では、堀口コーチがコースボールで全48モデルを試打した詳細なデータを公開!さらに、それぞれのモデルの「飛び具合」「止まり具合」が数値でわかるタイプ別詳細図鑑や、ダウンブローの程度から選ぶ最適なアイアンの選び方まで、あなたのアイアン選びを変えるヒントが満載です。続きは月刊ゴルフダイジェスト12月号、Myゴルフダイジェストにて掲載中!